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米国株、悪指標でも上昇 S&P500高値更新 強気ムードに変調も

S&P500は今年に入って11度目の史上最高値更新。1月小売売上高の悪さを跳ね返したが、投資家心理には変化の兆しも。

米国株、悪指標でも上昇 S&P500高値更新 強気ムードに変調も 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場の上昇が止まらない。S&P500種株価指数の15日の終値は2日続伸し、4営業日ぶりに史上最高値を更新。この日発表された1月の小売売上高が市場予想を大きく下回ったにも関わらず、かえって米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げという追い風を連想させたようだ。ただ、1月の消費者物価指数(CPI)の強さも踏まえれば、物価上昇の根強さと消費不振が同時に表れる状況は明るいニュースとはいえない。投資家心理には変化の兆しも感じられ、今後のS&P500を左右する可能性がある。

S&P500は2024年に入って11回目の史上最高値更新

15日のS&P500(SPX)の終値は前日比0.58%高の5029.73。1月19日以降、11回目の史上最高値更新となった。S&P500は長期金利(10年物米国債利回り)が5%近くあった10月下旬につけた直近の安値(4117.37)からの上昇率が22%を超えており、3か月半に渡る上昇基調が続いている。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

しかも15日の株高は経済指標の悪さを跳ね返した結果だ。この日発表された1月の小売売上高の伸び率は前月比マイナス0.8%で、市場予想のマイナス0.1%を大きく下回る結果。自動車・自動車部品を除いたベースでの伸び率はマイナス0.6%で、こちらも予想(プラス0.2%)を下回った。アメリカの1月の気候が総じて寒かったことなどが消費を下押ししたとみられている。

アメリカの小売売上高の前月比伸び率の推移のグラフ

1月の小売売上高の不振はFRBの利下げを連想させ、15日のニューヨーク債券市場の長期金利の終値は、前日よりも0.027%ポイント低い4.240%となった。金利水準の低下は株式の投資先としての魅力を相対的に高め、株価を上昇させる要因だとされる。

VIX指数は1月CPI発表後に3か月半ぶりの高さに

ただ、1月の小売売上高の不振は、個人消費の減速が景気悪化につながるシナリオも予感させる。さらに13日に発表された1月CPIは市場予想を超える強さで、株式市場が期待するFRBの利下げが容易には実現しないこともありえる。CMEグループのデータによると、金融市場でのFRBの利下げ開始時期をめぐる予想は、12月段階で有力視されていた3月から、足元では6月まで後ずれしている。

投資家心理にも変化の兆しが出てきた。S&P500のオプション取引の動向から算出され、投資家の不安度の大きさを示すとされるVIX指数(VIX)は1月CPIが発表された13日の終値で15.85まで上がった。11月1日(16.87)以来の高さで、12月半ば以降の緩やかな上昇傾向がみられる。また、米個人投資家協会(AAII)が15日に発表した週次調査でも、今後6か月のS&P500の先行きに強気な投資家の割合は42.2%となり、前週の49.0%から低下した。

VIX指数とS&P500の推移のグラフ
米個人投資家協会(AAII)のセンチメント調査の推移のグラフ

一方、2日に発表された1月の雇用統計は予想よりも大幅に強く、アメリカ経済の底堅さが示されていた。今後、1月小売売上高の弱さが一過性のものであると示され、CPIの低下も進んでいけば、現在のS&P500の強さが裏付けられていく可能性もある。


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