原油価格、混迷深まる WTI一時101ドル 米国がイランに最後通牒
WTI(5月渡し)は23日に一時101ドルまで上昇。トランプ氏がイランの発電所への攻撃を示唆したためだ。原油高の長期化は避けられない。
原油価格の混迷が深まっている。原油先物市場の指標価格であるWTI(5月渡し)は日本時間23日午前の取引で、一時1バレル=101ドル台を記録。1週間ぶりの高値をつけた。長期化するイランでの戦争をめぐり、アメリカのドナルド・トランプ大統領がイランに対して48時間以内のホルムズ海峡封鎖の解除を要求。受け入れられなかった場合には、手始めにイラン最大の発電所を攻撃するとの最後通牒を突き付けたためだ。これに対してイランは徹底抗戦の姿勢を維持し、周辺国の発電所への攻撃の可能性も示している。中東での戦火拡大が懸念される中、国際エネルギー機関(IEA)はイランでの戦争は世界の石油市場にとって史上最大の供給ショックになりえるとし、エネルギー消費の抑制への取り組みを求めている。ただ、ホルムズ海峡の封鎖が続く限りは原油価格の高止まりが続くことは避けられず、トランプ氏の最後通牒の期限である日本時間24日朝に向けて、緊張感が高まっていきそうだ。
WTIは一時101.50ドル 1週間ぶりの高値
WTI(5月渡し、WTI原油)は日本時間23日午前10時46分段階で1バレル=98.30ドルで取引されている。ブルームバーグによると、週明けの取引開始直後にあたる午前7時には101.50ドルをつける場面もあり、ちょうど1週間前にあたる16日午前7時につけた102.44ドル以来の高値となった。WTIはイラクがトルコ経由での石油輸出を再開すると伝わった18日午後3時台には91.96ドルまで下落する場面もあったが、イランでの戦争はその後、双方がエネルギー施設への攻撃を行う事態となっており、原油価格への上昇圧力は消えていない。
トランプ氏が24日朝までのホルムズ海峡封鎖解除を要求 イランは徹底抗戦の構え
23日のWTIの上昇の背景には、トランプ氏がイランに対して最後通牒を突き付けたことがある。トランプ氏は日本時間22日午前8時44分、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、イランが48時間以内にホルムズ海峡を完全に開放しなければ、「米国はイランの各種の発電所に攻撃を加え、壊滅させる。最初の標的は最大の発電所だ!」と宣言した。
これに対してイラン側は徹底抗戦を継続するもよう。イラン国営メディアのXのアカウントによると、イラン軍の報道官は、米国がイランの発電所に攻撃を行った場合は、ホルムズ海峡は完全に封鎖され、破壊された発電所が再建されるまで開放されることはないと言明。周辺国にある米国関連の発電所やエネルギー施設、情報技術設備などを攻撃するとしている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)はイラン軍の攻撃の対象には周辺国の淡水化施設も含まれるとしている。
過去最大の供給途絶で原油価格の高止まり避けられず さらなる上昇圧力の高まりも
米国とイランの双方が強硬姿勢を崩さない中、原油の供給不安は今後も継続していきそうだ。IEAは20日発表の報告書の中で、イランでの戦争は世界の石油市場にとって過去最大の供給途絶の引き金を引いたと言及。IEA加盟32か国は11日に史上最大規模となる4億バレルの石油備蓄放出で合意したものの、「供給途絶の規模の大きさを完全に打ち消すことはできない」とし、現状のままでは原油高を抑え込むことができないとの見方を示唆した。IEAは消費者への圧迫を減らすためには需要抑制策も重要になるとしており、自動車の使用を控えて公共交通機関を利用するなどの取り組みを、各国政府や企業、消費者に対して求めている。
ただ、ホルムズ海峡封鎖という根本原因が続く限りは原油価格の高止まりは避けられない。ブルームバーグのデータでWTIの価格を期日別にみると、受け渡しが10月に行われる先物商品の価格は日本時間23日の取引で81ドル台後半で取引されており、約1週間前の13日のニューヨーク市場での終値である80.08ドルから2%近く高い水準になっている。
投資家の原油価格の高止まりへの意識が強まる中、トランプ氏が宣言通りにイランの発電所への攻撃を実施した場合、戦火の拡大や長期化見通しが原油価格にさらなる上昇圧力をかける可能性がある。トランプ氏が設定した攻撃開始のタイミングである日本時間24日午前8時44分に向けて、WTIへの上昇圧力が高まっていきそうだ。
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