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ドル円 週間見通し:11兆円超の為替介入も効果なし、160円視野、米雇用統計焦点

ドル円の週間見通し。11兆円超の円買い・米ドル売り介入も円安の流れを止めることはできず。今週も160円の攻防が視野に。週間想定レンジは158.00~160.70円。上昇加速の局面では為替介入絡みの円高を警戒。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 中東懸念の後退は米ドル安の要因となろう。しかし、外為市場の焦点はFRBの金融政策にシフトしている。米ドル安へ振れても一過性で終わる展開を想定したい
  • 財務省のデータで、4月28日~5月27日の間に11兆7349億円の円買い・米ドル売り介入が行われたことが判明した。1か月の為替介入額としては過去最大となったが効果はなく、対主要通貨での円安トレンドは変わらず
  • ドル円(USD/JPY)の週間想定レンジは158.00~160.70円。160円のトライおよび突破の要因になり得るのが米経済指標だ。特に6月5日の5月雇用統計がそのカタリストとなる可能性がある。一方で、ドル円の上昇局面では、政府・日銀による為替介入(円買い・米ドル売り介入)を警戒したい


米イラン停戦合意でドル安進行、為替介入11兆円超も効果なし

米国とイランが60日間の停戦延長で暫定合意したとの情報が流れ、先週の外為市場は米ドル安優勢の展開となった。注目は日本円を除いて、ということだ(下チャート、赤ライン参照)。

米ドルの動向:5月25日~29日

米ドルの動向:5月25日~29日

ブルームバーグの為替データで作成

財務省は29日、外国為替平衡操作額(令和8年4月28日~令和8年5月27日)を公表した。それによれば、11兆7349億円の円買い・米ドル売り介入が行われたことが判明した。1か月の為替介入額(円買い介入額)としては過去最大となった。

しかし、4月30日から5月6日にかけて円相場が急伸した後、ドル円(USD/JPY)は上昇トレンドへ回帰し、先週は159.65円レベルまで上昇した。

クロス円の動きにも注目したい。5月のトレンドを確認すると、円買い・米ドル売りの為替介入を受けてなお、対米ドルと同じく円安へ振れている。5月の円安は、政府・日銀の為替介入では円安トレンドを止めることができない現実を突きつけた。

円相場の動向 対G10通貨:5月1日~29日

円相場の動向:5月1日~29日

ブルームバーグの為替データで作成


焦点は米FRBの金融政策にシフト、米ドル高加速も

米国とイランの停戦に向けた動きは、米金利の上昇を抑制している。米金利がひとまず低下基調に転じる可能性もあり、今週も米ドル安の展開を想定したい。

しかし、市場の関心は中東情勢から米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策へシフトしつつある。直近では、FRB高官から緩和バイアスからの転換を示唆する発言が聞かれた。
【FRB高官の発言】
・グールズビー・シカゴ連銀総裁:5月8日のブルームバーグTVインタビューで「現状を見て利下げだけが選択肢とはとても思えない」と述べ、利下げ一択ではないとの姿勢を示した

・ウォラーFRB理事:5月22日のフランクフルト講演で、FOMC声明から「緩和バイアス文言の削除」を支持し、「インフレは正しい方向に向かっていない」と警告

・クックFRB理事:5月27日のスタンフォード大学で開かれたAIフォーラムでの発言で、「現時点では金利据え置きが正しい行動だが、ディスインフレが適時に現れない場合は利上げの用意がある」と述べた

・カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁:5月27日ロイターとのインタビューで、利上げ時期の予測は時期尚早としながらも、インフレリスクは雇用悪化リスクより高いと判断しているとの見解を示した

なお、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は今年の投票権、グールズビー・シカゴ連銀総裁は2027年の投票権を持つ。

中東懸念の後退は米ドル安の要因だ。しかし、FRB高官の発言と新FRB議長に就任したケビン・ウォーシュ氏が量的緩和政策(QE)に否定的な姿勢であることを踏まえれば、政策は引き締めバイアスに向かう可能性がある。ゆえに米ドル安は一過性で終わり、6月以降、米ドル高が加速する可能性を想定する必要があろう。


