東京エレクトロン、14日続伸で4割高 インテルに期待も中国は不安
東京エレクトロンの株価はAIブームを背景に上昇。インテル復活への期待も追い風になっているが、中国市場縮小懸念も残る。

半導体製造装置の東京エレクトロンの株価が記録的な連騰を続けている。25日の終値は前日比1.71%高の14営業日続伸となり、1980年の株式上昇以来で2番目の連騰記録に到達。この間、株価は39%高となった。人工知能(AI)ブームへの期待拡大を背景とした9月以降の世界的な半導体株高の波に乗った形で、7月末の業績見通し下方修正が引き金を引いた株価急落によるマイナスを取り戻した。東京エレクトロンの株価急騰の背景には顧客企業である米インテルの業績回復への期待もあるとみられる。一方、東京エレクトロンの株価は2024年4月につけた最高値からは3割安く、中国市場縮小への不安も拭えない。東京エレクトロンの株価の今後の見通しをめぐっては、業績見通しへの楽観と悲観が交錯する中で、値上がりにブレーキがかかることも考えられそうだ。
東京エレクトロンの株価は14日続伸 史上2位の連騰記録で38.98%高
東京エレクトロンの株価(8035)は25日の終値で前日比1.71%高の2万7720円。9月4日以降、14営業日連続で値上がりしている。東京エレクトロンの株価の連騰記録は2021年8月26日から9月15日にかけての15日連続が最高で、今回は史上2番目の長さに達したことになる。足元の14連騰での上昇率は38.98%高となった。

株価上昇の背景に世界的な半導体株高 AIブームに期待
東京エレクトロンの株価上昇はAIブームを要因とした世界的な半導体株高の波に乗ったといえる。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)の株価は東京エレクトロンの14連騰の間、40.53%高という急騰。また、東京エレクトロンと同業にあたるオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングの株価(ASML)は、東京エレクトロンの14連騰が始まった9月4日から24日にかけて29.22%高。同じく同業の米アプライド・マテリアルズ(AMAT)も28.92%高となっている。さらに半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)の株価も同じ期間で21.31%高となった。

業績見通し下方修正後の急落分を回復 インテル復活への期待も追い風
東京エレクトロンの株価は7月31日の4-6月期決算発表で2026年3月通期の業績見通しを下方修正したことを機に急落していた。決算発表直前の31日終値で2万7330円だった株価は8月22日には2万0095円まで値下がり。約3週間で26.47%安の下落率となった。足元の株価はちょうどこの下落分を取り返した水準で、4-6月期決算で持ち上がった不安が大きく和らいだといえそうだ。
東京エレクトロンの株価上昇の背景にはインテル(INTC)の復活への期待もある。インテルはパソコンなどに用いられる汎用性の高い半導体の設計と製造に強みを持ち、18日にはAI向け半導体に強みを持つNVIDIA(エヌビディア、NVDA)から50億ドル相当の出資を受け、両社の強みを生かした半導体製品の開発を進めると発表していた。一方、東京エレクトロンは4月、インテルから優れたサプライヤーとして表彰を受けたと発表。2026年3月期の業績見通し下方修正の理由のひとつとして、先端ロジック半導体を手掛ける顧客企業が設備投資計画を見直したことを挙げた際には、2025年3月に就任したリップブー・タンCEOの下で事業改革を進めているインテルの計画見直しが影響したとみられていた。
東京エレクトロンの株価は最高値からは3割安 中国市場縮小は懸念材料
ただ、東京エレクトロンの株価は大きく値上がりしたとはいえ、2024年4月3日につけた最高値(3万9620円)との比較では、依然として30.04%も低い大幅安の水準にある。また、インテルが拠点を構える北米市場における東京エレクトロンの収入は2025年3月通期でみて総収入の10.0%でしかなく、中国市場の41.8%や、台湾市場の16.9%、韓国市場の16.8%と比べて小さい。東京エレクトロンは業績下方修正の理由に、インテルとみられる企業の投資計画見直しに加え、中国の新興半導体メーカーが汎用半導体生産のための投資を縮小することも挙げており、インテルへの期待だけで経営環境の悪化が完全に解消されたとは判断できない。

このため東京エレクトロンの株価の今後の見通しをめぐっては、中国市場への悲観的な見方が下落圧力として働く可能性がある。一方、投資家の楽観が維持された場合には最高値に向けて値上がりが続くこともありえるが、上昇がペースダウンする展開も想定されそうだ。
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