ドル円、円高加速は日銀次第か 147円台 高市氏優勢は円安要因?
ドル円相場は日米金利差縮小でも円高は進まず。次の焦点は18、19日の日銀決定会合になりそうだ。また自民党総裁選での高市氏の動向も注目される。

ドル円相場の膠着状態が続いている。ドル円相場は日本時間12日午前の取引で1ドル=147円台で推移しており、7月下旬以降の横ばい傾向が継続。アメリカで11日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待を強めたことで、日米の長期金利差は3年1か月ぶりの小ささまで縮まっているが、円高の大きな進行はみられなかった。ドル円相場では日本銀行の動きの読みづらさが意識されているもようで、円高が進むかどうかは18、19日の金融政策決定会合後の植田和男総裁の発言がカギを握っていそうだ。一方、10月4日の投開票が決まった自民党総裁選挙をめぐっては、日銀の利上げを牽制したこともある高市早苗氏の動きへの注目度が高い。高市氏の発言や投開票日に向けた情勢報道の内容がドル円相場を動かす材料として意識される可能性もある。
ドル円相場は147円台で膠着 8月上旬以降は146-149円台の狭いレンジ
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間12日午前11時53分段階で1ドル=147.43円で取引されている。ブルームバーグによると、ドル円相場は7月25日以降、146.21-150.92円の範囲で推移。8月4日以降の6週間でみれば146.21-149.14円という狭いレンジでの取引が続いている。

アメリカの8月CPIで利下げ見通し強まる 日米金利差は3年1か月ぶりの小ささ
ドル円相場をめぐっては、11日に発表された米国の8月CPIが円高圧力を強めた。8月CPIは総合指数の伸び率が前年同月比2.9%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が3.1%で、いずれもブルームバーグがまとめた市場予想と一致する結果。金融市場ではドナルド・トランプ大統領の高関税政策による物価圧力は想定の範囲内だとの受け止めが強く、FRBが16、17日の連邦公開市場委員会(FOMC)を含め、年内に3回の利下げを行うとの見方が浸透した。米国の金利の先安観はドルを売って円を買う流れを後押しする円高要因だ。

実際、11日の金融市場では米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下。ブルームバーグによると、8月CPI発表後に一時、3.992%まで下がり、4月4日(3.880%)以来、5か月ぶりの低さとなった。これを受けてドル円相場の背景となる日米の長期金利差は11日終値で2.447%ポイントとなっており、2022年8月1日(2.397%ポイント)以来の小ささとなった。

日銀の金融政策の方向性に読みづらさ 19日の決定会合後の記者会見に注目
こうした円高圧力の強まりにも関わらず円高が進まない背景には、日銀の金融政策の見通しの読みにくさがありそうだ。植田氏は7月31日の決定会合後の記者会見で、「現在の物価高のかなりの部分が供給サイドの要因によっている」と指摘して、物価上昇抑制を狙って利上げで景気を冷やすことが望ましいかどうかを決めかねていることを示唆。同時に円安が輸入物価を押し上げる構図についても、現在のドル円相場の水準が日銀の想定から大きく外れているわけではないとの見方を示している。その後、8月22日に発表された7月のCPIは物価上昇圧力の強さを示す内容で、利上げの必要性が増したとも感じられるが、植田氏の利上げ意欲は強まっていない可能性もある。

このためドル円相場では9月19日の決定会合終了後に行われる植田氏の記者会見に注目が集まりそうだ。金融市場では今回の決定会合については利上げ見送りが確実視されており、植田氏が年内の利上げの可能性についてどのように言及するかが焦点となる。ブルームバーグによると、12日11時53分段階の金融市場では12月の決定会合後の政策金利の水準は0.634%と見積もられており、現状の政策金利(0.5%)よりも0.134%ポイント高い水準になるとみられている。19日朝には8月CPIの発表も予定されており、物価動向や植田氏の発言次第で年内利上げの見通しが強まり、ドル円相場に円高圧力がかかることも考えられそうだ。

自民党総裁選は10月4日実施 高市氏の動向や金融政策への言及が注目点に
一方、ドル円相場では石破茂首相の7日の退陣表明を受け、10月4日に行われる自民党総裁選挙への注目度も高まっている。1年前の総裁選挙で石破氏との決戦投票に進んだ高市氏は11日に岸田文雄前首相と会談し、出馬の意向を伝えたと報じられている。高市氏は前回の総裁選挙に際して、「金利を今、上げるのはアホやと思う」と発言したことがあり、金融市場では高市氏が優勢となれば利上げに否定的な立場が意識され、円安を進みやすくするとみられている。
ただ、日本のCPIの上昇率を生鮮食品とエネルギーを除いたコア指数でみると、7月のデータでは前年同月比3.4%となっており、1年前の2024年9月の2.1%から物価上昇が大きく加速している。またドル円相場は前回の総裁選時は1ドル=161円台から139円台までの円高が進む局面だったが、足元のドル円相場は膠着状態だ。こうした中、高市氏の日銀の金融政策についての言及の有無や内容のほか、投開票日に向けた情勢が高市氏優位に傾くかどうかも、ドル円相場の値動きを左右することになるとみられる。

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