米国株見通し(10/15):米中対立の懸念と利下げ期待が交錯、S&P500は変動拡大を警戒
S&P500の短期見通し。米中貿易摩擦の懸念と米FRBの利下げ期待が交錯。目先は変動拡大を警戒。株価指数CFD「米国500」の重要チャート水準をIG証券のアナリストが詳細解説。

要点
米中貿易摩擦の懸念と米FRBの追加利下げ期待が交錯し、現在の米国株はボラティリティが拡大しやすい状況に陥っている。米中の駆け引きが続く間、マグニフィセントセブンに代表されるハイテク株は売り買いが交錯する相場を警戒したい。ハイテク株の影響を受けるS&P500はボラティリティ相場を想定。同指数の株価指数CFD「米国500」の予想レンジは6488~6725。テクニカルの面では、50日線(6580)と20日線(6672)の攻防に注目したい。
荒れ相場も利下げ期待が下支え
14日の米株式市場は上下に大きく振れる荒れ相場となった。ダウ平均は一時600ドル超下落。しかし、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言で追加の利下げ期待が高まり、米金利が低下。前日比202.88ドル(0.44%)高の4万6270ドル46セントで終えた。
S&P500も一時99.65ポイント安で6600ポイントを下方ブレイクする局面が見られたが、前日比10.41ポイント(0.16%)安の6,644.31ポイントで終えた。
中小型株のラッセル2000が上昇で終えた状況も考えるならば、米国株は利下げ期待に支えられ強気地合いを維持している。
米株価指数の変動率:10月14日

ブルームバーグのデータを基に作成
駆け引きの米中、不安定なマグニフィセントセブン
14日の米株式市場で主要3指数が大きく下落した要因は、米中対立の懸念にあった。中国商務省が韓国造船大手ハンファオーシャンの米国子会社に制裁を科し、米中対立が第三国へ波及するリスクが浮上した。
また、トランプ米大統領は14日、自身のSNSサイト「トゥルース・ソーシャル」に「中国が意図的に米国の大豆を購入せず、大豆農家に困難をもたらしている」と指摘。食用油などについて、中国との取引打ち切りを検討していると投稿した。トランプ米大統領は、硬軟織り交ぜて中国と相対してきた。中国の出方次第で対立解消に向けた協議継続の方針を維持するだろう。しかし、現状では米中双方とも軟化の様子は見られない。
米中対立の懸念は、これまで株高をけん引してきた半導体株やハイテク株を揺さぶっている。10月に入りマグニフィセントセブンの株価は上下に振れる不安定な状況にあるが、10日にトランプ米大統領が対中100%追加関税を発表して以降は、アルファベット(GOOGL)以外、軟調地合いにある。AI相場の主役エヌビディア(NVDA)が3.5%安と、同じくAI銘柄のメタ・プラットフォームズ(META)とともに最もさえない状況にある(14日時点)。
今月末のアジア太平洋経済協力会議(APEC)まで米中の駆け引きが続く可能性がある。マグニフィセントセブンも不安定な相場を想定したい。
マグニフィセントセブンと主要指数の変動率:月初来

ブルームバーグのデータを基に作成
利下げ期待が変動拡大の要因に
米FRBの追加利下げ期待は下支えとなる一方で、米国株の不安定化をもたらしている。
パウエルFRB議長は14日、労働市場の下振れリスクと量的引き締め(QT)終了の可能性に言及した。追加利下げの期待が高まり、ブルームバーグのデータでは米10年債利回りが一時4.0%を割り込む場面があった(3.997%)。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは3.46%台へ低下した。
追加利下げの期待と米金利の低下は、米国株を下支えする要因である。しかし、米中対立懸念と交錯することで下支えの圧力がかえって急反発の要因となり、米国株のボラティリティ拡大を促している。短期的には現在の不安定相場の継続を想定し、リスクの許容度に合った売買が求められる局面にある。
米国500のチャート分析
予想レンジの下限:6488
S&P500の変動拡大で、同指数の株価指数CFD「米国500」も10日以降、上下に大きく振れている。
日足チャートでトレンドを確認すると、現在は20日線と50日線を意識する状況にある。目先は、米中対立に関する報道でトレンドが左右されるだろう。日足のMACDが強気地合いの後退を示唆する状況で対立懸念を伝えるヘッドラインが流れる場合は、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
米国500は先週10日の市場で急落した。それを止めた水準が、8月1日の安値と10月9日高値の半値戻し6488だった。この水準を今週17日までの下限と想定したい。6488をトライするサインとして注目したいのが、現在6580レベルで推移している50日線の攻防だ。6600ラインの下方ブレイクは、50日線をトライするサインと捉えたい。
米国500が50日線を完全に下方ブレイクする場合は、サポートラインに転換する兆しが見られる6555の攻防が焦点に浮上しよう。14日の下落を止めた1時間足チャートのフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準6568の下方ブレイクは、6555をトライするサインと捉えたい。6555を下方ブレイクする場合は、予想レンジの下限6488の再トライを意識したい。
サポートライン
・6580:50日線(日足)
・6568:61.8%戻し(1時間足)
・6555:サポートライン(日足)
・6488:予想レンジの下限、半値戻し(日足)
予想レンジの上限:6725
MACDは低下トレンドにあるが、ゼロライン以上の水準を維持している。日足の一目遅行線はローソク足を上抜けている。昨日の市場では長い下ヒゲ(日足ローソク足)で急反発した状況も考えるならば、米国500は強気相場を維持している。
米中懸念の後退と利下げ期待で米国500が上値を目指す局面では、現在6672レベルで推移している20日線の攻防に注目したい。米国500が20日線を突破すれば、6700のトライを意識したい。この水準は先週10日の高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%戻しにあたる(1時間足を参照)。このラインを上方ブレイクすれば、レジスタンスラインに転換する可能性がある6725のトライを意識したい。この水準を今週(17日まで)の上限と想定したい。
このレポートでは1時間足を採用しているが、分足や時間足のストキャスティクスとRSIで相場の過熱感を確認しながら、今回取り上げたチャート水準をトライする局面でこれらの指標が「買われ過ぎ」または「売られ過ぎ」の水準にある時は、反落・反発を想定したい。
レジスタンスライン
・6725:予想レンジの上限(1時間足)
・6700:76.4%戻し(1時間足)
・6672:20日線(日足)
米国500の日足チャート:2025年4月以降

TradingView提供のチャート
米国500の1時間足チャート:10月9日以降

TradingView提供のチャート
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