アーム、業績見通しが予想超え　株価一時8％高　AIブーム恩恵に自信

アームの2025年7-9月期決算は市場予想超え　10-12月期の見通しでも

アームの7-9月期決算は総収入が前年同期比34.5％増の11.35億ドルで、前四半期（7-9月期）の12.1％増から成長が加速。1株当たり利益（EPS）は30.0％増の0.39ドルで、前四半期の減益決算（12.5％減）から増益に転じた。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が10.58億ドル、1株当たり利益が0.33ドル。発表された結果はいずれも市場予想を超える好決算だった。

アームが同時に発表した10-12月期の業績見通しも市場予想を超えた。10-12月期の総収入の見通しは12.25億ドルとされ、直前の市場予想の11.06億ドルを上回る数字。1株当たり利益でも0.42ドルとの水準が示され、やはり市場予想（0.35ドル）を上回っている。

スマホからデータセンターまで幅広い分野で需要拡大　効率性に評価

アームの7-9月期の業績を押し上げたのは、顧客企業との間でアームの技術を用いた半導体製造の契約を結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入だ。7-9月期のライセンス収入は前年同期比56.1％増の5.15億ドルで、次世代製品向けの需要や一部重要顧客との関係強化が影響したという。10-12月期についても25-30％の増加が見込まれている。また、顧客企業がアームの技術を用いた半導体の製造で得た収益に応じて受け取るロイヤルティ収入は7-9月期の実績で、前年同期比20.6％増。10-12月期についても20％の増加を見込んでいる。スマートフォンやデータセンター、自動車向けなど幅広い分野で需要が強かったという。

ハース氏は5日の決算会見で、ChatGPTで知られるオープンAIなどとの定期的な協議を通じて得た知見として、AI開発やサービス展開、AI関連インフラの建設などにおいて「エネルギーがボトルネックになってきた」と分析。このため「可能な限り電力効率が良い計算のための仕組み」が求められていると強調した。ハース氏は同時に半導体設計におけるアームの技術は競合の技術よりも約50％も効率的だとし、半導体大手のNVIDIA（エヌビディア、NVDA）や、自社半導体も手掛けるアマゾン・コム（AMZN）、アルファベット（GOOGL）、マイクロソフト（MSFT）、テスラ（TSLA）などがアームの顧客になっている要因だとしている。

アームの株価は時間外取引で一時、8.66％高　その後は上げ幅縮める

こうした市場予想を超える好業績と見通しは投資家に好感されたようだ。ブルームバーグによると、5日の時間外取引でアームの株価（ARM）は一時、174.07ドルまで上昇。直近の終値（160.19ドル）との比較では8.66％高となった。

ただ、アームが示した10-12月期の見通しは成長加速を示す内容ではない。総収入の見通し（12.25億ドル）は前年同期比でみれば24.6％増で、7-9月期の34.5％よりも低い。また1株当たり利益の見通し（0.42ドル）は7.7％増でしかなく、顧客からの強い需要に応えるため、研究開発費の積み増しを進めるとしていることが利益を圧迫している側面がありそうだ。こうした中、5日の時間外取引中、アームの株価は次第に上げ幅を縮め、166ドル程度での値動きで落ち着いた。

アームの株価は10月27日の終値で178.62ドルをつけ、2024年7月10日の最高値（186.46ドル）が視野に入ったが、その後11月5日までの7営業日で10.32％安となっていた。6日の取引で好業績が評価されたとしても、アームの株価が最高値更新に向けて勢いづかせるほどではないとみなされる可能性もありそうだ。