ドル円、円安進行158円台 日銀の利上げ見通しに脆さ 円安加速も
ドル円相場は158円台。米国経済の強さで円安が進んだ。また日銀の利上げ見通しには脆さもあり、今後の経済指標で円安が加速する可能性がある。
ドル円相場で円安圧力が強まっている。ドル円相場は日本時間15日午後の取引で1ドル=158円台で推移。4月30日以来の円安水準で、為替介入とみられる値動きを契機とした円高の流れが消えた。イラン戦争に伴う原油高を受け、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに向かうとの見方が出ていることが要因で、FX市場では円以外の主要通貨もドルに対して弱くなっている。一方、原油高を背景として、金融市場では、日本銀行の6月の金融政策決定会合での利上げ見通しも強まっている。同時に日本の長期金利(10年物国債利回り)は米国の長期金利を上回るペースで上昇しており、ドル円相場にとっては円高材料ともいえる。ただ、日本の物価上昇をめぐる経済指標に過熱感は薄く、日銀の利上げ見通しには脆さもある。また、長期金利の上昇に財政懸念が影響しているのであれば、円安要因と受け止めることも可能だ。このため今後の経済指標で日本経済の弱さが示された場合には、ドル円相場での円安が加速する展開も想定される。
ドル円相場は一時158.59円 為替介入後の円安水準を更新
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間15日午後2時23分段階で1ドル=158.58円で取引されている。ブルームバーグによると、直前には158.59円をつけ、4月30日につけた160.72円以来の円安水準となっている。ドル円相場は30日夜以降に起きた日本政府による為替介入とみられる値動きを経て、6日には155.04円まで円高が進む場面もあったが、流れは反転したといえそうだ。
米国経済の強さが円安要因に FRBの年内利上げの確率は50%まで上昇
円安を後押ししているのは米国経済の強さを示す経済指標だ。米国で12日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)と13日に発表された4月の卸売物価指数(PPI)はいずれも市場予想を超える物価上昇の勢いを示した。イラン戦争に伴うホルムズ海峡封鎖が原油高を招き、国内物価の上昇を加速させているもようだ。また8日に発表された4月の雇用統計も非農業部門の就業者数が市場予想を大きく超えている。
金融市場では米国経済の強さが今後も物価上昇圧力を高めるとの見方が広がり、FRBの次の金融政策変更は利上げになるとの観測も強まっている。ブルームバーグによると、14日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.751%で、現状(3.50-3.75%、中間値3.625%)よりも高い水準。利上げ確率は50%まで高まっている。
原油高は日銀の利上げ見通しを後押し 長期金利は一時2.730%に
一方、ホルムズ海峡封鎖に伴う原油高は日本にとっても物価上昇を促す要因。金融市場では日銀が次回(6月15、16日)の決定会合で利上げに踏み切るとの見方が勢いを増している。ブルームバーグによると、日本時間15日午後2時23分の金融市場で見込まれている6月決定会合後の政策金利の水準は0.921%で、現状の0.75%よりも0.171%ポイント高い水準。6月利上げの確率は77%となっている。日銀は12月の決定会合までにはさらに1回の利上げを行うともみられており、FRBを超える利上げペースはドル円相場での円高要因とみなすことができそうだ。
また金融市場では日本の長期金利の上昇も進んでおり、やはり円高要因とみることができる。ブルームバーグによると、日本の長期金利は15日の取引で一時2.730%まで上昇。終値まで2.7%台を維持すれば、1997年6月25日(2.723%)以来の高水準となる。日本の長期金利の14日の終値を前週末の8日終値と比較すると、0.150%ポイント上昇しており、米国の長期金利の上昇幅(0.128%ポイント)を上回っている。
日銀の利上げ見通しに脆さ GDPやCPIで日本経済の弱さが示されれば円安加速も
ただ、日銀の利上げ見通しには脆さも潜んでいそうだ。原油高にも関わらず、足元の経済指標は日銀が重視する基調的な物価上昇率の落ち着きを示しているとみることができるからだ。日銀が28日に発表した物価動向に関する参考指標では、3月のCPIの生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数から、さらに政策による特殊要因を除いた指標の伸び率が前年同月比2.6%となり、2月の2.7%から物価上昇が減速した。1日に発表された東京都区部の4月のCPI(中旬速報値)でも、コアコア指数の伸び率が前年同月比1.9%となり、3月の2.3%から減速している。物価上昇減速の主要因である保育所無償化の影響を除いたとしても、2.1%程度の上昇率だったとみられ、基調的な物価上昇が過熱しているとはいえなさそうだ。
さらに日本の長期金利上昇には、日本の財政状態への懸念が影響している可能性もある。投資家の間で円への信頼度が落ちているのであれば、長期金利上昇はドル円相場にとっては円安要因とみなせそうだ。共同通信は14日午前11時台に、「政府が2026年度補正予算案の編成を検討していることが分かった」と報道。ガソリン価格や電気・ガス代などの上昇を見越して家計支援にあてる方針だとしている。片山さつき財務相は15日の閣議後記者会見で、補正予算案の検討状況への言及を避けた。
こうした中、ドル円相場の今後の見通しは日銀の利上げの本気度で左右されることも考えられる。19日発表の日本の2026年1-3月期GDP速報値で経済成長の弱さが感じられたり、22日発表の4月の全国CPIで原油価格の物価への転嫁が進んでいない様子が感じられたりした場合には、日銀に利上げをためらわせる要因とみなされ、円安が加速する可能性もありそうだ。
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