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ドル円 週間見通し(1/19~23):介入警戒、選挙の不透明感、日銀早期利上げ観測 円安一服か

IG証券のアナリストによるドル円の週間見通し。今週は「高市トレード」の円安一服か。日銀会合で早期の利上げ観測が高まる可能性も。週間予想レンジは156.00-159.45円。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 片山財務相の円安けん制発言とベッセント米財務長官との認識共有で為替介入の警戒感が上昇。先週後半は円の買い戻しが進行、高市トレードの円安に一服感
  • 立憲・公明の新党「中道改革連合」結成で衆院選の不透明感が増している。自民苦戦の観測が広がれば「サナエノミクス」の継続期待が後退 → 円安圧の要因に
  • 日銀会合は政策金利0.75%据え置き予想。植田総裁が円安・インフレリスクに強い警戒感を示せば早期利上げ観測の高まりで円の買い戻しが予想される。しかし円安の圧力も根強い。ドル円の下落は押し目買いの好機となる可能性も。今週の予想レンジは156.00-159.45


高市トレードの円安一服か

先週の外為市場は、高市首相が早期解散を決断したことを受け、「高市トレードの円安」が再燃する局面が見られた。

ドル円(USD/JPY)は2024年7月以来となる159円台へ上昇。豪ドル円(AUD/JPY)も106.71レベルまで上昇し、2024年7月以来となる107円を視野に上昇が拡大した。ユーロ円(EUR/JPY)は、通貨ユーロ導入以降で初めて185円台乗せとなった(高値185.57)。

しかし今週は、高市トレードの円安が一服する展開を予想する。その要因として、2つの点に注目したい。

要因①:高まる為替介入への警戒感
片山さつき財務大臣による円安けん制の頻度が増し、外為市場では政府・日銀による為替介入の警戒感が高まっている。16日の閣議後の会見で片山大臣は「私は再三あらゆる手段を含めて断固たる措置をとらせていただくということを言っております」と強い口調でけん制した。また訪米中には、ベッセント米財務長官との間で「最近の行き過ぎた動きはファンダメンタルズを反映していない」との認識を共有したと明らかにし、市場をけん制した。

先週の後半以降円が買い戻された状況は、市場参加者が為替介入を警戒している証左と言える。

円相場の動向:1月12日~16日

円相場の動向:1月12日~16日

ブルームバーグの為替データを基に作成

要因②:国内政治の変化
国内政治の動きも、円安圧力の後退要因となろう。立憲民主党と公明党は16日、新党「中道改革連合」の結成を正式発表した。公明党は小選挙区から全面撤退し立民候補を支援、比例では統一名簿を作成する。「高市自民党」への対抗姿勢を鮮明にした形だ。

野田代表は公約について「消費税減税を入れたい」と述べる一方、「赤字国債を発行せずに財源を作る」と財政規律を重視する姿勢を示した。積極財政を掲げる高市自民党に対抗するスタンスだ。

新党がどの程度自民党の脅威となるかは今後の世論調査を待つ必要があるが、日経新聞の試算では、公明票を失った自民党は小選挙区の現職のうち2割が苦戦する可能性があるという。衆院選の投開票日は早ければ2月8日となる見通しだ。前述の為替介入への警戒が高まる中、「自民党苦戦」の観測が広がれば「サナエノミクス」継続への期待が後退し、円安圧力が後退する要因になり得る。


日銀会合、植田総裁の円安・インフレリスクの見解に注目

22~23日に日銀は金融政策決定会合を開く。政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の0.75%で据え置くことが予想されている。このため焦点は、次回の利上げ時期の見極めにある。市場参加者は植田和男総裁の会見から、この点についてのヒントを探るだろう。

注目すべきは、円安とインフレリスクに関する植田総裁の見解だ。ブルームバーグは15日、複数の関係者への取材として、円安が進行すれば日銀が利上げペースを早める可能性があると報じた。2025 年 12 月 18~19 日開催分の「主な意見」では、「着実な利上げが望ましい」や「適時の利上げを進めることは先々のインフレ圧力を抑制し、長期金利の抑制に繋がり得る」など追加利上げに前向きな発言が見られた。

翌日物金利スワップ(OIS)市場では、次回利上げの時期について4月が有力視され始めている(レポート掲載時点で3・4月の合計利上げ確率は60%)。従来の「半年に1度」より早いペースでの利上げを市場は織り込み始めている。植田総裁の会見(23日15:30~)で4月利上げへの地ならしが行われる場合は円の買い戻しが進行し、高市トレードの円安に歯止めがかかる展開が予想される。

日銀会合の利上げ確率:3月、4月、6月

日銀会合の利上げ確率:3月、4月、6月

ブルームバーグ、OIS市場のデータを基に作成 / 16日時点


ドル円の週間見通しとテクニカル分析

円の買戻しが続く場合は156円の維持が焦点に
今週の外為市場で円の買い戻しが優勢となる場合、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。「介入の警戒感」のみの円買い戻しならば、50日線が推移している156円台を維持すると予想する。156.00を今週の下限と想定したい。

ドル円が156.00を目指すサインとして157.90レベルと157.00レベルの攻防に注目したい。前者の157.90レベルはサポートラインに転換する兆しが見られる。直下には10日線が推移している。一方、後者の157.00レベル直下には日足の一目基準線が推移している。また、156.92レベルは直近の高値と安値の半値戻しにあたる(4時間足チャート)。157.00レベルはテクニカル面でサポートラインとして意識されやすい状況にある。

ドル円が157.00を下方ブレイクする場合は下落拡大を警戒したい。50日線(156.23)も下方ブレイクすれば、156.00のトライが視野に入ろう。

想定を超える円の買い戻しでドル円が156円を下方ブレイクする場合は、サポート転換が確認された155.60レベルまでの下落を警戒したい。この水準は直近高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%水準にあたる。
サポート水準
・157.90:サポート転換の可能性あり
・157.00:直下に基準線、半値戻し(156.92レベル)
・156.23:50日線
・156.00:今週の下限予想
・155.60:サポート転換の水準、76.4%戻し(155.58レベル)
※移動平均線の水準:1月16日時点

159円での反落を警戒
立憲民主党と公明党の支持率は高齢者層に偏る一方、若年層と現役世代の支持率は低迷している。互いの政党の支持層が今回の新党結成に納得するかどうかも不透明であり、中道改革連合が衆院選に与える影響は未知数だ。政策スタンスが異なる立民左派と公明党の間で、公約策定が難航する可能性もある。「高市自民党」有利との報道が続けば、政府・日銀による為替介入への警戒感を引きずりながらも、ドル円(USD/JPY)は159円台への再上昇を想定しておきたい。

注目は14日の高値水準159.45の攻防だ。介入警戒感が強く意識された高値水準は、今週もレジスタンスポイントとして意識されやすいだろう。159.45を今週の上限と予想する。

想定を超える上昇でドル円が159.45をブレイクアウトし160.00をトライする局面では、為替介入の警戒感の高まり、もしくは実際の介入による急反落を警戒したい。
レジスタンス水準
・160.00:心理的節目、為替介入を警戒する水準
・159.45:今週の上限予想、14日高値水準
・159.00:レジスタンスライン


ドル円の日足チャート:昨年9月以降

ドル円の日足チャート:昨年9月以降

TradingView提供のチャート

ドル円の4時間足チャート:昨年12月上旬以降

ドル円の4時間足チャート:昨年12月上旬以降

TradingView提供のチャート


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