日経平均 週間見通し(11/17週):歪な相場への警戒感、5万円維持なるか、エヌビディア決算に注目
日経平均株価の週間見通し。今週前半は上値の重い展開か。週後半のトレンドはエヌビディア決算の次第。日本225株価指数CFDの展望と注目のチャート水準をIG証券のアナリストが詳細解説。
要点
- 先週のTOPIXは1.85%高も日経平均株価は0.2%高にとどまりNT倍率が低下。好決算のソフトバンクG株が3日続落した状況は、一部銘柄に依存した今の歪な相場に対する市場の警戒感を示唆している
- 今週最大の焦点は19日のエヌビディア決算。米AI株買いの要因となれば、今週後半の国内関連株と日経平均株価を下支えする展開が予想される。一方、投資家の失望を誘う内容なら調整売りの加速を警戒
- 株価指数CFD「日本225」の週間予想レンジは49,000円~51,500円。週前半は調整相場を警戒したい
歪な上昇相場への警戒感
先週(11月10日~14日)のTOPIX(東証株価指数)は1.85%高で終えた。一方、日経平均株価は0.2%高と11月第1週の4%安から反発したが上値が重かった。
日経平均株価とTOPIXの週間変動率:2025年6月以降
ブルームバーグの価格データで作成
ブルームバーグの価格データで作成
一時15.73倍まで上昇したNT倍率が急速に低下している。前述の値がさ株の売りも考えるならば、一部の銘柄に依存した「歪な相場」に対する市場の警戒感が高まっていることを示唆している。
NT倍率の日足チャート:2020年以降
ブルームバーグの価格データで作成
エヌビディア決算に注目
今週、国内のAI関連株は、米半導体大手エヌビディア(NVDA)決算の影響を受けるだろう。同社は19日の取引終了後に2025年8〜10月期(FY2026 Q3)決算を発表する。
ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想では、売上高が前年同期比57.15%増の551億ドル、調整後1株当たり利益(EPS)は1.26ドル(前年同期0.81ドル)が見込まれている。総売上高の8割以上を占めるデータセンター事業の売上高は前年同期比59.71%増の491億ドルと、堅調な伸びが見込まれている。
Q3コンセンサス予想
コンセンサス予想:ブルームバーグ / レポート掲載時点
11月の米株式市場では、エヌビディアなどAI銘柄の割高感が意識されている。現在の株価を正当化できるかどうかについて、市場は業績見通しに着目しよう。
ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想によれば、2025年12月~2026年1月期(FY2026 Q4)の売上高は前年同期比56.68%増の616億ドル、EPS(調整後)は1.43ドル(前年同期0.89ドル)が見込まれている。データセンター事業の売上高は58.04%増の562億ドルを見込む。
利益率も材料視される可能性がある。同社はQ3の売上高総利益率(非GAAPベース)を73.5% ± 0.5%と見込んでいる。一方、ブルームバーグのコンセンサス予想によれば、Q4は74.63%を見込む。
Q4コンセンサス予想
コンセンサス予想:ブルームバーグ / レポート掲載時点
エヌビディアの株価は現在、25日線(レジスタンスライン)と90日線(サポートライン)の攻防にある。企業向けAI システム「GB300」の需要増加やアルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)などのハイパースケーラーによる設備投資の増加が追い風となり、業績見通しが投資家の期待を上回れば、エヌビディアの株価は200ドル台を視野に上昇が予想される。一方、同社の成長懸念を意識させる決算内容となれば、170ドル割れを警戒したい。
エヌビディア決算は、国内のAI関連銘柄のトレンドを左右するだろう。今週の日経平均株価は、後半に大きく動く可能性がある。
エヌビディアの株価チャート:2025年9月以降
TradingView提供のチャート
日本225の週間見通しとチャート分析
今週の展望
一部の銘柄に依存している今の歪な相場への警戒が続けば、今週前半の日経平均株価は調整売りを警戒したい。一方、1エヌビディア(NVDA)決算が米AI銘柄の買い戻しを促す場合は国内値がさ株の買い要因になり得る。日経平均株価を原資産とする株価指数CFD「日本225」の週間予想レンジは4万9000円~5万1500円。
上限:5万1500円
今週、日本225の上昇局面では、5万0800円台の突破が最初の焦点となろう。5万0820円台に20日線が推移している。5万0812円はフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(1時間足チャート参照)。先週14日の市場で二度上値を止めた5万0730円(1時間足チャート、黒矢印を参照)の上方ブレイクは、5万0800円をトライするサインと考えたい。
日本225が20日線を完全に突破すれば、次の焦点は5万1000円の攻防となろう。5万1080円はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。5万1000円台で底固めとなれば、先週の後半以降、相場の上昇を止めた5万1400円のトライを想定したい(1時間足チャート、赤矢印を参照)。
日本225が5万1400円を突破する場合は、レジスタンスラインとして意識されている5万1500円が視野に入る。このラインを今週の上限と予想する。
今週の上値水準
・5万1500円:今週の上限(予想)
・5万1400円:レジスタンスライン(1時間)
・5万1000円:上に76.4%戻し(1時間)
・5万0800円:上に20日線(日足)と61.8%戻し(1時間)
・5万0730円:レジスタンスライン
下限:4万9000円
日足のMACDは低下に転じている。RSIも低下に転じ50割れが視野に入る。歪な相場への警戒が続く場合、今週前半の日本225は上値の重い展開を想定したい。エヌビディア(NVDA)の決算が投資家の失望を誘う内容となれば、週後半は調整売りの加速を警戒したい。
日本225の下落局面では、5万円の維持が焦点となろう。この水準は、9月安値と11月4日高値のフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しの水準にあたる。サポートラインに転換する可能性がある5万0200円の下方ブレイクは、節目の5万円をトライするサインと考えたい(1時間足チャートを参照)。
日本225が5万円を下方ブレイクする場合は、先週14日の安値4万9670円台の攻防に注目したい。この水準も下抜ける程の売りに直面すれば、サポートラインに転換する可能性がある4万9000円が視野に入る。直下の4万8927円は、10月10日の安値と11月4日高値の半値戻しにあたる。サポートゾーンを形成する可能性も考え、4万9000円を今週の下限と予想する。
現在はAI相場に対する懸念が強まっている。想定を超える調整売りで日本225が4万9000円を下方ブレイクする場合は、4万8500円のトライを想定したい。直下の4万8477円は、9月2日の安値起点としたフィボナッチ・リトレースメント38.2%にあたる。このテクニカルラインの下には50日線も上昇している。
今週の下値水準
・5万0200円:サポート転換の可能性あり(1時間)
・5万円:節目の水準、23.6%戻し(日足)
・4万9670円:14日の安値水準(1時間)
・4万9000円:今週の下限(予想)
・4万8500円:直下に38.2%戻しと50日線(日足)
日本225の日足チャート:2025年8月以降
TradingView提供のチャート
日本225の1時間足チャート:11月11日以降
TradingView提供のチャート
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