ドル円、円高急進157円台 日銀総裁会見直後 為替介入警戒が要因か
ドル円相場では為替介入への警戒と日銀の利上げ観測が円高圧力。一方、衆院選で消費減税が訴えられていることは円安要因だ。
ドル円相場で円高が急進した。日本時間23日午後4時台には一時、1ドル=157円前半を記録し、直前の159円台前半から約2円の円高が進んだ。ドル円相場はその後は158円前後まで戻っており、円高急進は日本政府による為替介入に対する警戒の結果だったとみられる。ただ、ドル円相場で円高材料が増えたことは間違いなさそうだ。日本銀行の植田和男総裁は23日の金融政策決定会合後の記者会見で、円安が物価上昇を後押しする効果が大きくなっている可能性を警戒。日銀の経済見通しでも物価上昇率予想が上方修正されており、金融市場では4月の追加利上げ観測が強まった。一方、2月8日投開票の衆議院選挙で各党が消費税減税に言及していることは、財政規律を損なう円安要因だとみられており、約27年ぶりの水準に達した長期金利の上昇も日本経済への不信感の表れといえる。このためドル円相場の今後の見通しは、円高圧力と円安圧力がせめぎ合う筋書きが想定されそうだ。
ドル円相場は157.37円まで円高が急進 為替介入への警戒が要因か
ドル円相場(USD/JPY)は23日午後7時29分段階で1ドル=158.11円で取引されている。ブルームバーグによると、午後4時44分には157.37円をつけ、午後4時33分段階の159.23円から11分間で1.86円の円高が進んだ。午後3時半から4時半すぎにかけて行われた植田氏の記者会見中、0.50円程度の円安が進んだ後での値動きだった。金融市場では、円高の勢いが瞬間的だったことから、日本政府による為替介入への警戒が引き起こした一時的な値動きだったとみられている。実際に為替介入があったとされる2024年7月11日は1日で4.34円の円高が進行。4月29日のケースでも1日で5.52円の円高が進んだ。
日銀の植田総裁は円安を警戒 物価上昇見通しを上方修正
ただ、植田氏は記者会見で円安への警戒をにじませており、ドル円相場では今後も円高圧力が意識されそうだ。植田氏は記者会見で企業が賃上げや値上げに積極的になっていることに触れたうえで、円安による輸入物価の上昇が国内価格に転嫁される度合いが「大きくなっている可能性について注意したい」と発言。また、基調的な物価の上昇率が2%に向けて上がってきている中では、「小さな動きにも注意を払っていかねばならない」とも述べた。
日銀が23日に発表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で物価上昇率の見通しを引き上げたことも早期の追加利上げの可能性を示す円高要因だ。展望リポートでは、CPIのうち生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数の伸び率の見通しは2025年度で前年度比3.0%、2026年度で2.2%とされ、それぞれ10月段階の見通しから0.2%ポイント上方修正された。今回の決定会合では12月に0.75%に引き上げたばかりの政策金利を維持することが決められたものの、高田創審議委員は、物価上昇率の2%目標は概ね達成されているとし、政策金利を1.00%に引き上げるべきだと提案していた。
日銀の4月利上げ確率は72%まで上昇 円高要因に
こうした中、金融市場では日銀が4月の決定会合で利上げに踏み切るとの見方が強まってきた。ブルームバーグによると、23日午後7時29分の金融市場で見込まれている4月会合後の政策金利の水準は0.906%で、現状よりも0.156%ポイント高い水準。4月までの利上げ確率は72%程度とみこまれ、前日の66%から上昇している。これまで6月が有力視されてきた追加利上げ時期の前倒しは、やはり円高要因といえそうだ。
2月8日の衆院選で消費税減税に現実味? 円の弱さ際立つ
一方、金融市場では23日の衆院解散を受け、27日の公示と2月8日投開票が決まった総選挙の動向にも注目が集まる。自民党総裁の高市早苗首相は飲食料品を2年間限定で消費税の対象にしないことについて、「国民会議」において検討を加速すると表明。立憲民主党と公明党による新党の「中道改革連合」も恒久的な「食料品消費税ゼロ」を打ち出している。選挙戦で各党が消費減税を訴えれば、金融市場で財政悪化が懸念され、円安材料と意識される可能性がある。
実際、ドル円相場では高市氏が掲げてきた積極財政が円安材料とみなされてきた。ブルームバーグによると、円の対ドル相場の足元の水準は高市政権発足の起点となった自民党総裁選挙前日にあたる10月3日との比較で6.72%の円安。この間、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)やユーロの対ドル相場(EUR/USD)がほぼ横ばい、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)が3.59%の豪ドル高になっていることと比べて、円の弱さが際立っている。
長期金利は27年ぶりの高水準に 日本経済への不信が円高圧力と拮抗か
また積極財政への懸念は日本国債の価格の下落を招き、長期金利(10年物国債利回り)を上昇させている。ブルームバーグによると、長期金利は20日の終値で2.351%となり、1999年2月5日(2.463%)以来、約27年ぶりの高水準となった。この結果、日米の長期金利差は1.943%ポイントとなり、2022年3月14日(1.941%ポイント)以来の小ささまで縮小。日米金利差縮小は円高圧力とみなすことができるが、日本経済への信認の低下が背景とあって、円安の流れを覆すことはできていない。
このためドル円相場の今後の見通しは、為替介入への警戒と日銀の追加利上げの可能性を材料視する円高圧力と、消費税減税による財政悪化を懸念する円安圧力が拮抗する展開が想定される。また衆院選をめぐる各党の動向や情勢をめぐる報道、米連邦準備制度理事会(FRB)が28日に発表する金融政策と方向性も相場を動かす要因となりそうだ。
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