ドル円、円安進行159円台後半 イラン交戦長期化 為替介入困難?
ドル円相場は1年8か月ぶりの円安水準。米国とイランの双方が強硬姿勢を示したことが要因だ。日本政府の為替介入は困難ともいえ、円安圧力が続きそうだ。
ドル円相場で円安が進んでいる。ドル円相場は日本時間13日午後の取引で1ドル=159円台で推移。1年8か月の円安水準に到達した。イラン情勢をめぐりアメリカとイランの双方が強硬姿勢を示し、交戦の長期化が必至な情勢となっていることが「有事のドル買い」につながっている。またホルムズ海峡封鎖がもたらしている原油高が米国内での物価上昇加速見通しを強め、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待が大きく後退していることも、ドル円相場での円安の要因といえそうだ。一方、日本銀行の金融政策をめぐっては利上げ見通しは強まっておらず、投機筋もイラン攻撃後、円売りにシフトしたもよう。有事のドル買いの中では、日本政府による為替介入の名目が立たない側面もあり、当面は円安圧力が続く可能性がある。
ドル円相場は一時159.69円 2024年7月の為替介入時以来、1年8か月ぶり円安水準
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間13日午後1時36分に、1ドル=159.69円をつけた。ブルームバーグによると、日本政府による為替介入で円高が急進する前にあたる2024年7月11日の水準(161.76円)以来、1年8か月ぶりの円安だ。前週末9日のニューヨーク市場の終値は157.78円で、1週間で1.91円の円安が進んだ形だ。
トランプ氏とハメネイ師がともに強硬姿勢 WTIは一時98.09ドルまで上昇
円安の背景にあるのはイラン交戦長期化を材料視した有事のドル買いだ。トランプ氏は米国東部時間12日午前9時台(日本時間12日午後10時台)に、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、世界最大の産油国である米国は原油価格の上昇で大金を稼ぐことができると言及。同時に、大統領である自身にとってはるかに重要な関心事は「邪悪な帝国であるイランが、核兵器を保有し、中東と世界を破壊することを阻むことだ」として、イランへの攻撃を継続する考えを示した。またブルームバーグによると、イランの新最高指導者モジダバ・ハメネイ師は12日、イラン国営メディアで発表された声明で、ホルムズ海峡の封鎖状態を維持するとの考えを示した。ハメネイ師は新たな戦線を開く考えも示している。
イラン交戦長期化の可能性は原油高の長期化につながりそうだ。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間13日午前7時台に1バレル=98.09ドルをつけた。WTIは9日に119.48ドルまで上昇した後、トランプ氏がイラン攻撃の完了を示唆したと報じられたことで76ドル台まで下落していたが、改めて上昇圧力が強まっている。
FRBの利下げ見通しは年内1回まで縮小 日銀の年内2回利上げ見通しに変化なし
こうした原油価格の上昇はFRBの利下げ見通しを弱めるドル円相場での円安要因だ。ブルームバーグによると、12日の金融市場では12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.449%と見込まれており、前日から0.108%ポイント上昇。年内に「1回」の利下げが行われる確率が76%と見積もられている。前日段階では年内の利下げ回数が「2回」となる可能性が19%あるとみられていたが、利下げへの期待は急速な縮小を続けている。
一方、これまでも追加利上げの可能性を示唆してきた日銀の金融政策をめぐっては、イラン交戦長期化を受けた利上げ見通しの強まりは感じられない。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月の金融政策決定会合後の政策金利の水準は13日午後2時32分段階で1.213%で、現状の0.75%よりも0.463%ポイント高い水準。年内2回の利上げ確率は92%程度あるとみられている。ただ、イラン攻撃前には3回利上げの可能性もあるとみられていたことを踏まえれば、利上げ期待が後退しているといえ、円高圧力を強めるには至っていない。
投機筋も円売りにシフトか イラン攻撃開始を挟んで買い越しから売り越しへ
こうした中、ドル円相場の動向を左右する投機筋はイラン攻撃後、円売りにシフトした可能性がある。米商品先物取引委員会(CFTC)の週次データによると、非商業部門は3日時点で円を1万6575枚売り越しており、前週(2月24日時点)の1万1539枚の買い越しから、円売りに転じた形だ。ドル円相場はこの間、155円台後半から157円台後半への円安が進んでいる。
ユーロなども下落で為替介入は困難か FOMCや決定会合での情報発信も焦点
足元のドル円相場が1ドル=160円の節目に近づく中、投資家の間では日本政府の為替介入で円高が急進する筋書きも意識されている。ただ、足元の円安は有事におけるドルの信頼性が評価された結果としてのドル高の側面が強く、円以外の通貨もドルに対して安くなっている。このため日本政府が為替介入に踏み切るだけの大義名分はないとの見方も成り立ちそうだ。ブルームバーグによると、円の対ドル相場の12日のニューヨーク市場の終値はイラン攻撃前日の2月27日との比較で2.07%の円安。同時に、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)も2.54%のユーロ安、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)も1.03%のポンド安、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)も0.58%の豪ドル安となっている。
このためドル円相場の今後の見通しをめぐっては、日本政府が為替介入に動けないとの観測が円安圧力を強めていく展開が想定される。半面、イラン交戦の長期化が米国経済の見通し不安につながったり、経済指標で米国経済の弱さが示されたりした場合には、有事のドル買いが「アメリカ売り」に一転する可能性も拭えない。13日に発表される米国の2025年10-12月期GDP改定値などに加え、FRBが18日までのFOMC後に利上げの可能性に言及するかどうかや、日銀が19日までの決定会合後に物価上昇や円安への警戒感を示すかどうかも注目されそうだ。
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