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米国株の分析レポート 第4回

米国株の分析レポート第4回目のテーマは「決算」です。今年は好決算の銘柄を丁寧に選ぶことができるかどうか?でパフォーマンスの明暗が分かれる可能性が高いことを1月の株価が教えてくれています。詳細はレポートをご覧ください。※このレポートは2022年2月2日に配信されました。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

米金融引き締め懸念と米国株の下落


【サマリー】

・22年に入り米国の株式市場では米金融引き締めペースの加速が意識されている
・FRBの期待通りにインフレが低下しないことが22年のリスク要因
・ネットフリックスやアップルの株価が教えてくれた決算の重要性
・22年の決算では「ガイダンス(見通し)」が重要な焦点に
・パフォーマンスの明暗を分けるのは「丁寧な銘柄選び」


・22年は5回もしくはそれ以上の利上げも

21年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(以下パウエルFRB)は、コロナパンデミックに対応するために導入した大規模な量的緩和政策の終了時期を従来の22年6月から3月に前倒しする方針を決定しました。また、FOMCメンバーによる最新のFF金利の予想では、22年中に計3回の政策金利の引き上げを見込んでいることが公表されました。

しかし、今年に入ると市場参加者からは「3回の利上げでは、今の高インフレを抑制することはできない」、との指摘が出始めました。なかには7回の利上げを行う必要があるとの指摘や予測が出ています。

こういった市場参加者の声を反映し、1月FOMCの後に短期金融市場では、今年12月までに5回の利上げを織り込む動きが見られるようになりました(1月31日時点の12月予想ターゲットレートは1.36%レベル)。今後のインフレ動向によっては、それ以上になる可能性もあります。

FF金利の予想ターゲットレートの推移

FF金利の予想ターゲットレートの推移

・年初からアメリカの株価指数は軒並み下落

パウエルFRBが金融政策の正常化に向けて加速するのではないか?ということが意識され、アメリカの株価指数は年初来から売りの圧力に直面しています。S&P500指数(SPX)とナスダック総合指数は、ともに直近高値から10%以上下落する局面がありました。

1月28日の急反発をきっかけにひとまず米国株の下落は止まりました。しかし、下で述べるとおり高インフレの状況が続けば、今後も米金融引き締めペースとその加速が意識されることで、米国株が再び下落する可能性があります。

米金融引き締めペースの加速と経済に及ぼす影響が読み切れないことから、ウォール街ではアメリカ株の調整局面入りを警戒する声が出始めています。それら市場参加者の声の中には、パウエルFRBは20%の株価下落を容認するという声も聞かれます(WSJ)。

アメリカ株価指数の年初来パフォーマンス

アメリカ株価指数の年初来パフォーマンス


株価が教えてくる決算の重要性

・ネットフリックス急落の理由

22年1月中旬から決算シーズンが始まりました。

その序盤で、「今年は決算が重要である」ことをいくつかの企業の株価が教えてくれています。そのうちのひとつが、ネットフリックス(NFLX)です。

ネットフリックスは1月21日、21年10-12月期(第4四半期)の決算を発表しました。売上高はアナリスト予想と一致。一株利益(EPS)はアナリスト予想を上回りました。

ネットフリックスの決算内容

・売上高:$7.71 billion (予想 $7.71 billion)△(一致)
・一株利益:$1.33(予想 82 cents)〇

しかし、決算の発表後に同社の株価は大きく下落しました。

ネットフリックスの株価チャート

ネットフリックス(NFLX)の株価チャート

なぜ、ネットフリックスの株価は決算後に急落したのか?

その理由は、第1四半期の有料会員数の伸びにあります。21年12月末時点の動画配信サービスの会員数は2億2184万人で、9月末と比べて828万人増えました。しかし、会社予想の850万人には届きませんでした。

また、同社が予想する22年1-3月期の会員純増数は250万人と、アナリスト予想の693万人を大きく下回りました。

会員数はネットフリックスの収益源です。その収益源の予想が投資家の期待を裏切ったことで、ネットフリックスの株価は急落したのです。

・ネットフリックスとアップルの株価が教えてくれたこと

決算後のネットフリックスの株価下落は、投資家に重要なことを教えてくれました。それは、対象となる決算期の業績が良くても、「強気の業績見通しを示すことができなければ株価が売られる可能性がある」ということです。

