ドル円、イラン和平期待でも円安 159円台 日銀利上げ見通しカギ
ドル円相場は159円台半ば。イラン和平期待が出る中でも、対円では有事のドル買いが戻らない。円高進行の有無は日銀の利上げ見通しが握りそうだ。
ドル円相場で円安圧力が崩れない。ドル円相場は日本時間17日午後の取引で1ドル=159円台半ばで推移。朝方から0.50円の円安水準となっている。アメリカとイランの和平協議が進展するとの期待を背景に、FX市場では3月下旬から、有事のドル買いの巻き戻しが起きているが、主要通貨の中では円だけがドルに対して強さをみせられていない。円安の背景には、原油高にも関わらず、日本銀行の27、28日の金融政策決定会合での利上げへの期待が後退していることがある。日銀はイラン戦争が日本経済にとっての逆風になる可能性にも気を配っており、投機筋は円売りへのシフトを強めているもようだ。ただ、日本政府は円安急進時には為替介入に踏み切る姿勢を維持しており、これ以上の円安進行のハードルは高い。また日銀は4月利上げの可能性を否定しているわけではなく、今後、利上げへの期待が膨らみ、ドル円相場が円高方向に動く展開も考えられそうだ。
ドル円相場は一時159.53円 円安圧力が緩まず
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間17日午後3時10分段階で1ドル=159.49 円で取引されている。ブルームバーグによると、午後2時台には159.53円をつけ、午前7時台につけていた159.03円から0.50円の円安水準となっている。ドル円相場は3月12日以降、27営業日連続で取引時間中に159円超の水準をつけており、円安圧力が緩んでいない。
米イラン和平への期待高まる 豪ドル、ユーロ、ポンドは対ドルで大きく上昇
一方、円以外の主要通貨はドルに対して大きく強くなっている。金融市場では、3月31日にイランのマスウード・ペゼシュキアン大統領が戦争終結の用意があると述べて以来、米国とイランの和平への期待が強まり、2月末の開戦以降の有事のドル買いが巻き戻されているからだ。ドナルド・トランプ大統領は16日、記者団に対してイランとの協議について週末にも2回目の交渉が行われる可能性を指摘し、「合意に非常に近づいている」と発言。またイスラエルとレバノンが10日間の停戦に合意したことも明らかにした。イランは米国との和平合意の条件として、イスラエルと、レバノンを拠点とする親イラン組織ヒズボラとの交戦も対象とした、全面的な停戦を挙げている。
ブルームバーグによると、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)の16日のニューヨーク市場での終値は、ペゼシュキアン氏の発言前日の3月30日との比較で4.49%の豪ドル高。同じ期間で、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は2.76%のユーロ高、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は2.59%のポンド高となっている。これに対して円の対ドル相場は0.34%の円高に留まっており、円の弱さが際立っている。
日銀の4月利上げ見通しは低下 投機筋は円売りシフトを深めているもよう
根強い円安の背景には日銀の利上げへの期待が高まっていないことがありそうだ。ブルームバーグによると、17日午後3時10分段階の金融市場で見込まれている日銀の28日までの金融政策決定会合後の政策金利の水準は0.771%で、4月1日時点での0.912%から0.141%ポイント低下。利上げ確率は17%まで低下している。年末までを見据えれば、年内2回の利上げがほぼ確実視されている状況に変わりはないが、イラン戦争に伴う原油高が物価上昇圧力として働く中でも、日銀の動き出しは鈍いとみられているようだ。
日銀の利上げへの期待の低調さは、日銀がこれまでも利上げをスローペースで進めてきた経緯がありそうだ。日銀は2024年3月19日にマイナス金利政策を柱とする大規模金融緩和策を解除し、短期金利を政策金利として位置付ける通常の金融政策に移行したが、その後の利上げは3回のみ。消費者物価指数(CPI)の総合指数の伸び率が2025年12月まで45か月連続で前年同月比2%を超える中でも、「基調的な物価上昇率は2%に届いていない」との見解を繰り返してきた。植田和男総裁が信託大会に寄せたあいさつ文が公表された13日も、イラン戦争に伴うホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、「サプライチェーンへの影響を通じて、企業の生産活動に下押し圧力がかかる」とした部分が注目を集めた。
こうした中、投機筋は円売りへのシフトを進めているもようだ。米先物取引委員会(CTFC)の週次のデータによると、非商業部門は7日段階で円を9万3742枚売り越し。2024年7月23日(10万7108枚)以来の大きな売り越し幅となっている。
日本政府の為替介入には警戒感 日銀の利上げ見通しが強まり円高進行の可能性も
ただ、ドル円相場では1ドル=160円を超えるような円安が定着しているわけではない。日本政府は円安急進の場合には、為替介入で流れを阻止する考えを示しており、投資家の警戒感は強いようだ。片山さつき財務相は訪問中の米首都ワシントンで15日、スコット・ベッセント財務長官と会談。為替の議論を行ったことを明かしたうえで、改めて「必要ならば断固たる措置をとる」と述べている。
また利上げに慎重な印象が強い日銀も4月利上げの可能性を否定しているわけではない。植田氏はワシントンで16日に行った20か国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議閉幕後の記者会見で、原油高が景気を下押しする要因であることに触れながらも、日本では物価変動を考慮した実質金利が低く、「金融環境は非常に緩和的」であることにも言及。物価上昇抑制を狙った利上げを行っても、景気を下押しする効果が大きくなりにくい可能性を示唆している。
植田氏は3月19日の決定会合後の記者会見では、企業が賃上げや値上げに積極的になっていることを踏まえ、円安が物価上昇につながる度合いが過去よりも大きくなっている可能性に警戒感を示していた。ブルームバーグによると、4月のドル円相場は16日まで平均1ドル=159.22円で推移しており、1年前の同時期の平均145.82円よりも大幅な円安。輸入物価の値上がりを通じた、国内物価上昇圧力の強まりが意識されれば、ドル円相場が円高に向かう可能性も考えられそうだ。
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