ユーロ高が11か月ぶり水準 一時169円台 6月CPIでブレーキも
ユーロ円相場は一時169円台。5週間で8円超のユーロ高となった。一方、足元では円高圧力も出ており、1日発表のユーロ圏CPIが注目される。

ユーロ円相場でユーロ高が進行している。ユーロ円相場は前週末の日本時間27日深夜には約11か月ぶりのユーロ高水準にあたる1ユーロ=169円台後半を記録。30日の取引では168円台後半に後退したが、5週間で8円超のユーロ高が進んだ形となった。ユーロ高の背景にあるのは、欧州中央銀行(ECB)の利下げ打ち止めが近づいているとの見方。同時に日本銀行をめぐっては利上げに動きにくくなっているとの見方も根強く、ユーロ円相場でのユーロ高を招いているといえそうだ。ただ、30日のFX市場ではアメリカのドナルド・トランプ大統領の日本批判も意識されており、今後の円高圧力の強まりも予感させる。また7月1日に発表されるユーロ圏の消費者物価指数(CPI)の伸び率が予想よりも下振れた場合には、ユーロ圏経済の弱さが材料視され、これまでのユーロ高にブレーキがかかる可能性もありそうだ。
ユーロ円相場は一時169円 11か月ぶりのユーロ高水準に
ユーロ円相場(EUR/JPY)は日本時間27日午後11時30分ごろに1ユーロ=169.81円をつけた。ブルームバーグによると、2024年7月23日につけた171.09円以来のユーロ高水準だ。5月23日につけた161.09円との比較では5週間で8.72円のユーロ高が進んだことになる。日本時間30日午後の取引では168円台後半までユーロ安方向に振れている。

ECBの年内利下げはあと1回が有力 ECBは物価上昇鎮静化に自信
ユーロ高の背景にあるのは、ECBの利下げが打ち止めになるとの見立ての浸透だ。ECBは5日の理事会で政策金利の下限にあたる中銀預金金利を2.00%にまで引き下げ。経済見通しでも物価上昇鎮静化に自信をみせた。クリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で「金融政策のサイクルの終わりに近づいてきている」と述べている。
ECBは2024年6月初めまでは4.00%だった政策金利を1年かけて2.00%ポイント引き下げており、ラガルド氏の発言はこれ以上の利下げは見込みにくいとの立場を示唆したといえる。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれる12月のECB理事会後の政策金利の水準は1.685%で、年内の利下げ回数はあと1回が有力視されている状況だ。

日銀は利上げに慎重姿勢 中東情勢緊張緩和はユーロ高を後押し
一方、円相場では日銀の利上げの難しさが意識されている。日銀は16、17日の金融政策決定会合で政策金利を維持。植田和男総裁はトランプ氏の高関税政策が日本企業の収益性を低くすることに懸念を示し、物価や経済の見通しについては「下振れリスクの方が高い」とした。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月決定会合後の政策金利の水準は0.62%程度で、現状の0.5%から1回の利上げがあるかどうかといった筋書きが見込まれている。

日銀の利上げへの慎重姿勢は円安要因として働いたようだ。円の対ドル相場の27日の終値は日銀の決定会合の結果発表前日にあたる16日との比較で0.07%の円高にとどまった。一方、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は1.36%のユーロ高となっている。この間、FX市場では中東情勢の緊張緩和がドル売りの流れを生んでいたが、円が買われる度合いは小さかったようだ。

トランプ氏は日本に円安是正を要求? ユーロ圏CPI下振れでユーロ安進行も
ただ、30日のFX市場では、ドル円相場で円高圧力がかかるとの見立ても浮上した。ブルームバーグによると、トランプ氏は29日に放送されたFOXニュースでのインタビューで、日本と米国との間の自動車貿易について公平ではないと主張。「日本の車には25%の関税が課されます」との手紙を送ることも可能だと述べた。市場関係者の間ではトランプ氏が日米関税協議に際して円安是正を求めているとの観測も出ているといい、円高圧力とみなされた。トランプ氏は27日のホワイトハウスでの記者会見でも、相手を日本に特定しない形で同趣旨の発言を行い、関税協議の早期打ち切りの可能性を示唆していた。
こうした中、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、欧州連合(EU)統計局が日本時間の7月1日午後6時に発表する6月CPIに注目が集まる。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.0%となり、前月(5月)の1.9%から物価上昇が加速する見通し。また食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は2.3%と見込まれ、こちらは前月から横ばいになると予想されている。

実際に発表される結果が予想よりも上振れた場合には、ECBの利下げ見通しがさらに後退することでユーロ高が継続する可能性がある。一方、結果が大きく下振れた場合には、ユーロ圏経済の消費の弱さが連想されてユーロが売られるとともに、足元での円高圧力とも相まって、ユーロ円相場でユーロ安が進むことも想定されそうだ。
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