米国株 週間見通し(10/13 週):AI相場に暗雲も米中関係は流動的、ナスダックは変動拡大を警戒
米中貿易摩擦に再燃の兆し。AI相場に暗雲が漂うも週明けの米株先物は上昇でスタート。今週のナスダックは変動拡大を警戒。株価指数CFD「米国テク株100」の週間見通しと注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが解説。

要点
トランプ米大統領の対中追加関税100%表明を受け、10日のナスダックは3%超急落。半導体株の売りが相場をけん引し、AI相場に暗雲が漂った。週明けは貿易協議継続の期待感で米株先物が反発するも情勢は流動的。今後の報道次第で市場心理が大きく左右されるだろう。ナスダック100のボラティリティが拡大する場合は、株価指数CFD「米国テク株100」の取引機会を提供するだろう。週間予想レンジは23500~25000。
トランプ関税砲再び、ナスダック3%超す下落
トランプ米大統領は10日、中国のレアアース(希土類)の輸出規制を強化したことによる対抗措置として、11月1日から中国からの輸入品に対し100%の追加関税を課すと表明した。また、同じく11月1日に中国への重要ソフトウエアの輸出制限を発動するとした。米中貿易摩擦の懸念が再燃したことを受け、10日の米株式市場では主要3指数が軒並み下落した。
注目はナスダックである。総合指数と100指数の下落率はともに3%を超えた。日足ローソク足は大陰線で25日線を一気に下方ブレイク。株高に急ブレーキがかかった。次のテクニカルライン50日線(総合指数:21947.96 / 100指数:23976.04)も下方ブレイクする場合は、さらなる下落拡大を警戒する必要があろう。
米主要指数の変動率:10月10日

ブルームバーグのデータを基に作成
ナスダック急落の主因となったのが、主力半導体株の売りだった。SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は6.3%安となり、エヌビディア(NVDA)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が属するS&P情報技術セクターの下落をけん引した(同セクターは4%安)。
ブルームバーグによれば、今回の輸出規制強化で中国は、自国産レアアースを微量でも含む素材の輸出に政府承認を義務付け、特定の半導体部品や軍事用途を含むAI研究用部品も対象に含めたという。規制対象の重希土類(ジスプロシウム、テルビウム等)は、半導体製造装置の精密モーター用磁石に使用される。半導体装置メーカーに数週間の出荷遅延が発生すれば、半導体の製造と供給の懸念が高まる可能性がある。
10日の半導体株の売りは、供給リスクを警戒した動きと考えることができる。今後の米中貿易関連の報道で対立懸念が高まる場合は、AI関連株の調整売りを警戒したい。
各指数と主力半導体の変動率:10月10日

ブルームバーグのデータを基に作成
AI相場に暗雲も週明け米株先物は上昇、ナスダックは変動拡大を警戒
投資家心理を表すVIXは10日の市場で21.66、VXNは25.23と急上昇した。上述の半導体株の売りも考えるならば、これまで株高をけん引してきた「AI相場」が崩れる可能性を意識した動きと言える。
VIXとVXNの日足チャート:2025年3月以降

ブルームバーグのデータを基に作成
しかし、週明け13日の米株先物指数は上昇でスタートした。ナスダック100を原資産とする株価指数CFD「米国テク株100」は、10日終値24012から500ポイント近く上の水準24500レベルでスタートした。
ブルームバーグは、トランプ米政権が中国との貿易協議に前向きな姿勢を示したことで、米株先物が上昇したと報じている。10日から週明けにかけての動きは、米中関連の報道で市場心理が左右されやすい状況にあることを示唆している。今週のナスダックはボラティリティの拡大を警戒したい。
米国テク株100の5分足チャート

出所:IGチャート
米国テク株100のテクニカル分析
予想レンジの上限:25000
週明けの米株先物指数は上昇でスタートした。ナスダック100の株価指数CFD「米国テク株100」は、10日終値から500ポイント近く上の水準24500レベルでスタートした。今日以降の報道で米中対立が一過性との観測が高まれば、15分足チャートにまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
レポート掲載時点で米国テク株100は、10日の高値と安値の半値戻し24590レベルをトライする状況にある。すぐ上の水準には25日線(24625レベル)が推移している。まずはこの移動平均線の突破を確認したい。
米国テク株100が25日線を完全に突破すれば、61.8%戻しと76.4%戻しの攻防を想定したい。後者の76.4%戻し24913レベルを突破する場合は、節目の25000ラインの再トライが視野に入ろう。この水準を今週の上限と想定したい。
米中対立懸念の後退で米国テク株100が25000の水準を完全に突破する場合は、先週の高値25200のトライが視野に入ろう。
レジスタンスライン
・25200:10月10日の高値水準
・25000:週間予想レンジの上限
・24913:76.4%戻し
・24735:61.8%戻し
・24625:25日線
予想レンジの下限:23500
10日の大陰線で米国テク株100は50日線を一気に下方ブレイクした。日足のMACDはデッドクロスへ転じている。米中対立の懸念で市場心理が悪化する局面では、以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
最初の焦点は、50日線(24115レベル)の再トライと10日安値23980レベルの攻防に注目したい。後者のサポート水準を下方ブレイクする場合は75日線(23857)、および9月2日の安値と10月9日高値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準23827のトライを意識したい。これらテクニカルラインのトライは、23800の維持を見極める攻防となろう。
一方、米国テク株100が23800ラインを下方ブレイクする場合は、調整売りの加速を警戒したい。この場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準23500レベルをトライする可能性が出てくる。米中協議の行方は流動的である。ボラティリティの拡大を想定し、このテクニカルラインを今週の下限と想定したい。
サポートライン
・24115:50日線
・23980:10月10日安値
・23857:75日線
・23827:61.8%戻し
・23500:76.4%戻し、週間予想レンジの下限
米国テク株100の15分チャート

TradingView提供のチャート
米国テク株100の日足チャート:2025年9月以降

TradingView提供のチャート
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