米CPI、5月の伸び率は減速予想　13日発表　利上げ停止の公算高まるか

13日に発表される米国の5月の消費者物価指数（CPI）は食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが4月から減速する見通しだ。予想通りになれば、連邦準備制度理事会（FRB）が14日までの連邦公開市場委員会（FOMC）で利上げを見送る公算が大きくなる。ただし米国の雇用市場は強さを維持しており、価格上昇圧力となり続ける懸念は根強い。5月のCPIが予想に反して強かった場合には、改めてFRBの利上げが意識され、ドル円相場で円安ドル高が進む可能性もありそうだ。

5月の米CPIの伸び率はコア指数で5.3％の予想

5月のCPIは13日午前（日本時間13日午後9時30分）に米労働省が発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、コア指数の伸び率は前年同月比5.3％と予想され、4月の5.5％から減速するとみられている。一方、総合指数の伸び率は4.1％となり、4月の4.9％から大きく縮まる見通しだ。

コア指数の伸び率が予想通りの5.3％となれば、2021年11月（4.9％）以来の低さとなる。FRBが物価上昇の抑制を狙って、2022年3月から続けてきた利上げの効果が裏付けられそうだ。4月のCPI発表時は、食品とエネルギーに加え、価格が変わりにくい家賃（持ち家の帰属家賃含む）も除いた指数の伸び率が3.7％で安定していることも確認されており、米国の物価上昇に落ち着きが出始めているともみられた。

14日までのFOMCでは利上げ見送りの公算大

一方、CMEグループのデータによると、14日までのFOMCでの利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間11日正午すぎの段階で約70％。FRBのフィリップ・ジェファーソン理事の5月31日の講演が利上げ停止を示唆したと受け止められたことを機に高まった水準を維持している。5月のCPIの減速が確認された場合は、利上げ停止観測が保たれることになりそうだ。

ただしFRBにとっては雇用市場の強さという悩みの種もある。6月2日に発表された5月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比33.9万人増となり、市場予想の19万人増を大きく上回った。3月と4月の数字もそれぞれ4万-5万人程度上方修正されている。また、FRBが物価動向の基準として重視する個人消費支出（PCE）物価指数では、5月26日に発表された4月のデータで、総合指数、コア指数ともに伸び率が3月から拡大している。

このため、仮に5月のCPIが予想に反して強かった場合は、利上げの可能性が改めて意識される可能性がある。ジェファーソン理事は、6月に利上げが停止されたとしても政策金利がピークに達したことを意味しないと指摘しており、5月のCPI発表後に7月利上げの確度が高まり、ドル円相場（チャート）が円安ドル高方向に動く筋書きも想定される。