日経平均株価 週間見通し (11/4週):5万3000円視野も高まる過熱感、調整警戒
日経平均株価の週間見通し。AI相場、国内の企業決算、為替にらみ。過熱警戒による調整売り警戒。株価指数CFD「日本225」の重要チャート水準をIG証券のアナリストが詳細解説。
 要点
- 米国株と同じく日経平均株価もAI相場に支えられている。3日のナスダック上昇は米AI相場の勢いが持続していることを示唆。国内企業の決算と円安進行が追い風となれば、日経平均株価は強気相場を維持しよう
 - しかし、NT倍率の上昇と移動平均線との乖離拡大は過熱感の高まりを示しており、調整売りを警戒したい
 - 株価指数CFD「日本225」の週間予想レンジは5万1400円~5万3000円。強気維持の場合は、10月31日高値52,637円突破がさらなる上値トライの鍵を握る。一方、調整局面では5万2000円の攻防が最初の焦点となろう
 
AI相場頼みの日経平均株価
祝日(文化の日)で東京株式市場が休場だった3日の市場で、日経平均株価の株価指数CFD「日本225」は底堅さを維持した。一時5万2614円まで上昇し、10月31日の高値5万2646円に迫る場面があった。
日本225の15分足チャート:11月3日の動向
 出所:IGチャート
 ブルームバーグのデータを基に作成
日経平均株価に過熱警戒サイン点灯
しかし、日経平均株価には過熱警戒のサインが点灯している。今年10月以降、冒頭で取り上げたAI関連銘柄の買いで日経平均株価とTOPIXのパフォーマンスの乖離が拡大(緑矢印を参照)。NT倍率は15.73倍(10月31日時点)と2021年2月の15.66倍を突破し、一部銘柄の買いに支えられた過熱相場の様相を呈している。
日経平均株価とTOPIXの動向:2020年以降
 ブルームバーグのデータを基に作成
※上チャートのパフォーマンス:2019年末を100とし指数化
チャート上でも過熱サインが点灯している。25日線と50日線との乖離率はそれぞれ8.9%、14.3%へ拡大。日足のRSIは「買われ過ぎ」の水準で推移する状況が続いている。
2日のIG米国株レポートで指摘した強い経済指標が12月米利下げ観測の後退要因となれば、米AI相場は調整売りに直面する可能性がある。この場合は日経平均株価の過熱相場が意識される展開を警戒したい。
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日経平均株価の日足チャート:2025年以降
 TradingView提供のチャート
国内企業の決算と円安
本日4日から来週にかけて主要企業の決算発表がピークを迎える。今週は任天堂、NTT、IHIそして三菱商事などの大手商社が決算を発表する。
焦点は米関税が企業収益に与える影響の度合いである。この点を見極める上で、5日のトヨタ自動車(7203)と日本製鉄(5401)の7-9月期決算に注目したい。米関税が業績に与える影響が限定的となれば、AI関連銘柄に集中した買いが分散することで日経平均株価を下支えする要因になり得る。
円相場の動きにも注目したい。3日の外為市場でル円(USD/JPY)は154.30手前まで上昇する局面が見られた。4月下旬以降、右肩上がりのトレンドチャネルを形成し、155円のトライが視野に入る。対ユーロやスイスフランでも円は最安値圏にある。円安の進行はトヨタなど輸出関連株の押し上げ要因となろう。
ドル円の日足チャート:2025年4月以降
 TradingView提供のチャート
日本225のチャート分析
予想レンジの上限:5万3000円
前述の材料(AI相場、国内の企業決算、円安)が日経平均株価の強気相場を支える場合、株価指数CFD「日本225」は以下にまとめた上値水準の攻防に注目したい。
最大の焦点は、次の節目水準5万3000円のトライとなろう。この水準を挟んで2つのフィボナッチ・エクステンション161.8%が展開している(1時間足チャートを参照)。テクニカルの面でも意識されやすい状況にある5万3000円を今週の上限と想定したい。
日本225が5万3000円をトライするサインとして、10月31日の高値水準5万2637円の攻防に注目したい。東京株式市場が休場だった3日の市場で5万2614円まで上昇する場面が見られ、地合いの強さを示した。今週、日本225が5万2637円を完全に突破すれば、1時間チャートのフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準5万2990円を視野に上昇拡大を想定したい。このテクニカルラインの突破は、5万3000円をトライするサインとなろう。テクニカルの面では、もう一つのフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準5万3052円の攻防に注目したい。
注目の上値水準
・5万3052円:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・5万3000円:予想レンジの上限
・5万2990円:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・5万2637円:10月31日高値
予想レンジの下限:5万1400円
過熱相場を意識した調整売りで日本225が下値をトライする局面では、以下にまとめた下値水準の攻防が焦点となろう。
10月31日と11月3日の反落局面では、1時間足チャートの2つのフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準で反発した。38.2%戻しの水準で反発した状況も考えるならば、5万2000円の維持が最初の焦点となろう。このラインはフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しにあたる。5日線も上昇しており、5万2000円はテクニカルの面でサポートラインとして意識される可能性がある。
日本225が5万2000円をブレイクする場合は、サポート転換の可能性がある半値戻しの水準5万1710円のトライを想定したい。このテクニカルラインも下方ブレイクする場合は、同じくサポート転換の可能性がある5万1400円を視野に下落拡大を警戒したい。この水準を今週の下限と想定したい。
注目の下値水準:1時間足チャート
・5万2200円:23.6%戻し
・5万2000円:5日線、23.6%戻し
・5万1930円:38.2%戻し
・5万1710円:半値戻し
・5万1400円:予想レンジの下限
日本225の日足チャート:2025年8月以降
 TradingView提供のチャート
日本225の1時間足チャート:10月27日以降
 TradingView提供のチャート
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