原油価格、イラン戦争停戦に疑念 WTIは88ドル 供給回復に時間も
WTIは下げ渋り。米国がイランの発電所攻撃を延期したことへの楽観は続いていない。原油価格は今後も急騰の恐れや高止まりの見通しが続きそうだ。
原油価格が下げ渋っている。原油先物市場の指標価格であるWTI(5月渡し)は日本時間25日午後の取引で1バレル=88ドル台。アメリカのドナルド・トランプ大統領がイランの発電所への攻撃を延期したことで90ドル台を割り込んだものの、下落基調の定着は感じられない。イランでの戦争をめぐっては、米国がイランに対して停戦に向けた計画を伝えたとも報じられているが、イランが協議に応じるかどうかは不透明。イランが強硬姿勢を崩さなかった場合には、トランプ氏がイランへの攻勢を強め、原油価格が急騰するシナリオも考えられる。また、イランでの戦争はすでに中東各国の生産能力に傷をつけており、供給力の回復に時間がかかるとみられることも原油価格にとっては上昇圧力といえ、原油価格は高止まりが長期化する可能性がありそうだ。
WTIは88ドル台 米国のイラン発電所への攻撃延期で急落も楽観深まらず
WTI(5月渡し、WTI原油)は日本時間25日午後4時16分段階で1バレル=88.90ドルで取引されている。ブルームバーグによると、WTIはトランプ氏がイランの発電所への攻撃の5日間延期を決めた23日、ニューヨーク市場の終値で前週末比10.36%安と急落。一時は84.37ドルまで値を下げる場面もあった。しかし24日終値は4.79%高と反発しており、イラン情勢への楽観が深まっているわけではないようだ。
米国がイランに15項目の計画を提案 イランの受け入れは見通せず
原油価格の安定をめぐっては、イランでの戦争の終結へ努力が見え始めたという好材料もある。トランプ氏は24日、記者団に対して、イランから大きな「プレゼント」をもらったと発言。石油やガスに関するイランからの譲歩があったと示唆した。また米国メディアはトルコやエジプト、パキスタンが仲介役となって停戦に向けた協議が模索されているとも報道。米国からイランに対して15項目の計画が伝えられ、協議のたたき台になる可能性も示されている。
ただ、これまでの攻撃で政治的にも経済的にも大きなダメージを受けたイラン側が、米国との協議に応じることには疑念も多く、WTIの下落を阻む要因だ。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米国が示した15項目の計画は、イランに対して主要な3つの核施設の撤去や、イラン国内でのウラン濃縮の終了、弾道ミサイルに関する取り組みの中止、親イラン組織への支援の抑制、ホルムズ海峡の完全な開放を求める内容だといい、イランがこれまでも譲歩を拒んできた項目だといえる。イラン側が受け入れを拒否した場合は、トランプ氏は一度は延期した発電所への攻撃の判断を迫られることになる。この場合、金融市場に緊張が走り、原油価格の急騰や株価の急落を招くことは必至といえそうだ。
原油生産抑制からの回復には時間 WTIは12月渡しも76ドル台で高止まり
またイランでの戦争はすでに原油の生産能力を損ねている可能性がある。ホルムズ海峡経由での原油輸出ができなくなる中、各国は貯蔵施設の容量不足から原油生産を抑え込んでいるもよう。仮に米国とイランの戦争が終結に向かっていったとしても、一度低下した油田の生産量を復活させるには数週間から数か月の時間がかかるとされ、原油価格にとっては中期的な上昇圧力として働くとみられる。
ブルームバーグのデータで、WTIのニューヨーク市場での終値を期日別にみると、5月渡しの24日の終値は戦争開始後の最高値をつけた20日終値との比較で5.99%安。同じ期間での下落率は受け渡し期日が先になるほど小さくなり、12月渡しでは2.32%安の1バレル=76.76ドルとなっている。WTIの翌月渡しは2月には61-68ドル程度で取引されていたが、開戦前の水準に戻るとの期待は低くなっているといえそうだ。
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