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日経平均に上昇気流 S&P500週次5.9%高 米雇用過熱感低下

アメリカ株式市場でS&P500の週次上昇率が約1年ぶりの大きさ。長期金利も大幅に下がり、株価の追い風になりそうだ。

出所:ブルームバーグ

日経平均株価が上昇気流に乗る期待が高まった。3日のアメリカの株式市場でS&P500種株価指数が大幅高を記録したためで、週次での上昇率は約1年ぶりの大きさとなる5.9%となった。日経平均は休日前の2日までに前週末比900円超値上がりしており、さらなる加速が見込まれる。3日のS&P500の上昇はこの日発表された10月の雇用統計で労働市場の過熱感が和らいだためで、長期金利(10年物米国債利回り)は約5週間ぶりの低水準まで下がった。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測は弱まっており、日米の株式市場で歓迎ムードが広がりそうだ。

S&P500大幅高で日経平均の上昇が加速する見通し

3日のS&P500(SPX)の終値は前日終値比0.94%高の4358.34。1週間前との比較では5.9%高となり、2022年11月7-11日週(5.9%)以来の上昇率だった。直前の2週間はいずれも2%を超える下落に見舞われてきただけに流れの急転が感じられる。一方、日経平均株価(N225)は2日の終値が3万1949.89円となり、前週末比で958.20円(3.1%)高となっていた。3日のS&P500の上昇が週明けの取引での追い風となりそうだ。日経平均は7月3日にバブル後最高値となる3万3753.33円をつけた後、S&P500の不振を背景に伸びがストップしていた

日経平均とS&P500の週次上昇率の推移のグラフ
日経平均株価と週次の騰落幅の推移のグラフ

アメリカの雇用統計は就業者数の伸びが低下

S&P500を勢いづかせたのは10月の雇用統計の結果が弱かったことだ。米国経済では労働市場の強さが賃金上昇を通じて物価圧力となる構図が懸案だったため、株式市場では好材料として受け止められた。10月の非農業部門の就業者数の増加は前月比15.0万人で市場予想の18.0万人を下回り、8月と9月の増加もそれぞれ6.2万人分と3.9万人分、下方修正された。また、失業率は3.9%となり、2022年1月(4.0%)以来の高さ。一方、平均時給の伸び率は前年同月比4.1%で、市場予想(4.0%)を上回ったが、9月(4.3%)からは低下した。

アメリカの雇用統計(就業者数、失業率、平均時給)の推移のグラフ

物価上昇圧力の弱まりを背景として、3日のニューヨーク債券市場の長期金利の終値は4.558%まで低下。9月26日(4.558%)以来の低さとなった。10月23日の取引時間中につけた5.021%から約2週間で0.46%ポイント下がったことになる。長期金利が下がれば、株式の投資先としての魅力が相対的に高まり、株価にとっては追い風となる。

FRBは12月のFOMCも利上げを見送りか?

こうした長期金利の低下はFRBが利上げを停止させるとの観測の強まりの反映だ。FRBは1日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で2会合連続での利上げ見送りを決め、ジェローム・パウエル議長は夏までの物価上昇の減速を評価していた。今回、10月の雇用統計で物価上昇圧力の弱まりがみられたことで、金融市場では12月12、13日のFOMCでも利上げが見送られるとの観測が強まっている。CMEグループのデータによると、12月の利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は約95%で、雇用統計発表前日の約80%から大きく上昇した。

一方、12月のFOMCは1か月以上先で、今後の経済指標次第でFRBの政策金利の動向が変化する可能性もある。雇用の弱まりが急激に進めば、今度は景気後退への懸念が強まることになり、株価にはマイナスだ。ただ、物価上昇の強さは長らく米国経済にとっての大きな問題として意識されてきただけに、株式市場は歓迎ムードに包まれているようだ。


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