米国株、米中協議を楽観 S&P500小幅高 5月CPIは上昇加速見通し
S&P500は9日、小幅高で堅調さを維持。決着が10日に持ち越された米中協議は楽観されているようだ。今後は11日発表の5月CPIへの注目も高まりそうだ。

アメリカの株式市場がロンドンで行われている米国と中国の協議を楽観している。S&P500種株価指数の9日の終値は前週末比0.09%高。小幅な上昇ながら2月につけた最高値の更新へと歩みを進めた。米中対立の悪影響を受けている半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価も2営業日続伸と堅調さを維持。9日に始まった米中協議は決着を10日に持ち越したが、投資家の不安は大きくは高まっていないようだ。一方、S&P500の今後の見通しをめぐっては、11日に発表される5月の消費者物価指数(CPI)の重要度も高い。市場予想では前月よりも物価上昇が加速すると見込まれており、結果が上振れれば、S&P500の逆風になる可能性がある。S&P500が4月以降に記録した20%もの上昇が継続するには、米中協議と5月CPIの2つのハードルをクリアする必要がありそうだ。
アメリカのS&P500は小幅高 最高値まであと2.30%まで接近
S&P500(SPX)の9日の終値は6005.88。2営業日続伸で、2月19日につけた最高値(6144.15)まで2.30%の上昇で到達する水準となった。S&P500は6日に発表された5月の雇用統計が労働市場の大きな悪化を示さなかったことで、3か月半ぶりの6000台に乗せており、堅調さが維持された形だ。

エヌビディアは2営業日続伸 テスラもトランプ氏との決別後の急落から反発
S&P500への影響度が大きい大手ハイテク株も堅調だ。エヌビディアの株価(NVDA)の9日の終値は前週末比0.64%高の142.63ドル。こちらも1月6日につけた最高値(149.43ドル)まであと4.77%に迫っている。エヌビディアは中国向けに開発した半導体「H20」が米政府による輸出規制の対象となり業績に悪影響が出ているが、5月28日に2025年5-7月期の高成長見通しを示し、投資家の安心感が戻った。電気自動車(EV)大手のテスラの株価(TSLA)は4.55%高となり、2営業日続伸。イーロン・マスクCEOとドナルド・トランプ大統領との決別による急落から反発している。マイクロソフト(MSFT)は9日までの8営業日続伸で合計3.36%高となった。


ハセットNEC委員長が米中協議を楽観 トランプ氏「良い報告しか届いていない」
S&P500の堅調な値動きの背景には、ロンドンで9日に始まった米国のスコット・ベッセント財務長官らと中国の何立峰副首相らとの協議への楽観がありそうだ。ケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長は9日、米CNBCのインタビューで米中協議について、「米国による輸出規制が緩和され、多くのレアアースが中国から供給される」との見通しを示した。ハセット氏はエヌビディアのH20については米国からの輸出規制緩和の対象ではないとも言及しているが、トランプ政権は一定程度、中国への歩み寄りを想定しているようだ。トランプ氏も9日に記者団に対し、「良い報告しか届いていない」と述べている。
こうした中、金融市場では投資家の不安の大きな高まりは感じられない。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の9日の終値は17.16で、10営業日連続で20未満の水準を維持。前営業日比では2.33%の上昇だが、雇用統計が発表された前週末6日には9.25%低下していただけに、米中協議に対する不安は限定的だといえそうだ。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。

5月CPIは物価上昇加速の見通し 結果が上振れればS&P500に逆風
一方、S&P500の今後の見通しをめぐっては、米国の実体経済の重要性も高い。米労働省が11日午前8時30分(日本時間11日午後9時30分)に発表する5月CPIで物価上昇の加速が示されれば、トランプ氏の高関税が物価上昇を再燃させ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを難しくするという株式市場にとっての悪いシナリオが意識される可能性がある。
ブルームバーグがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比2.5%となり、前月(4月)の2.3%よりも物価上昇率が高くなる見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率も2.9%と見込まれ、やはり前月(2.8%)からの物価上昇加速が予想されている。結果がこうした予想よりも高い数字となれば、S&P500にとっての逆風になりそうだ。

S&P500はトランプ氏による相互関税一部停止の前日にあたる4月8日には2月の最高値から18.90%安まで下落した後、足元までの2か月間で20.53%の上昇をみせてきた。米中協議と5月CPIで大きな波乱が起きなければ、投資家の楽観ムードがS&P500の上昇を勢いづかせることが考えられそうだ。
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