米経済指標にらみ、5月雇用統計に注目

今週、中東情勢以外で米ドルのトレンドを左右するのが経済指標だ。29日時点での翌日物金利スワップ(OIS)市場では、米イラン停戦合意の期待で12月までの利上げ確率が50%後半へ低下している。1週間前(5月22日)は、12月までの利上げを完全に織り込む状況にあった。

米政策金利・利上げの見通し

米政策金利・利上げの見通し

ブルームバーグのデータで作成

しかし、今後の経済指標で米経済の底堅さを示す内容が続けば、利上げ観測は再び上方に振れるだろう。

今週、特に注目されるのが雇用関連の経済指標だ。6月5日に5月雇用統計が発表される。インフレ再燃が意識される中、労働市場の堅調さが確認される場合は年内利上げの観測が再び高まり、米ドル高の要因となることが予想される。

米雇用統計 各項目の動向:過去1年間

米雇用統計 各項目の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月予想


ドル円のテクニカル分析、週間想定レンジ158.00~160.70円

160円突破も
今週のドル円(USD/JPY)も節目水準160.00円を視野に、上値を目指す展開を想定したい。

まずは、先週の高値水準159.65円レベルの攻防が焦点となろう。この水準を突破する場合は、政府・日銀による為替介入を警戒しながら、じりじりと160.00円を目指す展開を想定したい。この水準は、フィボナッチ・エクスパンション100%にあたる(1時間足チャート)。テクニカル面でも160.00円は、レジスタンスラインとして意識されやすい。

しかし、4月30日~5月6日にかけての「為替介入相場」後の上昇トレンドと前述の米ドル高の可能性を考えるならば、ドル円は今週160.00円を突破する可能性がある。そのカタリストになり得るのが経済指標、特に5月雇用統計だ。

ドル円が160円台の攻防となる場合、1時間足チャートのフィボナッチ・エクスパンション161.8%水準(160.56円)を上値目処と想定。同水準も突破する場合は、4月30日高値の160.72円(160.70円レベル)のトライが視野に入ろう。 160.70円レベルを今週の上限と想定し、この水準をも突破する場合は、次の節目水準161.00円が視野に入る。だがこのケースでは、為替介入絡みの突発的な円高への警戒が必要だ。
注目のチャート水準:レジスタンス
・161.00:節目水準
・160.70:上限予想、4月30日高値(160.72)
・160.56:フィボナッチ・エクスパンション161.8%
・160.00:心理的節目の水準、フィボナッチ・エクスパンション100%
・159.65:先週の高値水準

下値の焦点は158円の維持
中東懸念の後退で米ドル安が進行する場合、ドル円(USD/JPY)は、以下にまとめた水準の攻防に注目したい。

下値の焦点は、23日に配信したIG為替レポートと同じく158.00円の維持だ。50日線→20日線を下方ブレイクする場合は、158.00円のトライが視野に入る。158円台の維持は市場参加者にドル円の強気地合いを印象付けよう。この状況もまた、160.00円→161.00円トライの可能性を高めよう。
関連レポート
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一方、政府・日銀が円買い・米ドル売り介入に動けば、規模次第で4~5円幅の急落(円高)を想定したい。少なくとも158.00円は下方ブレイクするだろう。このケースでは、為替介入相場(4月30日~5月6日)の下落(円高)を止めた156.00円、155.00円までの瞬間的な下落を想定したい。
注目のチャート水準:サポート
・159.00:節目水準
・158.75:50日線
・158.19:20日線
・158.00:下限予想

ドル円 日足チャート:2026年以降

ドル円 日足チャート:2026年以降

TradingView提供のチャート

ドル円 1時間足チャート:5月22日以降

ドル円 1時間足チャート:5月22日以降

TradingView提供のチャート


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