ドル円、為替介入後も円安 156円 雇用統計やイラン和平が見通し左右
ドル円相場は156円台後半。為替介入の効果は短命に終わった。今後は雇用統計の結果やイラン和平の見通しが相場を動かしそうだ。
ドル円相場での円安圧力が衰えていない。ドル円相場は日本時間8日午後の取引で1ドル=156円台後半で推移。1週間前の日本政府による為替介入とみられる値動きで付けた155円台から2円程度、円安に戻している。日本政府はゴールデンウィーク中にも為替介入を行ったとみられているものの、効果は短命に終わったようだ。一方、日本銀行の金融政策をめぐっては6月利上げの見通しが強まっており、ドル円相場にとっては円高材料。日本の長期金利(10年物国債利回り)が28年9か月ぶりの高水準となっていることや、アメリカとイランの戦争が終結するとの期待もやはり円高要因といえる。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関しては年内利下げの可能性が薄れており、日本の金利高にも関わらず、日米の金利差の縮小は進んでいない。米国経済をめぐっては8日に発表される4月の雇用統計が堅調な結果になると予想されており、ドル円相場で再び円安圧力が強まる可能性もある。半面、イラン和平協議が進展すれば、円高進行も想定される。
ドル円相場は156円台後半 為替介入後の155.04円から円安が進行
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間8日午後2時47分段階で1ドル=156.84円で取引されている。ブルームバーグによると、午前9時台には156.99円をつける場面もあった。ドル円相場は1日に日本政府の為替介入とみられる値動きで155.50円をつけた後、日本の大型連休中の6日にも155.04円まで円高が進んだ。金融市場では、日本政府が連休中も為替介入を行ったと推定されているが、足元では6日の円高水準から1.95円の円安が進んだ形だ。
日銀の6月利上げ確率は73%に 長期金利は28年9か月ぶりの高さ
一方、ドル円相場では日銀の金融政策をめぐる見通しが円高圧力として働いている。ブルームバーグによると、8日午後2時47分の金融市場では、日銀の6月15、16日の金融政策決定会合後の政策金利が0.909%になると見込まれており、利上げ確率は73%。6日段階の64%程度から利上げ期待が高まっている。日銀が7日に公表した3月18、19日の決定会合の議事要旨で、景気を過熱させることも冷やすこともない中立金利までは「まだまだ距離がある」との意見が確認されるなど、利上げへの積極姿勢が目立ったことが要因だ。また日銀の利上げが近いとの見方は、8日朝に発表された3月の毎月勤労統計(速報)で実質賃金の伸び率が前年同月比1.0%となり、3カ月連続でのプラスになったことでも裏付けられた。
こうした中、日本の長期金利は上昇が続いている。ブルームバーグによると、日本の長期金利は4月30日の終値で2.517%となり、1997年7月22日(2.546%)以来、28年9か月ぶりの高水準となった。日銀の植田和男総裁は28日の決定会合後の記者会見で、イラン戦争で世界経済の不確実性が強まる中でも、日本経済が予想から下振れするリスクが大きくならなければ「利上げが可能になる」と述べており、長期金利の上昇につながったようだ。
イラン和平への期待は円高要因 覚書協議の報道で有事のドル買いの巻き戻し
また、このところの金融市場でみられるイラン戦争終結への期待も、FX市場での「有事のドル買い」の巻き戻しにつながる円高材料だ。米インターネットメディアのアクシオスが、米国とイランが戦争終結にむけた覚書について協議していると報じた6日には、円を含む主要通貨がドルに対して値上がりした。ブルームバーグによると、6日のニューヨーク市場の終値の前日比での値動きは、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)が0.75%の豪ドル高、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)が0.47%のユーロ高、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)が0.38%のポンド高だった。6日は円の対ドル相場も0.95%の円高となっている。
FRBの利下げ見通しは大きく後退 日本の金利高でも日米金利差は縮まらず
ただ、金融市場ではFRBの年内利下げへの期待が後退しており、ドル円相場に円安圧力をかけている。ブルームバーグによると、7日の金融市場では12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.671%とみこまれ、現状(3.50-3.75%、中間値3.625%)よりも、0.046%ポイント高い水準。利下げよりもむしろ利上げが見込まれている状況だ。次期FRB議長に指名されているケビン・ウォーシュ元理事は4月21日の上院銀行・住宅・都市問題委員会での公聴会で、利下げを公然と求めてきたドナルド・トランプ大統領との間で金融政策の取り決めを行っていないとしており、利下げ期待の後退につながっている。
こうした中、ドル円相場の背景となる日米の長期金利の差は横ばい傾向だ。ブルームバーグによると、日米の長期金利差は7日終値段階で1.918%ポイントとなっており、イスラエルと米国によるイラン攻撃前日にあたる2月27日の水準(1.830%ポイント)を更新できない状況が続いている。日本の長期金利上昇と同時に、米国の長期金利も、イラン戦争に伴う原油高を背景として大きく上昇していることが要因だ。米国の長期金利は5月4日の終値で4.439%となり、2025年7月17日(4.453%)以来の高水準となっている。
4月雇用統計発表後に円安も イラン和平進展の場合は円高か
ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、8日午前8時30分(日本時間8日午後9時30分)に発表される4月雇用統計が焦点のひとつ。ブルームバーグがまとめた市場予想では、非農業部門の就業者数が前月比6.5万人増になると見込まれており、想定通りの数字なら、堅調な結果と受け止められそうだ。この場合はFRBの利下げへの期待がさらに弱まり、ドル円相場での円安圧力として働くことが想定される。
またドル円相場の見通しは、米国とイランの和平協議の進展でも変化しそうだ。仮に米国とイランの和平が実現に向かうとの期待が高まった場合には、FX市場で有事のドル買いの巻き戻しが改めて進むことも考えられ、円高進行の可能性も残っている。
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