ユーロ高、対ドルで3年5か月ぶり水準 安全資産効果 対円は横ばい
ユーロの対ドル相場は2021年11月以来のユーロ高水準。一方、ユーロ圏経済の見通しが明るいわけではなく、ユーロ円相場でのユーロ安も想定される。

FX市場でユーロが円と並ぶ強さを発揮している。ユーロの対ドルレートは2021年11月以来のユーロ高水準で推移。アメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策でドルが売られやすくなる中、ユーロが安全資産とみなされた結果だ。トランプ氏による相互関税発表前の水準との比較では、ユーロはドルに対して5%超も強くなっている。一方、やはり安全資産とみなされる円もドルに対して強くなっている結果、ユーロ円相場は1ユーロ=162円前後での横ばい傾向が続いている。ただし欧州中央銀行(ECB)は17日までの理事会で6会合連続での利下げを決め、金融市場では6月の利下げも有力視されている。このためユーロ円相場では、徐々にユーロ安が進む可能性もありそうだ。
ユーロが対ドルで3年5か月ぶりの高さ 円と並ぶ安全資産に
ユーロの対ドルレート(EUR/USD)は日本時間21日の取引で一時、1ユーロ=1.1529ドルをつけた。ブルームバーグによると、2021年11月10日(1.1595ドル)以来、3年5か月ぶりのユーロ高水準となっている。FX市場ではトランプ氏が繰り出す高関税政策が米国経済を混乱させるとの見通しを背景としてドルが売られやすくなっており、ユーロが安全資産として買われている形だ。

ユーロの対ドルレートの前週末18日の終値は、トランプ氏による相互関税発表前日にあたる1日の終値との比較では5.56%のユーロ高水準。やはり安全資産とみなされる円がドルに対して5.23%強くなったことあわせて、ドル安の流れの激しさを印象づけている。
ユーロ円相場は162円を挟んだ値動き ユーロ高と円高が同時進行
一方、ユーロと円が同時にドルに対して強くなっていることは、ユーロ円相場(EUR/JPY)では横ばいの値動きとなって現れている。ユーロ円相場の2日以降の値動きは取引時間中での大きなユーロ高や円高の動きを伴いながらも、1ユーロ=162円を挟んだ値動きが続いている。

ECBは6会合連続で利下げ ユーロ圏経済の見通し不透明感も強調
ただしユーロの強さはユーロ圏経済の見通しの明るさを反映しているわけではない。ECBは17日までの理事会で2024年9月以降、6回連続での利下げを決定。ECBの政策金利の下限にあたる中銀預金金利を2.25%とした。ECBの中銀預金金利は6月6日の4年9か月ぶりの利下げまでは4.00%だったが、10か月で1.75%ポイントの利下げが進んだ形だ。クリスティーヌ・ラガルド総裁は17日の記者会見で、「経済の見通しは異例の不確実性に覆われている」と分析。「世界貿易の混乱はユーロ圏の輸出を急落させ、投資や消費を落ち込ませるかもしれない」との見方を示した。
ラガルド氏は同時にユーロ圏内の物価上昇率については、目標とする年率2%に向けて順調に低下しているが、足元の経済の混乱が物価に及ぼす影響は今後明らかになってくると強調。今後の金融政策の道筋については経済指標の動向に応じて判断するとの立場を改めて示した。しかしユーロ圏経済が落ち込むリスクが高まる中、金融市場では、ECBが次回(6月4、5日)理事会で追加利下げを決めることが有力視されている。ブルームバーグによると、投資家の動向から算出される6月利下げの確率は、日本時間21日正午段階で約92%だ。

日本銀行は利上げを見据える姿勢を維持 年内利上げ確率は47%
これに対して日本銀行の金融政策をめぐっては引き続き、利上げ方向での動きが想定されている。総務省が18日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が前年同月比3.6%。植田和男総裁は18日の衆院財務金融委員会での答弁でも、日銀の見通し通りに物価や賃金の動向が推移した場合には「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」とした。ブルームバーグによると、日銀の金融政策をめぐっては、12月の金融政策決定会合までの利上げ確率が47%あると見積もられている。

このためユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、円高への流れが意識される可能性がありそうだ。とはいえ、世界経済の混乱が日本経済に及ぼす悪影響がFX市場で材料視されることも考えられ、経済指標の結果や投資家の思惑で日々の値動きが大きくなることも想定される。
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