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金価格見通し(12/23):100ドルの急騰で最高値更新、4600ドル視野に上昇拡大も

IG証券のアナリストによる金価格の年末までの見通し。100ドル超の急騰で最高値を更新。次の焦点は4500ドルのトライ。4600ドルが視野に入る可能性も。目先注目のチャート水準について。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 22日の取引で金価格が100ドル超急騰。最高値を更新。米金利上昇という逆風下での上昇拡大は、地合いの強さが戻っていることを示唆している
  • 金ETFへの4週連続の資金流入も金相場を下支えしている。しかし、RSIは短期の過熱感を示唆しており不意打ちの反落には要警戒
  • 年末までの上限の予想は4600ドル、下限の予想は4350ドル


金価格100ドル超の急騰、最高値更新

22日の取引で金価格が前週末比100ドル超の急騰。10月の高値4381ドルを突破し、最高値を更新した。

IG証券が提供するスポット金価格は高値4449ドルを付けた。23日の取引序盤は4460ドル台まで上昇中。次の節目水準4500ドルを視野に強気ムードが強まっている。

金価格の5分足チャート:12月22日

金価格の5分足チャート:12月22日

出所:IGチャート


米金利上昇下での最高値更新、戻る地合いの強さ

昨日の動きで筆者が注目したのが、米金利が上昇するなかで最高値を更新したことだ。

米債市場では11月下旬以降、10年債利回り(長期金利)が反発基調にある。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に米金利は低下した。だがその動きは一過性に終わり、昨日の市場では4.17%台まで上昇する局面が見られた。

米金利上昇という下落材料をこなしながらの最高値更新は、金価格の地合いの強さが戻っていることを示唆している。

金価格と米金利の10分足チャート:12月22日

金価格と米金利の10分足チャート:12月22日

TradingView提供のチャート

ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、主要な金ETFへの資金フロー(週間ベース)は4週連続で流入超となった。ETFへの資金流入が続いていることも金価格の強気相場を支えている。

金ETF 週間資金フローの動向:今年5月以降

金ETF 週間資金フローの動向:今年5月以降

ブルームバーグ・インテリジェンスのデータで作成


金価格 年末までの見通しと注目のチャート水準

年末までの見通し
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ姿勢や米国とベネズエラの関係悪化が金価格の押し上げ要因として指摘されている。

筆者がより注目しているのが、前述の米金利との関係だ。米債市場では10年国債の利回りだけでなく、20年や30年の超長期国債の利回りも同時に上昇している。これらの状況は、米国のインフレ再燃と財政悪化を意識した動きの可能性がある。

インフレについては、米国だけでなく日本を含めた主要国の中銀にとって、来年も悩みの種となるだろう。翌日物金利スワップ(OIS)市場では、来年7月にも日銀が利上げに踏み切る可能性を織り込んでいる。また、カナダやオーストラリアの中銀は、来年利上げに転じることが予想されている。

インフレヘッジと安全資産の妙味から、金価格は年末に向けて4600ドルを視野に上昇の拡大が予想される。一方、調整売りの局面では4350ドルまでの反落を想定しておきたい。

上限予想:4600ドル
年末に向けて金価格が強気相場を維持する場合、目先の焦点は4500ドルの攻防だ。23日序盤の取引で昨日の上昇を止めた4450ドルを突破した。次の焦点は、1時間足チャートのフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準4477ドルのトライとなろう。このテクニカルラインの突破は、4500ドルをトライするサインと考えたい。

金価格が4500ドル台へ上昇した後、この水準で底固めとなれば4600ドルを視野に上昇拡大を予想する。日足チャートのフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準4582ドルの突破は、4600ドルをトライするサインとなろう。

チャートポイント
・4600ドル:上限予想(日足)
・4582ドル:フィボナッチ・エクステンション161.8%(日足)
・4500ドル:レジスタンスライン(日足)
・4477ドル:フィボナッチ・エクステンション161.8%(1時間足)

下限予想:4350ドル
1時間足チャートだけでなく日足チャートのRSIも買われ過ぎの水準へ到達しており、短期的な過熱感が意識されやすい状況にある。昨日の急騰で年初来の上昇率が約70%まで拡大している状況も考えるならば、不意打ちの反落を警戒したい。

年末にかけての調整局面では、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。最初の焦点は4400ドルの維持だ。このラインを下方ブレイクする場合は、10月の高値4381ドルがサポートラインに転換するかが重要な焦点となろう。過去の最高値がサポートラインとして相場を下支えすれば、金価格の反発を想定したい。

一方、4381ドルがサポート転換に失敗し下落幅が拡大しても、現在の金価格を取り巻く状況を考えるならば4300ドル台を維持すると予想する。1時間足チャートにまとめたサポート水準-4375ドルと4350ドルの攻防に注目したい。いずれもサポート転換の可能性がある。

今年の取引も残すところ1週間余り。2025年の週間ベースの変動率を確認すると2%以上下落した週は7回のみ。3%超の下落は2回のみだ。

金価格 2025年の週間変動率

金価格 2025年の週間変動率

ブルームバーグの価格データで作成

31日までに不意打ちの反落が発生し、現在の価格(4470ドル付近)から2%~3%下落すると想定する場合、4350ドル付近までの下落を想定したい。しかし現在は上昇局面にあり、4500ドル台をトライする可能性が高まっている。4500ドル付近から3%超下落する場合も4350ドル付近がサポートラインとして浮上する。この水準を年末までの下限と予想する。

なお、金価格の上昇が止まらず上限予想の4600ドルを一気に目指す展開となれば、下限の焦点は4500ドル台の維持となろう。

チャートポイント
・4400ドル:節目の水準
・4381ドル:10月の高値水準(日足チャート)
・4375ドル:サポート転換の可能性あり(1時間足チャート)
・4350ドル:下限予想(1時間足チャート)


金価格の日足チャート:10月以降

TradingView提供のチャート

金価格の1時間足チャート:12月中旬以降

TradingView提供のチャート


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