ドル円、円高圧力強まるか? 159円前後 イラン戦争終結に期待
ドル円相場は159円前後で推移。イラン戦争終結期待で円安が減速した。一方、日銀の利上げ期待には脆さもあり、円安再燃の可能性もある。
ドル円相場での円安がスピードダウンした。ドル円相場は日本時間22日午前の取引で1ドル=159円前後で推移。週初めからの4日あまりは、ほぼ横ばいの値動きとなっている。アメリカとイランの和平協議が前進しているとの観測が、「有事のドル買い」に歯止めをかけた結果といえそうだ。また、日本銀行の金融政策をめぐっては、原油高に伴う物価上昇圧力を踏まえ、6月の金融政策決定会合での利上げ見通しが強まっている。日本の長期金利(10年物国債利回り)が約29年ぶりの水準まで上昇していることも円高材料とみることができそうだ。ただ、円高圧力がさらに強まるかどうかは不透明。22日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)では物価上昇の過熱感はみられず、日銀の利上げ見通しには脆さも目立つ。今後、イラン戦争終結をめぐる期待が後退した場合には、円安圧力が改めて強まる可能性もある。
ドル円相場は159円前後で横ばい 155円台からの円安にブレーキ
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間22日午前12時3分段階で1ドル=159.03円で取引されている。ブルームバーグによると、前週末15日のニューヨーク市場の終値は158.74円で、週初めの18日以降も159円前後での横ばいの値動きが続いてきた。4月30日の為替介入とみられる値動きを経て、5月6日につけた155.04円からは4円程度の円安水準とはいえ、円安が加速しているとはいえない。
イラン戦争終結に期待 有事のドル買いが減速
円安減速の背景にあるのは、イラン戦争終結への期待だ。ブルームバーグによると、イランの準国営メディアのイラン学生通信は、米国とイランの間でやりとりが続いている和平案について「一定程度、両国間の違いを狭めた」と報道。石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡の封鎖が解消に向かうと見方が有事のドル買いを弱めた。原油先物市場では、指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)の21日の終値が1バレル=96.35ドルとなり、前日比1.94%安の下落となった。WTIは前日もドナルド・トランプ大統領が和平協議について「最終段階にある」と述べたことを受けて、8.82%安となっていた。
こうした中、FX市場では円以外の主要通貨も横ばいの値動きとなっている。ブルームバーグによると、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)の21日のニューヨーク市場の終値は、前週末15日との比較で0.05%のユーロ安。豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は0.00%の値動きだった。円の対ドル相場の0.18%の円安と合わせて、イラン戦争の行方を見極めようとしている状況といえそうだ。一方、同じ期間でポンドの対ドル相場(GBP/USD)は0.79%のポンド高となった。イギリスの次期首相候補として有力視されているマンチェスター市長のアンディ・バーナム氏が18日に現行の財政規則を変更しないと表明したことがポンド高につながった。
日銀の利上げ見通しが拡大 長期金利は29年ぶりの高さに
また、イラン戦争開始後に大きく進んだ原油高によって、日銀が利上げに向かうとの見通しが強まっていることはドル円相場での円高要因だ。ブルームバーグによると、22日午前12時3分の金融市場で見込まれている、日銀の6月15、16日の金融政策決定会合後の政策金利の水準は0.924%で、現状の0.75%よりも0.174%ポイント高い。6月利上げの確率は78%、7月までの利上げの確率は95%とみられている。日銀の小枝淳子審議委員は21日の講演で、現段階ではリーマン・ショック時や新型コロナウイルス禍のようは景気の大幅な落ち込みが起きる蓋然性は低いとしたうえで、「利上げを通じて金利の正常化を進めることがより重要になる」と述べている。
日銀の利上げへの期待の高まりは日本の長期金利上昇にもつながっている。ブルームバーグによると、日本の長期金利は19日の終値で2.780%まで上昇。1997年6月3日(2.814%)以来、約29年ぶりの高水準となった。日本の長期金利の21日の終値は前週末15日との比較で0.054%ポイントの上昇で、ドル円相場の背景となる日米の金利差は1.811%ポイントまで縮まっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始前にあたる2022年3月10日(1.800%ポイント)以来の小ささで、ドル円相場での円高材料だ。
日本の物価上昇に過熱感はみられず イラン戦争終結期待後退なら円安圧力再燃も
ただ、円高圧力がさらに強まるかどうかは心もとない。日銀が実際に利上げに踏み切ることができるかどうかには不透明感もあるからだ。22日朝に発表された4月CPIの伸び率は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数で前年同月比1.9%となり、前月の2.4%から物価上昇が大きく減速した。2024年7月(1.9%)以来の低い伸び率だ。ブルームバーグがまとめた市場予想の2.2%も大きく下回っている。3月からの伸び率低下は、4月から始まった学校給食費の負担軽減策の影響が感じられるが、4月段階で基調的な物価上昇圧力が強まっているとはいえなさそうだ。26日に日銀が示す特殊要因を除いた物価指標や、29日に発表される5月の東京都区部CPI(中旬速報値)も同様の結果なら、6月の決定会合までに物価上昇の過熱感を示すデータは得られないことになる。
このため、今後、イラン戦争終結への期待が後退すれば、有事のドル買いが再燃するとともに、日銀の利上げに向けた条件不足が意識され、円安圧力が強まる可能性がある。ホルムズ海峡封鎖が長期化すればするほど、日銀の利上げによって経済活動が冷えすぎるリスクが高まることは確かで、円安がさらに進行する可能性はくすぶりつづけることになりそうだ。
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