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米国株波乱も 21日に議事要旨と重要決算 S&P500好調続くか

21日に1月FOMC議事要旨とエヌビディアの11-1月期決算が発表される。S&P500の値上がりにブレーキがかかる波乱も。

米国株波乱も 21日に議事要旨と重要決算 S&P500好調続くか 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場に二重の試練が近づいている。米国東部時間の21日に発表される連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨と半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の四半期決算が相場のムードに変化を及ぼす可能性があるからだ。FOMC議事要旨が利下げ期待をさらに遠のかせたり、人工知能(AI)ブームを牽引するエヌビディアの決算が評価されなかったりすれば、S&P500に下押し圧力がかかる可能性がある。S&P500は2024年に入って好調を維持しているが、21日が波乱の1日になる恐れもぬぐえない。

21日にFOMC議事要旨とエヌビディア決算

米連邦準備制度理事会(FRB)は21日午後2時(日本時間22日午前4時)に1月30、31日のFOMCの議事要旨を公表する。またエヌビディアは21日午後4時20分(日本時間22日午前6時20分)に2023年11月-2024年1月期決算を発表する。エヌビディアの決算発表は米国株式市場の取引時間終了後で、時間外取引で大きな値動きが出そうだ。

FOMC議事要旨で注目されるのは利下げ時期をめぐる議論。ジェローム・パウエル議長は1月31日のFOMC後の記者会見で3月の利下げについて「ありそうにない」と述べ、金融市場での利下げ期待を後退させた。31日のS&P500(SPX)は前日比1.61%安となり、2024年としては最大の下落率を記録した。FRBは物価上昇が高止まりすることへの警戒を解いておらず、議事要旨でも利下げ開始に慎重な姿勢が改めて浮き彫りになる可能性がある。

アメリカの利下げ期待が後退すればS&P500を下押しも

こうした利下げ期待の後退が現実になれば、S&P500に改めてブレーキがかかることも考えられる。1月の消費者物価指数(CPI)が発表され、物価上昇の根強さが確認された2月13日も利下げ期待が後退。長期金利は11月末以来の高さとなる4.316%まで上昇し、S&P500は1.37%安となった。このところの金融市場では6月の利下げ開始が最有力視されているが、その確度が高まるなどすれば、株価に逆風となることも考えられそうだ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

エヌビディアは前回決算発表後に株価が急落

またエヌビディアが四半期決算で金融市場の失望を招いた場合も株価には下落圧力がかかる。AI開発向け半導体の成長性が期待されるエヌビディアの株価(NVDA)は2023年に3.4倍に上昇。2024年に入ってからもすでに46.63%値上がりしている。時価総額は1兆7900億ドルに達しており、S&P500構成銘柄の中ではマイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)に次ぐ3番目の規模にまで成長した。その分、エヌビディア株の値動きがS&P500に与える影響も大きくなっている。

マイクロソフト、アップル、エヌビディアの時価総額の推移のグラフ

エヌビディアの前回(2023年8-10月期)決算は市場予想を上回る好決算だったが、中国向け輸出の先行きに不安が集まり株価下落を招いた。発表翌日にあたる11月22日の株価の終値は前日比2.46%安。その後、2週間では8.89%安となった。この2週間のS&P500は0.64%高に留まり、直前の2週間の終値の3.65%高からブレーキがかかった。今回のエヌビディア決算でも中国向け輸出をめぐる不安が株価を動かすことも想定される。

一方、このところのFRBの利下げ期待の後退や前回のエヌビディアの決算はS&P500の上昇基調を崩したわけではない。S&P500は1月19日には約2年ぶりの史上最高値更新を果たし、2月9日には初の5000台に乗せた。2024年の上昇率は16日終値時点で4.94%で、堅調さを維持している。とはいえ、FRBの利下げ期待とAIブームの継続はS&P500の好調さを裏付ける大きな要因であるだけに、21日に発表内容に株式市場が神経質な反応を示すこともありそうだ。


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