米国株、イラン和平決裂で急落も S&P500反落 見通し不安再燃
S&P500は6営業日ぶり反落。米国とイランの和平協議に進展はなく、停戦期間終了が近づいている。和平合意の期待は消えていないが、不安要素も多い。
アメリカの株式市場に緊張感が再燃してきた。S&P500種株価指数の20日の終値は前週末比0.24%安で、6営業日ぶりの反落。大手ハイテク株の好調さにもブレーキがかかった。米国とイランの和平協議はパキスタンでの開催が探られているものの、進展の見通しはつかず、原油価格は高止まりが継続。ドナルド・トランプ大統領は2週間の停戦が米国東部時間22日夕方で終わるとしており、投資家の楽観ムードに冷や水がかかった。交渉が決裂するとの不安が強まれば、S&P500が急落する恐れもありそうだ。また、米国の実体経済をめぐっては、21日に発表される3月の小売売上高で、戦争後の個人消費の弱まりが示される可能性もあり、株式市場の波乱要因となりかねない。一方、トランプ氏は戦争の幕引きを図っているとみられ、イランとの溝が埋まらなくても、これ以上の交戦激化の引き金は引かないとの見方も成り立つ。ただ、この場合でも石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡封鎖が解消される保証はなく、最高値付近にあるS&P500の上昇の勢いが削がれることも考えられる。
アメリカのS&P500は6営業日ぶり反落の0.24%安 ホルムズ海峡再封鎖で
S&P500(SPX)の20日の終値は7109.14。前週末の17日はイランがホルムズ海峡封鎖の期限付き解除を表明し、3営業日連続での最高値更新につながっていたが、上昇基調にブレーキがかかった。イランが18日に、米国がイランに対する海上封鎖を続けていることなどを理由にホルムズ海峡の再封鎖を宣言し、楽観ムードが冷え込んだためだ。
S&P500の見通しを揺らし続けてきたイラン情勢は依然として終着点が見えてこない。20日の開催が見込まれていた米国とイランのパキスタンでの和平協議は未だ実施に至らず。米国はJDヴァンス副大統領らがパキスタンに向かい、イランも21日に交渉団を送ると報じられているが、正式な開催は発表されていない。ホルムズ海峡封鎖解除の見通しがつかない中、原油価格は高止まりが続いており、世界の経済活動にとっての不安要素となっている。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(5月渡し、WTI原油)の20日のニューヨーク市場での終値は1バレル=89.61ドルで、前週末比6.87%高となった。日本時間21日午前の取引でも88ドル台で取引されている。
トランプ氏は停戦再延長の可能性を否定 VIX指数は9営業日ぶりに上昇
こうした中、トランプ氏は20日のブルームバーグとのインタビューで、7日に発表した2週間の停戦期間は、米国東部時間22日夕方に終わると言明。イランとの和平協議がまとまらなかった場合、「停戦期間を延長することはほぼあり得ない」と述べた。トランプ氏は19日の自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿では、イランが和平に応じなければ、イラン国内のすべての発電所とすべての橋を破壊するとしていた。
トランプ氏の強硬姿勢は20日の金融市場で投資家心理を悪化させている。シガコ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の20日の終値は18.87で、9営業日ぶりに前日よりも高い数値となった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。今後、和平合意が遠のけば、S&P500が急落する展開も考えられそうだ。
3月小売売上高で消費の弱さが示される恐れ 次期FRB議長の公聴会も焦点に
また、イラン戦争の長期化が米国経済に打撃を与えてる実態が明らかになれば、S&P500にとっての逆風は強まる。米商務省は21日午前8時30分(日本時間21日午後9時30分)に3月小売売上高を発表する予定。ブルームバーグがまとめた市場予想では、3月小売売上高は前月比1.4%増になり、前月(2月)の0.6%増から伸びが加速する見通しである半面、自動車・部品とガソリン価格を除いた数字では0.3%増となり、前月(0.4%)よりも伸び率が小さくなると予想されている。
さらに21日午前10時からは、上院銀行・住宅・都市問題委員会で、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されたケビン・ウォーシュ元理事の公聴会が行われる。ウォーシュ氏は議会承認が難航するとみられており、S&P500の見通しにとって悪材料になる可能性もある。
トランプ氏は発電所攻撃を回避? ホルムズ海峡封鎖はS&P500の見通しに重荷
一方、トランプ氏は20日のインタビューで「イランは合意したがっている」と述べており、和平の実現に楽観的な態度を示している。イランがホルムズ海峡を封鎖し、米国がイランを海上封鎖するという状況は双方にとって打撃が大きい。トランプ氏自身も和平を望んでいるもようで、S&P500にとって安心材料だといえる。22日までに和平合意が成立しなくても、トランプ氏が発電所などへの攻撃に踏み切ることはなく、停戦期間の延長に応じるとの見方も成り立ちそうだ。
ただ、この場合でも、イラン側がホルムズ海峡封鎖の解除に応じなければ、投資家の不安は続きそうだ。11、12日の和平協議でイランの交渉団を率いたモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長は日本時間21日朝、SNSのXへの投稿で「脅迫の影が感じられる中での交渉は受け入れない」とし、交戦激化も辞さない考えを示唆した。S&P500の今後の見通しをめぐっては、最高値更新の熱気が冷め、下落圧力が再燃する筋書きも考えられる。
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