米国株見通し(11/14):AI相場失速、米利下げに不透明感、二重苦のS&Pとナスダック続落警戒
本日の米国株見通し。AI相場失速と利下げ不透明感の二重苦に直面するS&P500とナスダック。株価指数CFDの米国500と米国テク株100は下値水準の見極めが焦点に。
要点
- 13日の米主要3指数は約1か月ぶりの大幅下落となった。月初来でエヌビディアは7.7%安、パランティア14%安、オラクル17%安と、AI関連株の失速が鮮明に
- 複数の米連銀総裁が利下げに慎重姿勢を示し12月利下げの不透明感が強まっている。VXN(ナスダック100ボラティリティ指数)は30ポイント視野に上昇傾向にあり、AI過熱相場への警戒が続いている
- 下落相場が続く場合、米国500(S&P500 CFD)は50日線、米国テク株100(ナスダック100 CFD)は日足一目雲上限の維持が焦点となろう
主要3指数 約1か月ぶり大幅下落
13日の米株式市場で主要3指数が下落した。ナスダック総合指数と100指数は2%超下落した。連日で最高値を更新していたダウ平均は、一時800ドル安の場面が見られた。この日の主要3指数の日次下落率は、10月10日以来の大きさとなった。
米主要3指数 日次変動率:2025年10月以降
ブルームバーグの価格データで作成
ブルームバーグの価格データで作成
不透明感強まる米利下げ見通し
米利下げ見通しの不透明感が強まっている。13日は各米連銀のトップから、利下げ判断で慎重姿勢が重要とのコメントが相次いだ。2025年の投票権を持つセントルイス連銀のムサレム総裁は講演で、追加利下げを実施する余地は限られているとの見方を改めて示した。
投票権を持たないが、米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はダブリンで開かれたイベントで、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを判断するには時期尚早と述べた。クリーブランド連銀のハマック総裁は、インフレ抑制のために政策金利を据え置くべきとの考えを示した。
OIS市場では12月利下げの確率が急速に後退している。本日12時時点では50%前後にあり、次回利下げが来年1月のFOMCに後ずれするとの観測が高まる状況にある。雇用不安が意識される状況下でも米債市場では、10年債利回りが4.1%付近で高止まりしている。
米政策金利と利下げの予想推移
ブルームバーグのデータで作成 / OIS市場の確率 / 11月14日 午後12時時点
AI銘柄の過熱相場と利下げ見通しの不透明感という二重苦に直面している状況は、投資家の警戒心を高めている。VIX(S&P500のボラティリティ指数)は警戒水準の20を再び上回る状況にある。
VXN(ナスダック100ボラティリティ指数)は先月下旬以降、30ポイントを視野に上昇する局面が見られる。割高懸念に直面するAI銘柄の下落リスクを警戒する動きと捉えることができる。
VXN指数の日足チャート:2025年3月以降
ブルームバーグのデータで作成
米国500のチャート分析
50日線の維持
米国500のトレンドを日足チャートで確認すると、昨日のローソク足チャートは大陰線となった。MACDとRSIのトレンドは、米国500の上値の重さを示唆している(日足チャート、黒矢印を参照)。一目の遅行スパンはかろうじてローソク足の上にある。しかし、本日も下落相場となれば、ローソク足を下抜けし弱気サインが点灯する状況を想定したい。
12日のIG米国レポートでは、米国500の50日線の維持が下値の焦点と述べた。上述のテクニカル指標の動きを考えるならば、本日はこの移動平均線の攻防を想定したい。昨日の下落を止めた一目基準線を下方ブレイクする場合は、50日線(6700レベル)をトライするサインとなろう。
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50日線の下方ブレイクは、トレンドチャネル下限のブレイクを意味する。このケースでは、8月安値と10月高値のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準6650を視野に瞬間的な下落拡大を警戒したい。この水準は、7日の下落相場を止めた経緯がある。
一方、反発の局面では6760レベルで推移している25日線の攻防に注目したい。このラインは、10月上旬にレジスタンスとして相場の上値を止めた経緯がある。25日線がレジスタンス転換となれば、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。一方、25日線の突破に成功する場合は、6800ラインの攻防を意識したい。
注目のチャート水準
・6800:レジスタンスライン
・6760:25日線
・6735:一目基準線
・6700:50日線
・6650:38.2%戻し
米国500の日足チャート:2025年7月以降
TradingView提供のチャート
米国テク株100のチャート分析
24600レベルの維持
米国テク株100は、昨日の大陰線で50日線を下方ブレイクした。今日の東京時間に調整の買い戻しが見られるが、50日線がレジスタンスラインとして意識されている。
米国500と同じく、日足のMACDとRSIは米国テク株100が軟調地合いにあることを示唆している(日足チャート、黒矢印を参照)。AI相場が失速している状況を考えるならば、米国テク株100の続落を警戒したい。
米国テク株100は変動拡大の傾向にある。フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準24850を下方ブレイクする場合は、7日の下落相場を止めた日足の一目雲の上限24600レベルをトライする展開を想定したい。9月2日の安値を基点とした半値戻しの水準24617レベルも重なる。
また、直下の24517は10月10日の安値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準である。重要テクニカルラインが密集する24600レベルを今日の下限と想定したい。
米国テク株100の反発局面では、日足基準線のトライが焦点となろう。50日線を突破する場合は、基準線のトライを意識したい。
20日線がレジスタンスラインに転換する兆しが見られる。前述のMACDとRSIのトレンドも考えるならば、本日は基準線が推移している25250までの反発が限界か。なお、このラインは10月24日に突破されるまで、レジスタンスラインとして意識された経緯がある。
注目のチャート水準
・25250:一目基準線
・25057:50日線
・24850:61.8%戻し
・24617:半値戻し
・24600:一目雲の上限
・24517:76.4%戻し
米国テク株100の日足チャート:2025年9月以降
TradingView提供のチャート
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