ドル円、日銀決定会合後の円安急進も 159円 為替介入で波乱か
ドル円相場は159円台後半。有事のドル買いが復活した。28日までの日銀決定会合は円安要因になりえるが、為替介入の可能性もある。
ドル円相場で円安圧力が続いている。ドル円相場は日本時間24日午後の取引で1ドル=159円台後半で推移しており、3月中旬以降の円安水準を維持。イラン情勢が改めて緊迫していることが有事のドル買いにつながっている。同時にホルムズ海峡封鎖がもたらした原油高が世界的な金利高を招く中でも、日本の長期金利(10年物国債利回り)の上昇が他国に比べて控えめなことも、円安を裏付ける要因となっていそうだ。また、24日朝に発表された日本の3月の消費者物価指数(CPI)には基調的な物価の過熱感はなく、日本銀行は27、28日の金融政策決定会合で利上げを見送ることが確実視されている。日銀の決定会合後の情報発信次第では、円安が急進する可能性がちらつく一方、日本政府は為替介入に関して臨戦態勢をとっており、一気に円高が進行する波乱が起きる展開も考えらえる。
ドル円相場は一時159.84ドル 3月中旬以降の円安水準を維持
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間24日午後2時40分段階で1ドル=159.76円で取引されている。ブルームバーグによると、午前12時台には159.84ドルをつけ、4月7日以来の160円台も視野に入る状況だ。ドル円相場は3月12日以降、32営業日連続で、取引時間中に159円を超える円安を記録している。
有事のドル買いが再燃 日本の長期金利上昇は他国に比べて穏やか
円安の背景にあるのは有事のドル買いの再燃だ。FX市場では3月31日にイラン側から戦争終結の用意があるとの発言が出て、ドル売りの流れが出た後、4月20日の開催が見込まれていた米国とイランの和平協議が見送られたことで緊張が再燃し、ドルが買い戻された。ブルームバーグのデータで、23日のニューヨーク市場の終値と20日の終値を比較すると、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は0.89%のユーロ安、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は0.70%の豪ドル安、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)は0.50%のポンド安となっている。円の対ドル相場も0.56%の円安だ。
なかでも円はドルに対する弱さが際立っており、23日終値はイラン戦争開戦前日の2月27日比で2.29%の円安だ。原油高がもたらす物価上昇加速が世界的な金利の先高観を招く中でも、日本の長期金利の上昇は他の主要国に比べて穏やかなことも影響しているとみられる。ブルームバーグによると、日本の長期金利は23日終値で2.417%で、2月27日との比較で0.306%ポイント高くなった。同じ期間での長期金利の変動は、英国が0.706%ポイント上昇、フランスが0.446%ポイント上昇、ドイツが0.364%ポイント上昇となっている。オーストラリアも0.350%ポイントの上昇だ。
日本の物価上昇に過熱感なし 日銀は4月決定会合で利上げ見送りの見通し
また、24日朝に発表された日本の3月CPIでは、日銀が重視する基調的な物価上昇に加速感はでなかったもようで、ドル円相場での円安圧力として働いた。3月CPIの伸び率は、総合指数が前年同月比1.5%、生鮮食品を除いたコア指数が1.8%となって、それぞれ前月(2月)から0.2%ポイント上昇。一方、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数は2.4%で前月よりも0.1%ポイント低くなった。日銀が3月に発表したさまざまな政策による特殊要因を除いたCPIの数値は、今後もCPI発表の2営業日後に公表される。
こうした中、金融市場では日銀が28日までの決定会合で利上げを見送ることが確実視されている。ブルームバーグによると、24日午後2時40分時点の金融市場で見込まれている日銀の4月決定会合後の政策金利の水準は0.739%で、現状の0.75%よりも低くなっている。同時に、12月の決定会合後の政策金利は1.274%と見込まれ、年内2回の利上げが想定されているが、日銀は利上げの決断を急がないとみられている形だ。
日銀の決定会合後の情報発信は? ホルムズ海峡封鎖の悪影響強調なら円安急進も
このため今回の決定会合で実際に利上げが見送られた場合、日銀が示す経済見通しや植田和男総裁の記者会見などで、今後の利上げについての本気度が感じられるかどうかが注目されそうだ。日銀は物価上昇の見通しについて、「賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇するメカニズムは維持されている」としてきた。今回の決定会合後もこうした立場に変化がなく、植田氏が基調的な物価上昇の強さや、円安が輸入物価の上昇を通じて国内物価を押し上げる構図を強調するなどすれば、円高材料として意識される可能性がある。
逆に日銀の決定会合後の情報発信は円安要因にもなりえる。イラン戦争に伴うホルムズ海峡の封鎖は世界経済の行方を不透明にしており、日本企業の業績悪化や消費の落ち込みが見込まれるようになれば、賃金や物価の上昇に歯止めがかかる可能性がある。植田氏がこうした問題点に軸足を置けば、経済活動をさらに冷やしかねない追加利上げの確度が弱まり、有事のドル買いともあいまって、円安が急進することも考えられる。
日本政府は為替介入へ臨戦態勢 2年前には160円から154円への円高も
ただ、日本政府は円安急進を容認しない立場を繰り返し強調している。片山さつき財務相は23日のブルームバーグのイベントで、金融市場の動向について米国の当局と「昼夜を問わず24時間、緊密に連携をとりあっている」と発言。為替介入に関しては「われわれにフリーハンドがある」と述べた。
日本政府は日本が休日だった2024年4月29日、ドル円相場が1ドル=160円台をつけた後、為替介入し、154円台まで円高を進ませたとみられている。今回の決定会合後に円安が進んだ場合は、ドル円相場が為替介入で一気に大きく円高に振れる筋書きも想定されそうだ。
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