米国株、週明けに波乱も S&P500急落 イラン情勢に週末リスク
S&P500は週次1.60%安。経済指標も悪材料となり、大手ハイテク株の堅調さも崩れた。イラン情勢は週末にも悪化する恐れがある。
アメリカの株式市場が揺れ続けている。S&P500種株価指数の13日の終値は1週間前比1.60%安で、直近の4日間では2.41%安の急落。イラン情勢を受けたホルムズ海峡封鎖の長期化懸念で原油価格の高騰が止まらず、株式市場の波乱も長引く可能性が出ている。また、13日に発表された経済指標では米国経済の弱さと物価上昇圧力の根強さがみられ、米国経済にとっての最悪のシナリオを予感させた。こうした中、堅調な値動きにみえた「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価は13日まで2日連続でそろって下落しており、S&P500を下支えする効果が薄れているもようだ。S&P500の今後の見通しをめぐっては18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後の連邦準備制度理事会(FRB)の情報発信が焦点。ただ、イラン情勢は週末の間にも大きく動くリスクがあり、S&P500は週明けから急落に見舞われる恐れもある。
アメリカのS&P500は週次1.60%安 直近の4営業日続落では2.41%下落
S&P500(SPX)の13日の終値は前日比では0.61%安の6632.19。週初めの9日はドナルド・トランプ大統領がイラン攻撃の完了を示唆したと報じられたことから前週末比0.83%高となったが、10日以降の4日続落で合計2.41%安という急落になっている。ブルームバーグによると、1月27日につけた最高値(6978.60)からは4.96%安の水準だ。週次での下落(1.60%安)は3週連続で、トランプ氏の高関税政策への懸念が強まっていた2025年3月10-14日週までの4週続落以来、1年ぶりの悪い記録となった。
米国とイランは共に強硬姿勢 原油価格の高騰続く
S&P500に下落圧力をかけ続けているイラン情勢の悪化は改善の兆しがみえない。トランプ氏は13日午前0時台(日本時間13日午後1時台)の自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、イランは47年間にわたって世界中で無実の人々を殺してきたと主張。「第47代米国大統領として彼らを殺害している。これほど名誉なことはない!」とした。一方、イランの新最高指導者のモジタバ・ハメネイ師は12日に公表された声明で、ホルムズ海峡の封鎖を維持し、新たな戦線を開く考えを示している。シカゴ・オプション取引所によると、S&P500のオプション取引の動向から算出され、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の13日の終値は27.19で、10営業日連続で20の大台を超えている。
ホルムズ海峡封鎖の長期化懸念は、原油価格の上昇を招くS&P500にとっての逆風だ。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し、WTI原油)の13日の終値は前日比3.11%高の1バレル=98.71ドル。9日の取引時間中につけた119.48ドルとの差が縮まってきた。石油の海運がホルムズ海峡を通過できない事態は世界経済に大混乱を起こしかねず、S&P500への悪影響が長期化する恐れがある。
米国の10-12月期実質成長率は1.4% に下方修正 物価上昇には根強さも
また米国経済をめぐっては、13日の経済指標で悪い結果が示された。2025年10-12月期GDP改定値では実質成長率が前期比年率0.7%となり、速報値での1.4%から下方修正。ブルームバーグがまとめた市場予想の1.4%を下回った。個人消費の伸び率は2.0%とされ、やはり速報値での2.4%から下方修正されている。10-12月期は10月1日から43日間にわたって続いた政府機関閉鎖の悪影響があったとはいえ、成長率の下方修正は米国経済の見通しを弱めるS&P500にとっての逆風だ。
さらに13日発表の1月の個人消費支出(PCE)物価指数では物価上昇圧力の根強さも示されている。総合指数の伸び率は前年同月比2.8%で前月(12月)の2.9%から低下した一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.1%となり、前月(3.0%)から物価上昇が加速。2024年3月(3.1%)以来、1年10か月ぶりの高水準となった。足元の原油高は米国内の物価上昇圧力として働くことは必至で、物価高懸念がFRBの経済活動刺激を見据えた利下げを難しくする最悪のシナリオもちらつく。
マグニフィセント・セブンが下落基調に S&P500に新たな不安材料
こうした中、イラン攻撃開始後も堅調な値動きにみえた大手ハイテク株の値動きにもほころびがみえてきた。12日と13日の取引では、マグニフィセント・セブンと呼ばれる7社の株価がすべて前日比で下落。13日までの週次ではメタ・プラットフォームズ(META)が3週続落の4.83%安、マイクロソフト(MSFT)が2週ぶり反落の3.28%安などとなっている。BITA社が7社の株価に基づいて算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)の13日の終値は1644.50で、イラン攻撃開始前日の2月27日比で1.84%安に転落した。7社は時価総額の大きさからS&P500への影響度が高く、株式市場にとっては不安材料が増したといえる。
週明け以降にはFOMCや注目決算 イラン情勢の週末悪化はS&P500のリスク要因
S&P500の週明け16日以降の見通しをめぐっては、FRBが17、18日のFOMC後に示す金融政策の方向性が焦点のひとつ。ジェローム・パウエル議長の記者会見や、声明文、経済見通しから物価上昇への懸念の強さが感じられれば、S&P500にとっては下落要因になりそうだ。また18日の取引時間終了後にはメモリ半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)の2025年12月-2026年2月期決算が発表され、大手ハイテク株の値動きに影響が出る可能性がある。
ただ、投資家にとって最大の懸案であるイラン情勢は週末のうちにも大きく動く恐れがある。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は13日、複数の関係者の話として、国防総省が強襲揚陸艦を含む艦船と海兵隊を中東に増派していると報道。トランプ氏は13日のFOXラジオでのインタビューで「来週にかけてイランに非常に激しい打撃を加えるつもりだ」とした。イラン情勢の悪化が続く限りはS&P500への下落圧力は収まらないといえ、S&P500は週明けも急落が止まらない可能性がありそうだ。
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