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米国株見通し:利下げ期待後退、今はパウエル講演に集中、来週はエヌビディア決算が焦点に

米利下げ期待が後退するなか、本日パウエルFRB議長の講演を迎える。さらなる利下げ期待の後退を警戒したい。来週27日にエヌビディアが第2四半期決算を発表する。焦点と影響についてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

・予想を上回った8月PMIを受け、米利下げ期待が後退している
・パウエル講演で利下げ期待がさらに後退すれば、ハイテク株売りを警戒
・パウエル講演を過ぎれば、市場の関心は来週のエヌビディア決算にシフトしよう
・エヌビディアの決算は、「AI4銘柄」のトレンドを左右するだろう




利下げ期待後退、パウエルFRB議長の講演を警戒

米S&Pグローバルが21日に発表した8月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は55.4と、前月の55.1から上昇し昨年12月以来の高水準となった。製造業PMIが53.3と、前月の49.8から大幅に改善したことが寄与した。

堅調な8月PMI、そしてカンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁の利下げに対する消極的な発言を受け、OIS市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が後退している。一時90%まで利下げを織り込む状況が見られた9月の予想確率は、70%前半へ低下している。12月のそれも同じ状況にある。50%台で推移している10月の利下げ予想確率は昨日、47%台へ低下し5割を割り込む局面が見られた。連続の利下げ期待が急速に後退している。

米利下げ確率の推移:今年6月以降

米利下げ確率の推移:今年6月以降

ブルームバーグのデータで作成 / OISに基づく予想確率、22日午前10時時点

今週最大の注目イベントは、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演である。市場参加者の利下げ期待を後退させる内容となれば、年内2回利下げのベースシナリオに対する不透明感も高まる可能性がある。パウエルFRB議長の講演で利下げ期待がさらに後退する場合は、ハイテク株売り継続の可能性を高める要因になり得る。


パウエル講演後、市場の関心はエヌビディア決算にシフト

ジャクソンホール会議とパウエルFRB議長の講演を終えれば、市場の関心はエヌビディア(NVDA)の決算にシフトするだろう。同社は来週27日の引け後に2025年5〜7月期(第2四半期)決算を発表する。

ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によれば、売上高461億1400万ドル(前年同期比53.51%増)、1株利益1.01ドル(前年同期0.68ドル)が見込まれている。

エヌビディアの売上高と1株利益の推移:2022年以降

ブルームバーグのデータで作成
※2Q:第2四半期
※赤棒グラフ:2025年5~7月(第2四半期)予想、8月22日時点


エヌビディア決算、2つの焦点

エヌビディア(NVDA)の中国市場でのビジネスには不透明感が漂う。トランプ米政権の輸出規制で第2四半期に80億ドルの収益損失が見込まれている。

また、ここにきて対中ビジネスの不透明感がさらに増している。ブルームバーグが22日に報じたところによると、エヌビディアはサムスン電子やアムコー・テクノロジーなどのサプライヤーに対し、AI半導体「H20」に関連する生産停止を要請した。これは、中国政府が国内企業にH20の使用を控えるよう求めた後の動きである。中国半導体企業との競争が激化するなか、中国向けに設計されたH20の生産が停止となれば、エヌビディアの業績に影響しよう。

対中輸出規制の問題に直面しながらもエヌビディアは高い成長性を維持できるのか?この点を見極めるため、市場参加者は以下の2点に注目するだろう。

一つは、同社の売上高全体のおよそ9割を占めるまでに急成長したデータセンター事業の成長性である。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では、第2四半期に410億8800万ドル(前年同期比56.39%増)と、堅調な伸びが見込まれている。

この驚異的な成長を支えているのが、米国のビッグテック企業によるAIインフラへの巨額投資である。現時点での通期設備投資の見通しは、メタ・プラットフォームズが660億ドル~720億ドル、マイクロソフトがおよそ800億ドル台(ブルームバーグの予想では882億ドル)、アルファベットが850億ドル、アマゾンは1000億ドル超と、大手4社だけで3,000億ドル超という巨額のAIインフラ投資が計画されている。ビッグテック4社の動きは、AIインフラの中核を担うエヌビディアの高性能半導体『Blackwell』の需要拡大を促すことが予想される。ブルームバーグのアナリスト予想によれば、エヌビディアの年間売上高は2,000億ドル超に達する見込みにある。

データセンター売上高の推移:2022年以降

データセンター売上高の推移:2022年以降

ブルームバーグのデータで作成
※2Q:第2四半期
※赤棒グラフ:2025年5~7月(第2四半期)予想、8月22日時点

もう一つの焦点が、8~10月期(第3四半期)の業績見通しである。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によれば、売上高は531億9700万ドル(前年同期比51.64%増)、1株利益は1.20ドル(前年同期0.81ドル)が見込まれている。データセンターの売上高は481億6600万ドルと、力強い伸びが続く見通しにある。

エヌビディア 第3四半期の業績見通し

エヌビディア 第3四半期の業績見通し

ブルームバーグのデータで作成 / 8月22日時点

データセンター部門の業績と第3四半期の業績見通しが投資家の期待に応える内容となれば、対中ビジネスの懸念よりも高い成長性が意識され、エヌビディアの株価は上昇トレンドを維持することが予想される。

2023年以降、「AI相場」が米株高のけん引役を担ってきた。その過程でエヌビディアの株価は今月12日、終値ベースで上場来高値183.16ドルをつけた。来週の決算が市場参加者の期待に応える内容となれば最高値の更新と、190ドル台の攻防を想定したい。株価が190ドル台を維持する場合は、節目の200ドルの攻防が焦点となろう。200.52ドルは2023年以降の高値と安値のフィボナッチ・エクステンション100%の水準にあたる。

エヌビディアの株価チャート:月足 2023年以降

エヌビディアの株価チャート:月足 2023年以降

AI関連銘柄のトレンドを左右

エヌビディアの決算は、マグニフィセントセブンのトレンドを左右することが予想される。特に上で取り上げたAIインフラに巨額の投資を行っているメタ・プラットフォームズ(META)、アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン・ドットコム(AMZN)のAI銘柄4社のトレンドを左右する可能性がある。

これら4銘柄のうちアルファベット以外は、月初めからの変動率がマイナスへ転じ下落が拡大している。見方を変えると、ポジティブな材料があれば押し目買いが入りやすい状況にあると考えることもできる。パウエルFRB議長の講演を無難に通過し、来週のエヌビディア決算がポジティブな材料となれば、AI関連株価の下支え要因になり得る。

マグニフィセントセブンと主要指数の変動率

マグニフィセントセブンと主要指数の変動率

ブルームバーグのデータで作成 / 8月21日時点

警戒すべきは、来週の決算でエヌビディアの成長性に疑問符が付く場合である。冒頭で述べたとおり、ここにきて米利下げ期待が後退している。パウエルFRB議長の講演内容次第では、その期待がさらに後退する可能性がある。

利下げ期待の後退と投資家の失望を誘うエヌビディア決算となれば、来週の米国株は下落幅の拡大を警戒したい。特にハイテク株比率の高いナスダック100(米国テク株100)は、今週のIG米国レポートで取り上げた重要サポートライン23000の下方ブレイクと、さらなる下値のトライを想定することになろう。

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