米国株、急落後に急上昇 S&P500反発 イラン交戦終結には不安も
S&P500は0.83%高。トランプ氏が米国のイラン攻撃が終了に近いと示唆したと報じられたことが好感された。ただ投資家の不安は収まっていない。
アメリカの株式市場が大きく揺れた。S&P500種株価指数の9日の終値は前週末比0.83%高となり、3営業日ぶりの反発。午前の取引で1.54%安まで大きく値下がりした後、プラス圏に復帰した。ドナルド・トランプ大統領が9日にイラン攻撃の完了を示唆したと報じられたことが急騰につながった結果だ。この報道は原油価格も大きく下落させたほか、大手ハイテク7社の株価上昇にもつながっている。ただ、トランプ氏は9日の取引時間終了後の記者会見では攻撃終了の具体的な時期は明言せず。ホルムズ海峡の封鎖が解消されるかどうかには不透明感もあり、投資家心理が悪化した状態は続いている。こうした中、11日に発表される2月の消費者物価指数(CPI)が物価上昇の根強さを示した場合には、経済の悪化と物価上昇が同時に進行する最悪のシナリオが改めて意識される可能性もある。S&P500の今後の見通しには再び波乱が起きる筋書きも残っていそうだ。
アメリカのS&P500は0.83%高 最高値からは2.62%安
S&P500(SPX)の9日の終値は6795.99。ブルームバーグによると、9日の取引では午前11時台に6636.04 をつけ、前週末比1.54%安となる場面もあったが、取引終了まで1時間を切った段階で一気に上昇が加速した。9日の終値は3営業日ぶりの反発で、1月27日の最高値(6978.60)からは2.62%安の水準にあたる。
トランプ氏がイラン攻撃終結を示唆 WTIは前日の119ドルから81ドルまで下落
S&P500のムードを急変させたのはトランプ氏がイランへの攻撃を終結させるとの期待が広がったことだ。米CBSのホワイトハウス担当記者が午後3時16分、SNSのXへの投稿で、トランプ氏が電話インタビューでイラン攻撃について、「完璧に完了したと思う。イランには海軍も通信も空軍もない」と述べたと報道。また、イラン攻撃は当初想定してた4-5週間よりも「大幅に早く」進んでいると述べたとも明かした。
S&P500は報道前は前週末比0.35%安の水準だったが、報道後は一時、1.04%高まで跳ね上がった。また原油先物市場では指標価格のWTI(翌月渡し、WTI原油)が急落。ブルームバーグによると、報道前の1バレル=95ドル台から、報道後には81.19ドルをつける場面もあった。WTIは石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡封鎖が長期化するとの懸念から8日夜(日本時間9日午前)には119.48ドルをつけていたが、報道が米国とイランの交戦終結への期待を高めた結果、急落につながったといえそうだ。原油価格をめぐっては、主要7か国(G7)の財務相会合が9日にオンラインで開かれ、「備蓄の放出といった世界的なエネルギー供給への支援などの必要な手段」を取る用意があるとの声明文を発表していた。
トランプ氏はイラン攻撃の終了時期を明言せず VIX指数は25.50の高水準
ただ、米国とイランの交戦が終了する具体的な時期は不透明だ。トランプ氏は取引時間終了後、フロリダ州での記者会見で、イランとの交戦について「もうすぐ終わるだろう」と述べつつも、イラン攻撃の終了時期については明言しなかった。また新たな最高指導者にモジダバ・ハメネイ師を選んだイランの対応次第では、ホルムズ海峡の封鎖状態が解消されない可能性もある。
このため、9日の金融市場では投資家心理の大きな改善はみられなかった。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の9日の終値は25.50。イラン攻撃終結をめぐる報道が下落要因となって、前週末の29.49からは13.53%低い水準まで下がったが、依然として20の大台を大きく超える高さだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることを示す。
11日発表の2月CPIも波乱要因になる可能性 物価上昇の強さで最悪シナリオも
中東の戦火をめぐる懸念がホルムズ海峡の封鎖状態を長期化させれば、今後も原油価格が高止まりして米国内の物価上昇圧力として働く可能性がある。こうした中、11日午前8時30分(日本時間11日午後9時30分)に発表される2月CPIが物価上昇圧力の強さを示せば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを難しくするS&P500にとっての逆風とみなされそうだ。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.4%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.5%となり、いずれも前月から横ばいとなると見込まれている。
米国経済をめぐっては6日発表の2月雇用統計が想定外の悪さとなって米国経済のほころびを示し、S&P500が前日比1.33%安になった。ここに物価上昇圧力の強さが加われば、経済の悪化と物価上昇加速が同時に進む最悪のシナリオが金融市場で意識され、S&P500が改めて急落に見舞われる可能性もありそうだ。
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