日経平均株価、エヌビディア決算後の展望と注目のチャート水準
エヌビディア決算後の日経平均株価の見通し(28~29日)。1.6倍が視野に入るPBR、ヘッドアンドショルダーの可能性、予想レンジは4万1340円~4万3490円。日本225株価指数CFDのテクニカルラインをIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・日米の株式市場はエヌビディア決算待ち
・日経平均のPBRは昨夏の水準へ上昇
・エヌビディア決算で米株安・円高となれば日経平均の下落警戒
・日本225の予想レンジは4万1340円~4万3490円
日米の株式市場はエヌビディア決算待ち
26日の東京株式市場では、米連邦準備理事会(FRB)のクック理事の解任を巡るトランプ米大統領の政治介入の報道が「円高→日本株売り」の要因となった。しかし、昨日の米国株式市場で主要3指数は反発して終えた。27日前場の日経平均株価は前日比135円55銭(0.32%)高の4万2529円95銭と反発して終えた。VIX指数は警戒水準とされる「20」を下回る状況が続いている。レポート掲載時点で日経平均ボラティリティー・インデックスも25ポイントを挟んでのレンジが続いている。
VIX指数と日経平均ボラティリティー・インデックス:日次 年初来

ブルームバーグのデータで作成
前日から直近までの市場の動きを考えるならば、日米の株式市場は次の重要イベント、27日のエヌビディア(NVDA)決算待ちのムードにある。
PBRは昨夏の水準へ上昇 、NVIDIA決算での米株安・円高を警戒
27日の通常取引終了後に米半導体大手のエヌビディアが、2025年5~7月期(第2四半期)の決算を発表する。22日のIG米国レポートで述べたとおり、焦点はデータセンターの成長性と業績見通しとなろう。
米国のビッグテック企業によるAIインフラへの巨額設備投資、今年1月にトランプ米大統領が発表した「スターゲートプロジェクト(今後4年間で5,000億ドルを投じる大規模AIデータセンタープロジェクト)」、そして中東地域でのビジネス拡大が中国需要の減少懸念を払しょくし、投資家の成長期待をつなぎとめることに成功すれば、同社の株価は時間外で上昇することが予想される。この場合、28日の東京株式市場では半導体関連銘柄の買いがけん引役となり、日経平均株価の上昇が予想される。
エヌビディアの株価は年初から35%上昇している。5月以降、株価は常に50日線を上回り、現在は180ドル台の最高値圏にある。この値動きは、同社に対する期待の高さを反映している。ゆえに市場参加者は、その期待の正当性を決算で厳しく見定めようとするだろう。8~10月期(第3四半期)の業績見通しで売上高や1株利益がアナリスト予想を上回っても、第2四半期の利益率やその見通しが市場の失望を誘い、株価が下落する展開も想定しておきたい。
決算を受けエヌビディア株が下落する場合は、米株価指数先物の下落が予想される。米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性がドル信認の問題として意識されている状況を考えるならば、米株安はリスク回避の円高要因になり得る。
エヌビディアの株価チャート:日足 年初来

出典:TradingView
日経平均株価の株価純資産倍率(PBR)は1.56倍と、昨夏の市場急落時の水準まで上昇している。株高トレンドが鮮明となった2023年以降、PBRが1.6倍に向けて上昇すると日経平均株価の上値が重くなるパターンが見られる。エヌビディアの決算で米株安と円高が同時に発生する状況に陥る場合、28日と29日の日経平均株価は下落相場を警戒したい。
日経平均株価と株価純資産倍率(PBR)の動向:日次 2023年以降

ブルームバーグのデータで作成 / PBR:8月26日時点
日本225の見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:4万3490円
27日前場の日経平均株価は反発して終えた。昨日の米国株の反発を好感し、後場も底堅い展開が予想される。しかし、エヌビディアの決算を控え上値では売りが入る展開を想定したい。日経平均株価が上下どちらかに大きく動くなら、28日以降となろう。
株価指数CFD「日本225」のトレンドを日足チャートで確認すると、現在は4万2100円がサポートラインとして意識されている。テクニカルの面では、現在4万2145円まで上昇している25日線の維持が焦点に浮上している。4万2100円(25日線)が下値支持線となり日本225の上昇幅が拡大する場合は、4万3000円の攻防が最初の焦点となろう。このライン付近には、22日以降相場の上昇を止めている10日線が推移している。
日本225の4時間足チャートでトレンドを確認すると、ヘッドアンドショルダーを形成する可能性がある。前述した4万3000円を上方ブレイクする場合は、「ショルダー」にあたる4万3200円および4万3490円の攻防に注目したい。後者のテクニカルラインは、サポートとしてもレジスタンスとしても意識された経緯がある。現在は上値抵抗線に転換する可能性がある。このラインを29日までの上限と想定したい。
レジスタンスライン
・4万3490円:予想レンジの上限(4時間足)
・4万3200円:レジスタンスライン(4時間足)
・4万3000円:10日線(日足)
予想レンジの下限:4万1340円
前述のとおり、日本225はヘッドアンドショルダーを形成する可能性がある。「ヘッド」の4万3938円とネックラインの4万2200円との差は1738円。日本225がネックラインを完全に下方ブレイクする場合は、4万0462円が重要な下値のターゲットとなる。
しかし、今週28日と29日の2日間で4万0462円を目指す可能性は低いだろう。まずは、レポート掲載時点での8月高値と安値の半値戻しの水準4万1835円と61.8%戻しの水準4万1340円の攻防が焦点となろう。
サポートラインへ転換する可能性がある4万1340円を29日までの予想レンジの下限と想定したい。27日のエヌビディア決算と29日発表の7月米個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)がいずれも米株安の要因となれば、週後半の米国株は下落幅が拡大する可能性がある。この場合、日本225も調整売りが加速し、4万1340円を視野に下落幅の拡大を警戒したい。
サポートライン
・4万2200円:ネックライン(4時間足)
・4万2100円:25日線(日足)
・4万1835円:半値戻し(4時間足)
・4万1340円:61.8%戻し(4時間足)、予想レンジの下限(4時間足)
日本225のチャート:日足 5月以降

出典:IG / TradingView
日本225のチャート:4時間足チャート 7月下旬以降

出典:IG / TradingView
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