早期の米利上げ観測が後退。8月の金価格は9%高と、今年1月以来の大幅高にある。今週、強気維持の試金石となるのがFOMC議事要旨。上値の焦点は200日線が推移する4500ドル、下値の焦点はサポート転換の4300ドル。
金価格が強気地合いを維持している。直近では2日続伸し、4400ドル台の攻防にある。ブルームバーグのデータによれば、8月の上昇率は17日時点で9%と、最高値5598ドルを付けた今年1月以来の大幅高にある。
金価格 月次パフォーマンス:過去1年間
金価格の押し上げ要因となっているのが、米ドル安だ。7月の雇用統計、物価指数(CPI・PPI)そして小売売上高は総じて市場予想を下回った。
一時7割台まで上昇した9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ織り込み度は現在、3割台へ後退している。
FOMC 各会合における利上げ見通しの動向:2026年4月以降
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この変化の影響は為替に現れている。米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は101.50レベルから下落し、直近では99.50レベルを下抜ける場面が見られる。
一方、米10年実質金利は2.4%台で高止まりしている。両者と金価格のトレンドをチャートで確認すると、米実質金利の高止まりを無視し、ドル指数の下落に対して金価格が上昇(反応)していることが分かる。
金価格、ドル指数、米10年実質金利の動向:2026年1月以降
米ドル安を受け、市場参加者は金投資に妙味を見いだしている。
ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、先週(10〜14日の週)、主要な金ETFには10.5億ドルの純流入があった。2週連続の流入超は4月以来だ。この時もドル指数は、3月末の100.60台から4月に97.60台へ下落している。市場参加者が米金利よりも米ドルを見ていることが分かる。
金ETF 週次資金フローの動向:2026年2月以降
金価格が強気地合いを維持できるかどうか。今週その試金石となるのが、19日(日本時間20日未明)に公表される7月28〜29日開催分のFOMC議事要旨となろう。
7月会合でFRBは政策金利を3.50〜3.75%に据え置いた。しかし、クリーブランド、ミネアポリス、ダラスの3地区連銀の総裁はいずれも0.25%の利上げを主張して反対票を投じている。3人が同じタカ派の方向で反対したのは2016年9月以来となる。
後退しているのは「早期」の利上げ観測であり、年内の見通し自体は根強い。3会合の織り込み度の累計では、なお9割台にある。17日に2割台まで低下していた9月の織り込み度は、18日には3割台半ばへ切り返している。
注目したいのは、どの年限の米金利が動いたかだ。ブルームバーグのデータによれば、9月の利上げ期待は7月23日に72%程度まで織り込んだ。それ以降、織り込み度は急速に後退したが、米10年債利回りは4.7%を挟んで一進一退の展開が続いている。対照的に米金融政策の方向性を織り込む特性がある2年債利回りは4.36%から4.1%へ、およそ26ベーシスポイント(bp)も低下している。
現在、米ドルが反応しているのは2年債利回りの方だ。ゆえに今回の米ドル安の正体は、利上げ観測の後退そのものと言える。裏を返せば、利上げ観測が再び強まれば、米ドル高が再燃する可能性がくすぶる状況にある。
米2年債利回りと10年債利回り 1時間チャート:7月下旬以降
なお、21日に8月S&Pグローバル米購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。景気減速が示されれば利上げ観測はさらに後退し、金の下支え要因となろう。一方、“タカ派”のFOMC議事要旨と強いPMIが重なる場合は、米ドルの反発と金価格の反落を予想する。
14日のIGコモディティレポートでは上値焦点の一つに4500ドル、下値焦点の一つに4300ドルを挙げた。現在の金価格は、これらの水準を意識する状況にある。
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今週も金価格が強気地合いを維持すれば、引き続き4500ドルのトライが最初の焦点となろう。フィボナッチ・リトレースメント61.8%(4456ドル)を突破し200日線のトライが視野に入れば、4500ドルの攻防を意識したい。
FOMC議事要旨や8月PMI速報値が米ドル安の要因となれば、金価格は4500ドル台の攻防へシフトすることが予想される。このケースでは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%(4577ドル)を視野に上昇拡大を想定したい。
76.4%戻しも突破すれば、次の節目水準4600ドルが視野に入る。このラインを今週21日までの上限と予想する。
注目の上値水準:レジスタンス
★4600ドル:節目の水準、想定レンジの上限
・4577ドル:76.4%戻し
・4500ドル:節目の水準、下に200日線(4493ドル)
・4456ドル:61.8%戻し
FOMC議事要旨や米経済指標がドル反発の要因となれば、金価格の反落を予想する。
このケースでは、サポート転換が確認された4300ドルを想定レンジの下限とし、まずはサポート転換の兆しが見られる4360ドルの攻防に注目したい(いずれも1時間足を参照)。このラインで反発する場合は、上記レジスタンス水準の攻防を意識したい。
一方、この4360ドルはサポート転換の兆しに加え、10日線(4357ドル)と日足の一目均衡表・雲の上限が重なるテクニカル面で重要なラインでもある。それだけに、4360ドルの下方ブレイクは4300ドルをトライするサインと考えたい。
筆者の想定を超える調整売りで4300ドルを難なく下方ブレイクする場合は、1時間足のフィボナッチ・リトレースメント38.2%(4285ドル)、もしくは8月上旬に相場をサポートした半値戻し(4234ドル)までの反落を想定したい。
注目の下値水準:サポート
・4360ドル:サポート転換ライン、日足一目雲の下限、10日線(4357ドル)
★4300ドル:節目の水準、想定レンジの下限
・4285ドル:38.2%戻し
・4234ドル:50%戻し
金価格 日足チャート:2026年1月以降
金価格 1時間足チャート:7月下旬以降
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