日経平均株価 週間見通し(9/8週):4万1800円~4万3500円予想 米CPI、政局リスク、円高が焦点に
来週(9月8日~12日)の日経平均株価は下落警戒。予想レンジは4万1800円~4万3500円。米CPI、政局不安そして円高が相場の重石となる可能性あり。IG証券のアナリストが日本225のテクニカルラインを詳細解説。

要点
・8月雇用統計で米労働市場の下振れ懸念高まる、来週は8月の米CPIが焦点に
・国内では3つの株安要因-政局不安、金利上昇、円高を警戒したい
・日本225株価指数の週間予想レンジは4万1800円~4万3500円
日本株は底堅さ維持も、海外投資家は慎重姿勢
日本株は底堅さを維持している。日経平均株価の週間変動率を確認すると、先週の上昇率は0.2%高、今週は0.07%高と小幅ながらも2週続伸となった。
TOPIX(東証株価指数)は2週続落後、今週は前週比0.98%高と反発して終えた。5日の市場では終値で3100を回復した。
日経平均株価とTOPIXの週間変動率:今年4月以降

ブルームバーグのデータで作成
海外の投資家は慎重姿勢にある。東京証券取引所が4日発表した8月第4週(8月25日〜29日)の投資部門別株式売買動向(東証と名証の合計)によれば、海外投資家(外国人)の売越額が3031億円と前週の1988億円から増加し、2週連続の売り越しとなった。買い越しの個人とは対照的となった。
投資部門別株式売買動向:8月(週別)

出所:東京証券取引所
※東証・名証2市場の内国普通株式市場の合計・総合証券ベース(全50社)
※単位:億円(億円未満切り捨て)
米雇用下振れ懸念、11日に8月CPI、スタグフレーション警戒
米国の労働市場が減速している。米労働省が5日発表した8月の雇用統計によれば、非農業部門雇用者数変化は2.2万人増と、ブルームバーグがまとめた市場予想7.5万人増を大きく下回った。失業率は4.2%から4.3%へ上昇した。
7月JOLTS求人件数、8月ADP雇用統計、そして8月ISMサービス業の雇用指数がいずれも市場予想を下回った状況も考えるならば、市場参加者は米労働市場の下振れリスクを警戒せざるを得ない。
8月31日のIG週間米国株レポートでは、低調な雇用指標は景気不安を意識させ米株安の要因になると指摘した。ゆえに筆者は、雇用統計が予想を下回った場合、米株式市場が利下げ期待と景気不安のどちらを意識するのかを注視していた。結果は主要指数が下落し、景気不安の方を意識する展開となった。ナスダック100だけは前日比0.08%高とかろうじて上昇したが、上値は重かった。
米株価指数の変動率:9月5日

ブルームバーグのデータで作成
来週11日に8月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、総合指数が前月比と前年同月比でともに7月より上昇する見通しにある。コア指数も7月から横ばい予想にあり、インフレの粘着性が示される可能性がある。
米国の消費者物価指数(CPI):過去1年間の動向

ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフとドット:8月予想(レポート掲載時点)
米労働市場の下振れリスクが高まるなか、8月の米CPIがインフレの粘着性を示唆する場合は、スタグフレーションの懸念を強める要因になり得る。10日には8月の生産者物価指数(PPI)も発表される。米インフレ指標への警戒心から、少なくとも来週前半は、海外投資家が慎重姿勢する可能性がある。国内の投資家も同じスタンスを取る可能性がある。日本株は調整売りを警戒したい。
国内の政局不安、金利上昇リスク、円高
来週は、国内のリスク要因も警戒する必要がある。その一つが、財政懸念による金利の上昇である。
自民党は8日、国会議員と都道府県連の代表者に総裁選前倒しの是非を問う。麻生太郎党最高顧問は3日の派閥会合で、総裁選の前倒しを支持すると表明した。麻生派に所属している鈴木馨祐法務大臣も5日、自民党総裁選の前倒しを求める意向を自身のブログで明らかにした。臨時総裁選実施の可能性が急速に高まっている。
焦点は、財政の先行きに対する市場の思惑である。国内の債券市場では長期と超長期ゾーンの利回りが上昇基調にある。先週3日の外為市場でドル円(USD/JPY)は、一時149円台へ急伸した。上昇のドライバーは円安だった。国内金利の上昇を受けた円安は、財政悪化を意識した動きと考えられる。現状、日本株への影響は限定的である。しかし、財政懸念で金利がさらに上昇する場合は、日本株の下落要因として警戒したい。
ドル円(USD/JPY)の動きも警戒したい。市場予想を下回った8月雇用統計を受け、5日の米債市場では金利が大幅に低下した。その結果、日米の利回り格差の縮小が進行した。
ドル円は5日のNY時間に、146.80台まで急落する局面が見られた。日足の一目基準線がレジスタンスラインとなり、50日線を下抜ける局面が見られたことも考えるならば、来週は5日の下落を止めた半値戻しの水準146.80を下方ブレイクする米ドル安・円高を警戒したい。円高の進行は外需株の下押し要因となろう。
ドル円の日足チャート:今年4月以降

出典:TradingView
日本225の週間見通しとテクニカル分析
予想レンジの下限:4万1800円
来週の日経平均株価は下落を警戒したい。同指数が原資産の株価指数CFD「日本225」は、以下にまとめたサポートラインの攻防が焦点となろう。
週間の予想レンジの下限は4万1800円を想定したい。このラインは半値戻しの水準(4万1835円)に当たる。また、先週の相場をサポートした水準でもある。
日本225が4万1800円をトライするサインとして4万2300円と4万2000円の攻防に注目したい。前者のラインは、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準(4万2332円)にあたり、かつすぐ下の4万2250円はサポートラインに転換する可能性がある(4時間足チャート、赤矢印を参照)。後者の4万2000円もサポートラインに転換する可能性がある(日足チャート参照)。
前述した来週の株安要因は、想定外の下落をもたらす可能性がある。日本225が4万1800円を下方ブレイクする場合は、50日線のトライが焦点に浮上しよう。
サポートライン
・4万2300円:38.2%戻し(4時間足)
・4万2000円:サポートラインの転換を意識するライン(日足)
・4万1800円:週間予想レンジの下限、半値戻し(4時間足)
・4万1545円:50日線(日足)
予想レンジの上限:4万3500円
8月の米CPIが市場予想以下となり、12日の9月ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想(レポート掲載時点でブルームバーグ予想58.0)を上回れば、雇用下振れ懸念の後退と利下げ期待が米国株を下支えすることが予想される。自民党総裁選の前倒しが決まる場合、財政拡大路線に対する警戒よりも景気にポジティブとの思惑が高まる可能性もある。いずれも日本株のサポート要因となろう。筆者の下落懸念が外れる場合、日本225は以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
週間の予想レンジの上限は、前回の週間レポートでも取り上げた4万3500円を想定したい(4時間足、黒矢印を参照)。4万3200円の上方ブレイクは、4万3500円をトライするサインと捉えたい。
筆者の想定を超えて、日本225が4万3500円を完全に上方ブレイクすれば、4万4000円を視野に上昇幅の拡大を想定したい。この場合は、8月18日の高値水準4万3938円のトライが焦点に浮上するだろう。
レジスタンスライン:4時間足
・4万3938円:8月18日の高値水準
・4万3500円:週間予想レンジの上限
・4万3200円:レジスタンスライン
日本225の日足チャート:今年4月以降

出典:IG / TradingView
日本225の4時間足チャート:7月23日以降

出典:IG / TradingView
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