今週のドル円も上下に大きく振れる展開が予想される。カタリストは米国の物価指数と小売売上高だ。利上げ観測と米ドルのトレンドに影響を与えることが予想される。週間想定レンジは155.00-160.00円。
直近の外為市場で最も注目すべき出来事は、政府・日銀と米財務省による28年ぶりの「円買い」協調介入だ。政府・日銀は7月30日から31日にかけて円買い介入を行った。31日のニューヨーク市場では米財務省がユーロ売り・円買いに踏み切った。片山さつき財務相は8月3日、日米財務大臣共同声明(2025年9月)に基づく対応だと説明し、「更なる協調介入を実施することも躊躇しない」と追加介入の可能性に言及した。ベッセント米財務長官も同様に、無秩序な円安への対抗姿勢を鮮明にしている。
7日のIG為替レポートで指摘したとおり、米国がユーロ売りという手法を選んだ背景には、米国債市場への配慮があったとみられる。政府・日銀が為替介入の原資として米国債を市場売却すれば、長期・超長期ゾーンの金利上昇を招きかねない。7月31日には米10年債利回りが一時4.74%、30年債利回りが約19年ぶりの5.28%まで上昇する場面が見られた。さらなる米金利の上昇を避けたいという思惑は、米連邦準備制度理事会(FRB)のFIMAレポ・ファシリティー活用について片山氏とベッセント氏が言及したことでもうかがえる。
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・ドル円見通し:日米協調介入と米国の思惑、米雇用統計で変動拡大も
7日発表の7月米雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比2万3000人の減少と、ブルームバーグがまとめた市場予想8万増に反してマイナスに転じた。失業率は4.1%に低下したが、これは労働参加率が61.4%と約5年半ぶりの水準まで低下したことが要因で、労働市場の底堅さを示すものではない。5月・6月分も計10万3000人の下方修正となり、労働市場の減速を示唆する内容となった。翌日物金利スワップ(OIS)市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利上げ観測が大きく後退した。
ドル円(USD/JPY)は200日線を再び下回り、一時156.60円台まで下落する場面が見られた。もっとも、その後の下げは限定的となった。米金利は雇用統計の発表直後に急低下した。だがその後は反発し、2年債利回りは4.2%前後、10年債利回りは4.6%台で高止まりした。
米金利の動きに連動し、ドル円は158.00円台を視野に底堅さを維持した。主要なクロス円の下げ止まりも考えるならば、円安の圧力は依然として根強い。
ドル円と米金利の動向 5分足チャート:7月米雇用統計発表後の動向
今週のドル円(USD/JPY)は、米経済指標にらみの展開が予想される。
7月の雇用統計が労働市場の減速を示唆したことで、一時6割台へ上昇した9月の利上げ確率は4割台へ低下した。12月会合までの累積織り込みも米雇用統計前の約1.3回から1回程度に後退した。
もっとも、年内の利上げが意識されている状況は、FRBがインフレ抑制重視の姿勢を維持することを意識した動きと言える。今週、早期の利上げ観測が再燃するかどうかの鍵は、以下で取り上げる経済指標が握るだろう。
FOMC毎の利上げ見通し:9月、10月、12月
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12日に7月の消費者物価指数(CPI)、13日に同月生産者物価指数(PPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、トレンドを示す前年同月比でいずれも鈍化が見込まれている。一方、前月比ではCPIが+0.1%(前回-0.4%)、コアCPIは同+0.2%(前回0.0%)、PPIは同+0.2%(前回-0.3%)、コアPPIは同+0.3%(前回+0.2%)と、いずれも前月からの伸びが見込まれている。
原油安を受けてなお、7月の米物価指数が総じて市場予想を上回る場合は、米利上げ観測が再び高まる要因となろう。このケースでは、米金利の上昇と米ドル高を想定したい。
一方、7月雇用統計で労働市場の減速が示唆された状況で、7月の物価指数も総じて鈍化すれば、早期利上げ観測はさらに後退しよう。このケースでは、米金利の低下と米ドル安が予想される。
米消費者物価指数(CPI)の動向:過去1年間
米生産者物価指数(PPI)の動向:過去1年間
14日発表の7月小売売上高にも注目したい。ブルームバーグの市場予想では前月比+0.1%が見込まれている。GDP個人消費の算出に使われるコントロール・グループは+0.3%と、6月の+0.5%から鈍化の予想にある。
7月30日発表の実質GDP速報値では、全体の約7割を占める個人消費が前期比年率+3.2%と、個人消費の強さを示した。7月小売売上高も予想を上振れ個人消費の強さを示唆する内容となれば、早期の米利上げ観測を再び強める要因になり得る。上記の物価指数がいずれもインフレの粘着性を示す内容と重なれば、米ドル高が為替介入の思惑を相殺し、ドル円を下支えする展開が予想される。
米小売売上高の動向:過去1年間
今週のドル円(USD/JPY)も上下に大きく振れる展開を想定したい。
カタリストは上で取り上げた米経済指標だ。これらが米ドル高の要因となれば、まずは200日線(158.00円レベル)を再び突破するかどうかを確認したい。
ドル円が158円台の攻防となれば、1時間足チャートの61.8%戻し(158.70円レベル)が最初の関門となる。これを上抜ければ、日足の一目均衡表・雲の下限が推移する159.00円レベル、続いて半値戻し(159.48円レベル)と76.4%戻し(159.54円レベル)が重なる159.50円レベルの攻防に注目したい。
159.50円を完全に上方ブレイクすれば、89日線が推移し、かつ心理的節目でもある160.00円のトライを想定したい。この水準を今週の上限と予想する。
注目のチャート水準:レジスタンス
・160.00円:上限予想、89日線(160.03円)
・159.50円:半値戻し(159.48円)、76.4%戻し(159.54円)
・159.00円:一目均衡表・雲の下限
・158.70円:61.8%戻し(158.72円)
・158.00円:200日線(158.04円)
※移動平均線の水準:8月7日時点
一方、今週の米経済指標が米ドル安の要因となれば、ドル円は節目の水準と、下ヒゲが示現し反発した各安値レベルの攻防に注目したい。5月上旬と直近の為替介入を受けても、ドル円は155.00円を維持した。今週もこのラインを下限と想定したい。
注目のチャート水準:サポート
・157.00円:節目水準
・156.67円:8/7安値
・156.00円:節目水準
・155.23円:8/3安値
・155.03円:5/6安値
・155.00円:下限予想
ドル円 日足チャート:2026年1月以降
ドル円 1時間足チャート:7月29日以降
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