米国株見通し(6/25):中東不安後退、ナスダック100が最高値更新、高まる米利下げ期待
中東不安が後退し24日の米国株は上昇した。ナスダック100は2月以来の最高値更新となった。米FRBの利下げ期待がじわりと高まっている。ナスダック100の株価指数CFD「米国テク株100」は新たな上値の水準を見極める状況にある。今日の見通しについてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・イスラエルとイランの停戦合意で24日の米株価指数は上昇した
・ナスダック100は最高値を更新、新たな高値水準を目指すムードにある
・FRB高官の発言で市場が抱く米利下げ期待がじわりと高まっている
・米国テク株100、今日の予想レンジは22,000-22,327ポイント
ナスダック100が最高値を更新、中東不安の後退で
トランプ米大統領は23日、イスラエルとイランの停戦合意を発表した。24日の米株価指数は中東不安の後退を好感し全面高となった。
注目はナスダック100指数である。前日比1.5%高の22,190.52ポイントと、終値ベースで今年2月19日以来の最高値更新となった。
ナスダック100のチャート:日足 2月以降

出所:TradingView
ボラティリティ指数の低下が示唆するリスク選好の根強さ
S&P500種株価指数を対象とするオプション取引の変動率を元に算出され、恐怖指数としても知られるVIXは24日、17ポイントまで低下した。ナスダック100が対象のVXNも20ポイントの水準を下回った。
イスラエルは日本時間の24日午後、イランが2回のミサイルを発射し停戦を違反したと主張し、イランの首都テヘラン近郊の軍事レーダーを攻撃した。イランはイスラエルの主張を否定するなど停戦合意がいつまで続くかは不透明である。それでもボラティリティ指数は20ポイントを下回る水準にある。6月13日にイスラエルがイラン攻撃に踏み切って以降、ボラティリティ指数の上昇幅が限定的だった状況も考えるならば、投資家のリスク選好姿勢は根強い。
VIXとVXNのチャート:日足 年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成
じわり高まる米FRBの利下げ期待、年3回を織り込み始める市場
今後、米国株を下支えする要因として注目したいのが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ姿勢である。パウエルFRB議長は24日、下院金融サービス委員会で半期に一度の議会証言に臨んだ。トランプ関税がインフレに与える影響を見極める必要性から早期の利下げに慎重な姿勢を示した。先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見内容を踏襲した。
一方、早期利下げの可能性に言及したのが、ウォラー理事とボウマン副議長(金融監督担当)である。ウォラー氏は20日、CNBCのインタビューで足元のインフレが落ち着いていること、そして関税による価格ショックが短期で終息するとの見通しを示し、7月利下げの可能性に言及した。また、ボウマン氏は23日、労働市場のリスクについて言及し、インフレが抑制される場合、早ければ次回の会合で利下げを支持すると述べた。
ウォラー発言に米債市場と短期金融市場の反応は限定的だった。しかしボウマン氏も7月の利下げに前向きな姿勢を示したことで、米10年債利回りは4.3%を割り込む局面が見られた。ブルームバーグのデータによれば、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは、5月8日以来となる3.8%割れの状況にある。
一方、短期金融市場では今年12月の政策金利の予想水準が3.7%台まで低下し、年3回の利下げを織り込み始めている。FOMCが開かれた1週間前の水準と比べ利下げ期待がじわりと高まる状況もまた、米国株の下支え要因として注目したい。
米FRB 政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 6月25日の予想水準:25日午前8時時点
米国テク株100の見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:22,327
ナスダック100は昨日、21日線でサポートされ終値ベースで最高値を更新した。強気地合いを示唆する動きである。
注目は、S&P500のセクター別パフォーマンスである。イスラエルがイラン攻撃に踏み切った先週13日以降、エネルギーセクターに買いが集中する状況が続いてきた。しかしトランプ米政権の仲介で両国の停戦合意が発表されて以降、半導体大手のエヌビディア(NVDA)やAI事業に巨額の資金を投入しているマイクロソフト(MSFT)が属する情報技術セクターに買い戻しが入る状況にある。電気自動車大手のテスラ(TSLA)やアマゾン・ドットコム(AMZN)が属する一般消費財セクターもS&P500の上昇を上回っている。上述した米利下げ期待の高まりは、これら主力のハイテク株を下支えすることが予想される。
S&P500のセクター別パフォーマンス:6月13日以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ナスダック100指数が原資産の株価指数CFD「米国テク株100」もまた、2月の取引時間中に付けた最高値22,240ポイントが視野に入る。本日、このラインを突破すれば、フィボナッチ・エクステンション100%の水準22,327ポイントを視野に上昇幅の拡大を予想する。この水準を今日の予想レンジの上限と想定したい。
投資家のリスク選好姿勢は根強い。予想レンジの上限を突破する場合は、22,400ポイントを視野に上昇幅の拡大を予想する。
レジスタンスライン
・22,400:レジスタンスライン
・22,327:予想レンジの上限、フィボナッチ・エクステンション100%(4時間足)
・22,240:2月18日の取引中の高値(4時間足)
予想レンジの下限:22,000
米国テク株100の4時間チャートでは、RSI (相対力指数)とストキャスティクスがともに「買われ過ぎ」の水準へ到達している(4時間足チャート、赤矢印を参照)。最高値圏の攻防にあることも考えるならば、利益確定の売りが入りやすい状況にある。そのきっかけとなり得るのが、中東リスクの再燃である。だが上述したとおり、投資家のリスク選好姿勢は根強い。米国テク株100が下落しても、その幅は限定的となることが予想される。
今日の予想レンジの下限は22,000ポイント。目先は、サポートラインへの転換が期待される22,160ポイントの攻防に注目したい。この水準で相場が反発する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けるだろう。
6月11日の高値水準22,070ポイントもサポート転換の可能性がある。このラインの下方ブレイクは、予想レンジの下限22,000ポイントをトライするサインと捉えたい。
サポートライン
・22,160:サポート転換の可能性あり(4時間足)
・22,070:6月11日の高値水準(4時間足)
・22,000:予想レンジの下限(4時間足)
ナスダック100のチャート
【再掲】日足:今年2月以降

出所:TradingView
米国テク株100のチャート
1時間足:5月28日以降

出所:IGチャート
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