豪ドル安進行　オーストラリア中銀、3連続利上げなし　成長率は加速か

オーストラリアの中央銀行にあたるオーストラリア準備銀行（RBA）は5日の理事会で利上げを見送った。政策金利据え置きは3会合連続。物価上昇が落ち着きをみせているためで、豪ドル円相場では円高豪ドル安が進んでいる。一方、オーストラリア経済をめぐっては、6日に発表される4-6月期GDPで実質成長率が1-3月期から加速する見込み。RBAは引き続き追加利上げの可能性を示唆している。しかし金融市場では利上げの切迫度は低いみられており、豪ドル安の流れが続く可能性がありそうだ。

豪ドル円相場は一時、1円超の円高豪ドル安に

RBAは5日の理事会で政策金利を4.10％に据え置いた。利上げ見送りは3会合連続で、7-9月期は一度も利上げが行われなかった。4-6月期は2度の利上げを行ったことを考えれば、利上げペースは着実に鈍化している。RBAは声明文で利上げ見送りの理由として、8月と同様、2022年5月からの政策金利引き上げの影響や、今後の経済の見通しを検証するための時間をとることを挙げた。

RBAが余裕をもてるのは物価上昇率が低下しているからだ。7月の消費者物価指数（CPI）で総合指数の伸び率は前年同月比4.9％まで下がり、1年5か月ぶりの低水準だった。このため今回の利上げ見送りは事前予想通りの結果といえる。5日の豪ドル円相場（AUD/JPY）では6月中旬以降の豪ドルが売られて円が買われる流れが改めて強まり、一時、前日比約1円超の円高豪ドル安水準となる1豪ドル＝93.55円をつけた。

オーストラリアの4-6月期の成長率は前期から加速予想

一方、オーストラリア経済をめぐっては6日午前11時30分（日本時間5日午前10時30分）に4-6月期GDPが発表される。ロイター通信のエコノミスト調査によると、実質成長率は前期比0.3％増と見込まれ、1-3月期の0.2％から上昇する予想。物価上昇圧力の強さとして、豪ドル高要因になる可能性がある。

また、RBAは今回の声明文でも7月の物価上昇率低下に触れつつ、「物価上昇率は依然として高すぎで、当面の間、高止まりする」としている。物価上昇率が2-3％の目標水準に到達するには2025年後半までかかるという従来の見通しも維持。「いくらかの追加的な金融引き締め」が必要になるかもしれないとの文言にも変化を加えなかった。

ただし金融情報会社リフィニティブのデータによると、次回10月3日の理事会での利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間5日午後4時45分現在で約92％という高水準にある。RBAが当面は利上げを急ぐことはないとの見方の現れといえ、豪ドル安の流れが続く可能性がありそうだ。