米国株、見通し不安継続 S&P500反発 トランプ氏がイラン情勢翻弄
S&P500は4営業日ぶり反発。トランプ氏がイラン攻撃の延期を表明したことが好感された。ただ、投資家の警戒感は緩んでいない。
アメリカの株式市場で見通し不安が続いている。S&P500種株価指数の23日の終値は前週末比1.15%高となり、4営業日ぶりの反発。ドナルド・トランプ大統領がイランの発電所を標的とした攻撃の延期を表明したことが好感された。トランプ氏はイランと生産的な対話を行ったとしており、世界経済全体の懸念材料となっているホルムズ海峡封鎖の解除が近づいたとの楽観が広がった。原油先物市場では指標価格であるWTI(5月渡し)が急落したほか、株式市場では「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価が1週間ぶりにそろって上昇している。ただ、イラン側は米国との対話を否定しており、投資家の警戒感は緩んでいない。2月末の米国とイスラエルによるイラン攻撃は双方の対話が継続中に始まったこともあり、S&P500の今後の見通しは、トランプ氏やイラン側の対応次第で再び大揺れの展開になる可能性がありそうだ。
アメリカのS&P500は1.15%高 1か月半ぶりの高い上昇率
S&P500(SPX)の23日の終値は6581.00。前週末比での上昇率(1.15%高)は、2月6日(1.97%高)以来の高い伸び率だった。前週末20日までの3日続落で記録した下落幅の36%程度を取り返している。ブルームバーグによると、1月27日の最高値(6978.60)からの下落率は5.70%安となった。
トランプ氏がイランの発電所への攻撃を延期 S&P500先物は10分間で3.67%上昇
S&P500を反発させたのは、23日夜までにホルムズ海峡を開放しなければイラン最大の発電所に攻撃を加えるとしていたトランプ氏の変心だ。トランプ氏は23日の取引開始時間前、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、イラン攻撃開始の期限を5日間延期すると表明。イランとの間で、敵対関係の完全で総合的な解決に関する「非常に良好で生産的な対話」があったとした。
この投稿の内容が伝わった金融市場では、取引が続いていたS&P500の先物商品の価格が急騰。ブルームバーグによると、EミニS&P500先物(6月限)の価格は午前7時14分には6748.00をつけ、午前7時4分段階での6509.00から10分間のうちに3.67%高となった。イランへの攻撃を思いとどまったかにみえるトランプ氏の情報発信が、中東からのエネルギー供給の断絶を招いているホルムズ海峡の封鎖が解消されるとの期待につながったようだ。
原油価格は88ドル台まで急落 マグフィニセント・セブンもそろって上昇
こうした中、原油先物市場の緊張感も緩んだ。ブルームバーグによると、WTI(5月渡し、WTI原油)は、トランプ氏の投稿内容を機に急落し、23日のニューヨーク市場の終値は前週末比10.36%安の1バレル=88.13ドル。トランプ氏が電話インタビューでイラン攻撃の完了を示唆したと報じられた10日(11.94%安)以来の下落率となった。原油価格の高止まりは世界経済にとっての大きなショックになると懸念されているだけに、23日の原油価格急落はS&P500をめぐるムードを明るくする材料なったといえる。
また、23日の株式市場ではS&P500への影響度が大きいマグニフィセント・セブンの株価もそろって上昇。テスラ(TSLA)が4営業日ぶり反発の前週末比3.50%高となったほか、アマゾン・コム(AMZN)も4営曜日ぶり反発の2.32%高となっている。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)は5営業日ぶり反発の1.70%高だった。7社すべての株価が値上がりするのは、ホルムズ海峡の安全確保に向けた進展の可能性やエヌビディアの高性能半導体システムの人気の高さが示された16日以来、5営業日ぶりだ。
イラン側はアメリカとの対話を否定 VIX指数は高止まりが継続
ただ、4週目に入った米国とイランの交戦が収束する見通しが立っているわけではない。イラン国営放送のXアカウントは米国東部時間23日午前11時台に、イランの外務省報道官が米国との対話の事実を否定したと投稿。ホルムズ海峡や戦争終結の条件をめぐるイランの立場は変わっていないとした。ブルームバーグによると、トランプ氏は23日、記者団に対して、スティーブ・ウィトコフ特使らが22日にイラン側の「トップの人物」と協議したとしているが、トランプ氏が主張する通りの進展があったかは不透明といえる。
このため、金融市場では投資家の不安は収まっていない。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の23日の終値は26.15。前週末から2.35%の低下に留まり、16営業日連続で20の大台を超えている。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
イランでの戦争の収束に不透明感 S&P500の見通しには急落のリスクも
投資家の不安が落ち着かない背景には、米国とイスラエルによる2月28日のイラン攻撃が米国とイランの協議が続く中で始まったという事情もありそうだ。ウィトコフ氏らとイランのアッバス・アラグチ外相は攻撃開始2日前の26日にスイスでイランの核開発をめぐる協議を行い、仲介国のオーマンから翌週も事務レベルでの協議が行われることが明かされていた。23日のS&P500の上昇率(1.15%高)は、トランプ氏が相互関税の一部停止を決めた2025年4月9日の9.52%高と比べても、勢いの違いが明らかだ。
米国とイスラエルによるイラン攻撃が発端となった戦争はすでに中東地域に大きな打撃を与えており、トランプ氏の一存で戦火が鎮まるとは言い切れない状況にある。投資家心理はトランプ氏の今後の情報発信やイラン側の姿勢次第で大きく揺れ動くことが避けられず、S&P500の今後の見通しには、下落圧力が急激に強まるリスクが潜んでいそうだ。
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