ドル円 週間見通し:米利上げ観測で来週も160円を意識、中東懸念後退ならドル安警戒
来週のドル円見通し。米イラン協議進展ならドル安要因に。しかし、急浮上する米利上げ観測が米ドルを支えるだろう。円安圧力も根強くドル円の下値は限定的と予想する。ドル円の週間想定レンジは158.00~160.00円。
要点
- 米イランの停戦協議が進展すれば、来週の外為市場は米ドル安を警戒したい。しかし年内の米利上げ観測が急浮上しており、米ドル安へ振れても短期で収束するだろう
- 日米2年債利回り格差の拡大に連動しドル円(USD/JPY)が底堅さを維持している。FRBの利上げの可能性を強く意識した動きであり、米ドル安が重石となってもドル円の下値は限定的となろう
- ドル円の週間想定レンジは158.00~160.00円。米利上げ観測によるドル高と根強い円安を受け160.00円を視野に上昇が加速する場合は、為替介入絡みの突発的な円高を警戒したい
米イラン停戦協議にらみ、進展期待高まればドル安警戒
5月11日〜15日の週は米ドル高優勢だったが、18日〜22日の週は一転して対主要通貨でドル高が一服した。この主因はイラン情勢にある。
トランプ米大統領は20日、イランとの停戦協議が「最終段階」にあるとの認識を示した。22日にはルビオ国務長官も「わずかな進展があった」と述べ、仲介国パキスタンの軍トップがテヘランを訪問するなど外交的な動きが続いている。一方、イランは「交渉で決して譲歩しない」との姿勢を崩しておらず、ウラン備蓄やホルムズ海峡を巡る隔たりはなお大きい。
情勢は依然不透明だが、来週米イラン協議で何らかの進展、またはそれを期待させる情報が流れる場合は、米ドル安を警戒したい。
米ドルのパフォーマンスチャート:5月11日~22日
ブルームバーグの為替データで作成
金利上昇に神経を尖らすトランプ米政権
トランプ米政権には、イランとの停戦協議を進展させたい動機がある。それが、インフレと長期金利の上昇だ。
米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切って以降、ホルムズ海峡ではタンカーの通航が事実上停止した状態が続いている。世界の原油供給の約2割を占める輸送網の混乱がエネルギー価格を押し上げ、インフレ懸念を通じ10年債利回り(長期金利)と30年債利回り(超長期金利)の上昇を加速させている。以下のチャートが示すとおり、トランプ米大統領による中東不安の緩和発言は、いずれも長期金利の上昇や高まりの局面と重なっており、トランプ氏が金利の動きを強く意識していることがうかがえる。
直近では、10年債利回りが19日に4.7%目前まで急伸すると、翌20日にトランプ氏はイランとの停戦協議が「最終段階」にあると述べ、中東不安を和らげる発言をした。米株式市場ではこうしたトランプ氏の発言パターンを「TACO」と呼んでいる。
米10年国債利回り 日足チャート:2026年2月以降
TradingView提供のチャート
「TACO」発言の裏にいるのが、長期金利を重視しているベッセント米財務長官だと筆者は考えている。同長官は10年国債利回りを注視しており、これ以上の金利上昇は景気の減速リスクを高めると同時に、マーケットの混乱にもつながりかねない。こうした背景から、米国にはイランとの停戦合意をまとめエネルギー価格を抑制し、インフレ懸念と長期金利の上昇を封じ込める強い動機がある。協議進展を意図的に発信することで、市場の期待を先行させる戦略を取る可能性もある。
情勢は依然不透明ながらも、来週急転直下で停戦に向けて前進があれば、原油価格下落がインフレ期待と長期金利の低下につながり、外為市場ではドル安が見込まれる。
米利上げ観測急浮上、ドル円は160円視野に強気トレンド維持か
しかし、米ドル安の展開となっても、その動きはすぐに収束することが予想される。米利上げ観測が急浮上しているからだ。
足元の翌日物金利スワップ(OIS)市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が早ければ年内にも利上げに踏み切る可能性を織り込み始めている。
米政策金利の見通し
ブルームバーグのデータで作成 / 5月22日時点
米イラン協議で何らかの進展が見られても、すぐにホルムズ海峡のエネルギー輸送が正常化するわけではない。よって、インフレ懸念は今後も米債市場のメインテーマとなろう。米金利は高止まりし、利上げ観測もさらに強まる可能性がある。17日のIG週間為替レポートで述べた通り、今後外為市場では米ドルのトレンド転換が焦点となろう。
関連レポート
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米利上げ観測は、ドル円(USD/JPY)が節目の160.00円を目指すトレンドを支えるだろう。日銀の6月利上げも強く意識される状況にある。しかし、米利上げ観測が急浮上する中では日銀の利上げ姿勢が持続的な円高の要因となる可能性は低い。この点を示唆しているのが以下のチャートだ。
インフレ懸念で日米金利には上昇圧力が高まっている。上昇圧力が交錯する中でも10年債利回りの格差が縮小傾向を維持する一方、2年債利回り格差は拡大傾向にある。後者の動きに連動しドル円が底堅さを維持する状況は、FRBの利上げを強く意識していることを示唆している。
日米金利差とドル円の動向 日足チャート:2025年以降
ブルームバーグのデータで作成
ドル円のテクニカル分析、週間想定レンジ158.00~160.00円
来週の外為市場で米ドル安優勢となれば、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
焦点は158.00円レベルの維持だ。直下の157.88レベルは半値戻しにあたり、テクニカル面でも158.00円レベルはサポートラインとして意識されやすい。158.00円を来週の下限と想定し、下値トライの局面では50日線と21日線の攻防に注目したい。サポート転換が確認された158.60円の攻防にも注目だ(4時間足チャート)。21日線の下方ブレイクは、158.00円をトライするサインとなろう。
急転直下で米イランの停戦協議に大きな前進が見られる場合は、米ドル安の進行が予想される。円の買い戻しも重なりドル円が158.00円を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準157.20レベルまでの下落を想定したい。このラインもサポート転換を意識する水準だ。
注目水準:サポート
・158.72:50日線(22日時点)
・158.60:サポート転換
・158.14:21日線(22日時点)
・158.00:下限予想
・157.88:半値戻し
・157.20:61.8%戻し
一方、米利上げ観測と円安が下支えとなりドル円(USD/JPY)が上値を目指す局面では、引き続き心理的節目の水準160.00円のトライが焦点となろう。
先週、相場の上昇を止めたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準159.38レベル(159.40円)を突破すれば、4月下旬に160.00円手前の攻防でレジスタンスラインとして意識された159.80円をトライするサインとなろう。159.80円を上方ブレイクすれば、160.00円のトライを想定したい。しかし、この局面では市場の警戒心も含めた為替介入絡みの突発的な円高を警戒する必要がある。
注目水準:レジスタンス
・160.00円:上限予想
・159.80円:4月下旬のレジスタンス
・159.40円:フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準(159.38)
ドル円 日足チャート:2026年2月以降
TradingView提供のチャート
ドル円 4時間足チャート:4月下旬以降
TradingView提供のチャート
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