なお、企業による業績見通しのことを「ガイダンス」といいます。

一方、アップル(AAPL)の株価もガイダンスの重要性を教えてくれています。同社は1月27日に21年10-12月(第1四半期)の決算を発表しました。売上高、一株利益(EPS)だけでなく、利益の軸となるiPhoneやMacの売上高も市場予想を上回る内容でした。

さらに同社のマエストリ最高財務責任者(CFO)は、増収基調を維持して22年1-3月期として過去最高を更新する見通しを示しました(不確実性が続くことを理由に売上高の予想数値は示さず)。

アップルの決算内容

・売上高:$123.9 billion (予想 $118.66 billion)〇
・一株利益:$2.10 (予想 $1.89)〇
・iPhoneの売上:$71.63 billion (予想 $68.34 billion)〇
・Macの売上:$10.85 billion (予想 $9.52 billion)〇
・営業利益率:43.8% (予想 41.7% estimated)〇

今回の決算を受け、一時156ドルを割り込む局面が見られたアップルの株価は、170ドル台へと急反発しました。反発したポイントは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準155.33 レベル。重要なテクニカルポイントで反発したことで、テクニカルの面でもアップル株の底堅さを印象付けました。

アップルの株価チャート

アップル(AAPL)の株価チャート


・なぜガイダンスが重要なのか?

なぜ、ガイダンスが重要なのか?

それは、アメリカで高インフレの状況が続く可能性があるからです。

アメリカのインフレ率(消費者物価指数)は前年同期比で7.0%と、約39年半ぶりの水準まで急上昇しています。パウエルFRBがインフレの指標として重視している個人消費支出(PCE)デフレーターも前年同期比で5.8%と、1982年7月以来(39年5カ月ぶり)の高さとなっています。PCEコアデフレーターも同比で4.9%まで上昇しています。

米消費者物価指数(CPI)

米消費者物価指数(CPI)チャート

米個人消費支出(PCE)デフレーター

米個人消費支出(PCE)デフレーター


インフレはいずれピークアウトするでしょう。しかし、現在の賃金や家賃の上昇を考えるならば、パウエルFRBが平均のインフレ目標としている2%の水準までインフレが期待通りに低下するかどうかわかりません。

インフレが期待通りに低下しない場合、パウエルFRBは短期金融市場で織り込まれている「計5回の利上げ」を超える利上げをする必要性に迫られる可能性が出てきます。インフレの動向は、バランスシートの縮小ペースにも影響するでしょう。そして行き過ぎた金融引き締めとなれば、アメリカ経済の後退懸念につながります。

インフレの高止まりリスクがくすぶっている以上、今年のアメリカ株式市場では、強気の見通しを示しかつ四半期決算でその見通し以上の業績を出し続けることができる銘柄に資金が集中することが予想されます。



決算をクリアした銘柄を丁寧に拾っていけるかどうか

・銘柄選びがパフォーマンスの明暗を分ける

今年は、米金融引き締めペースの加速と利回りの上昇が予想されます。よって、高PERのグロース株にとっては「苦難の1年」となる可能性が高いでしょう。

そうなると、バリュー株に注目が集まります。しかし、バリュー株だからといって何でも良いというわけではないのが、今年の相場の難しいところです。この点を示唆しているのが銀行株です。

例えば、米大手銀行のゴールドマン・サックス(GS)は1月18日、21年10~12月期(第4四半期)の決算を発表しました。売上高こそアナリスト予想を上回りましたが、一株利益(EPS)はアナリスト予想以下でした。また、純利益は前年同期に比べて13%減り、トレーディング部門の収益も前年の水準に届きませんでした。

ゴールドマン・サックスの決算内容

・売上高:$12.64 billion (予想 $12.08 billion)〇
・一株利益:$10.81 (予想 $11.76)×

決算を受け、ゴールドマン・サックスの株価は急落しました。米金利の上昇は銀行株にとってポジティブな要因です。しかし決算をクリア出来なければ、バリュー株ですら売られる状況にあることをゴールドマン・サックスの株価下落は教えてくれています。

ゴールドマンサックスのチャート

ゴールドマンサックス(GS)のチャート

結論

・今年の米国株投資でまず意識したいのは、決算をクリアしている銘柄に注目すること。

・売上と一株利益EPSがアナリスト予想を上回った銘柄から​​​​​強気の業績見通しを示し、かつその見通し以上の好業績を出し続けることができる銘柄の絞り込み。

・22年の米国株は、好決算を出し続ける個別の銘柄を丁寧に選んでポートフォリオに入れていくことができるかどうか?この点がパフォーマンスの明暗を分ける要因となる。


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