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金価格見通し:米利上げ観測後退、4500ドル視野もドル高再燃なら急反落を警戒

米インフレ鈍化で金価格(XAUUSD)は反発地合いも、200日線を前に上値を意識。米長期金利の高止まりが重石だ。目先は上値トライを想定するが、米ドルの動向次第では急反落を警戒したい。注目のチャート水準は?

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

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石川 順一

石川 順一

シニアマーケットアナリスト/Senior Market Analyst

作成日

要点

  • FRBの早期利上げ観測の後退を受け、金価格(XAUUSD)は200日線を視野に反発地合いにある。この水準をブレイクすれば、4500ドル台の攻防を意識したい
  • 米経済指標にらみの状況が続こう。本日は7月小売売上高と8月ミシガン大学期待インフレ率が材料視される可能性がある。来週は20日のFOMC議事要旨が焦点となろう。これらの材料が米金利とドルの方向を左右しよう
  • 高止まりする米長期金利はドル高再燃の要因になり得る。金価格は急反落が予想される。金価格が再び下値を目指す場合は、50日線の維持が焦点となろう

米インフレ鈍化、金価格は200日線を視野に反発

13日の取引で金価格(XAUUSD)は、利益確定売りに押され下落した。

この日発表された7月の米生産者物価指数(PPI)は、トレンドを示す前年同月比が4.7%と、市場予想の4.9%を下回り、前月の5.5%から大幅に鈍化した。前日発表の同月消費者物価指数(CPI)も前年同月比が3.4%と前月の3.5%から小幅に鈍化し、物価指標はいずれもインフレ圧力の後退を示した。

米インフレ鈍化を受け早期の利上げ観測が後退し、金価格はフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準4456ドル付近まで反発する場面が見られた。すぐ上には200日移動平均が推移する。この移動平均線は、今年3月の急落を止めた経緯がある。61.8%戻しと200日線という2つの重要テクニカルラインを突破すれば、4500ドルのトライが視野に入るだろう。

しかし、金価格がこのまま強気相場へ回帰すると判断するのは早計だと筆者は考えている。その理由は、米長期金利の動きにある。

金価格 日足チャート:2026年3月以降

金価格 日足チャート:2026年3月以降 TradingView提供のチャート

高止まりする米長期金利、ドル高再燃なら金価格は急反落を警戒

インフレ期待が変動要因の一つである米10年債利回り(長期金利)は現在、4.7%を視野に高止まりしている。この状況は、米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切って以降一貫した動きだ。

そして現在、米国とイランの停戦協議は難航し、ホルムズ海峡の早期正常化期待は後退している。国際指標の一つブレント原油先物価格は7月23日に一時100ドルを突破する場面があった。その後は停戦協議進展の期待で80ドル割れの場面が見られたが、足元では87ドル近辺へ反発している。

中東混乱の長期化で原油先物価格が高止まりすれば、インフレ懸念が米長期金利の上昇要因となる可能性があろう。

米10年債利回り 日足チャート:2022年以降

米10年債利回り 日足チャート:2022年以降 TradingView提供のチャート

今の金相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測の後退を意識する状況にある。しかし、FRBの年内利上げ観測自体は根強い。この状況で中東地域の混乱が長期化しインフレ懸念が一段と強まれば、米長期金利の高止まりが続き、ドル高再燃の要因になり得る。

鍵は米実質金利の動きにある。10年実質金利(10年債利回り-10年ブレーク・イーブン・インフレ率)は、直近の物価指標の鈍化で上昇が一服しているが、2.4%前後で高止まりしている。対照的に2年実質金利(2年債利回り-2年ブレーク・イーブン・インフレ率)は2.4%から2.0%へ、約40ベーシスポイント低下した。

大きく変動したのは、政策金利の見通しを織り込む短期ゾーンだけであり、金相場を取り巻く長期ゾーンの金利環境に大きな変化は見られない(下チャート、赤ゾーンを参照)。

米実質金利の動向:日次 2026年1月以降

米実質金利の動向:日次 2026年1月以降 ブルームバーグのデータで作成

結果として、米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)と10年実質金利の乖離が不自然に拡大している。

今年に入り、この不自然な乖離は2回発生した(下チャート①②)。いずれも米ドルの買いと売りでこれらの乖離が収れんされてきた。そして今回で3回目となる乖離は、7月30日から埋まらないまま続いている。

ドル指数と米10年実質金利の動向:日次 2026年1月以降

ドル指数と米10年実質金利の動向:日次 2026年1月以降 ブルームバーグのデータで作成

現在の金価格は、早期の利上げ観測のうち、"早期"が剥落する短期的なテーマで動いている。目先、この点が材料視され続ければ、下のテクニカル分析セクションでまとめたレジスタンス水準のトライを想定したい。

しかし、インフレ再燃の懸念とそれに伴う米長期金利の高止まりを考えるならば、このままドル安が進行する可能性は低い。ドル高再燃の可能性がくすぶる以上、金価格の急反落を警戒しておきたい。

金価格の短期見通しとテクニカル分析

現在の金価格は、早期の利上げ観測の後退をテーマに反発地合いにある。目先は、経済指標にらみの展開が予想される。今晩の7月小売売上高で個人消費の減少が示される場合は、米ドル安の要因となろう。8月ミシガン大学期待インフレ率にも注目したい。消費者のインフレ期待は実際の物価動向に影響を与える。ブルームバーグ予想によれば1年先が4.2%、5-10年先が3.3%と、いずれも前月確報値から横ばいの予想にある。CPIやPPIの鈍化に続き、予想外に下振れする場合は、米ドル安の要因となろう。

また来週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月28-29日分)の内容が材料視される可能性がある。これらの材料が米ドル安の要因となれば、金価格は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。

最大の焦点は、10日のIGコモディティレポートで上限として指摘した4500ドルのトライだ。日足のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準4456ドル→200日線の攻防に注目し、200日線の突破は4500ドルをトライするサインと捉えたい。

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今日以降、金価格が4500ドル台の攻防となる場合は、76.4%戻しの水準4580ドルを視野に反発地合いが加速することが予想される。この水準は5月下旬に、4600ドルとレジスタンスゾーンを形成した経緯がある。

注目のレジスタンス水準
・4600ドル:節目水準
・4580ドル:76.4%戻し(4577ドル)
・4500ドル:節目水準
・4490ドル:200日線(4488ドル)
・4460ドル:61.8%戻し(4456ドル)

一方、米長期金利の高止まりや上昇を受け、米ドル高が再燃する場合、金価格は以下にまとめたチャート水準を視野に下落を想定したい。

最初の焦点は、4300ドルの維持だ。この水準を下方ブレイクすれば、4時間チャートの半値戻しと61.8%戻しの攻防に注目したい。

目先、最も注目したいのが50日線の維持だ。4月以降、レジスタンスとして相場の反発を止めてきたこの移動平均線がサポート転換となれば、地合いの強さを市場に印象付けよう。一方、この移動平均線をあっさりと下方ブレイクする場合は、心理的節目の水準4000ドルを視野に下落拡大を警戒したい。

注目のサポート水準
・4300ドル:節目水準
・4230ドル:半値戻し(4234ドル)
・4200ドル:節目水準
・4180ドル:61.8%戻し(4183ドル)
・4150ドル:50日線(4154ドル)
・4000ドル:心理的節目の水準

【再掲】金価格 日足チャート:2026年3月以降

【再掲】金価格 日足チャート:2026年3月以降 TradingView提供のチャート

金価格 4時間足チャート:7月下旬以降

金価格 4時間足チャート:7月下旬以降 TradingView提供のチャート

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