原油価格、再上昇の可能性 WTIは65ドル台 OPECプラス増産見通し
WTI(翌月渡し)は65ドル台での推移が継続。OPECプラスは6日に4か月連続での増産を決めそうだ。一方、需要の強さなどの値上がり要因も消えていない。

原油価格の水平飛行が続いている。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間2日の取引で1バレル=65ドル台で推移。イスラエルとイランの交戦による中東情勢緊迫で到達した78ドル台からの安値水準が保たれている。供給面ではOPECプラス内の8か国が6日に4か月連続での増産を決めるとの方向性が報じられており、原油価格に下押し圧力をかけている。ただ、原油市場では夏に向けた需要の強さも感じられ、原油価格を上昇させる要因が消えたわけではない。中東情勢が再び緊迫する可能性もくすぶる中、改めて値上がり圧力が増す事態も想定されそうだ。
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WTIは65ドル台で推移 停戦合意後は小幅な値動きが続く
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間2日午前11時54分時段階で1バレル=65.50ドルで取引されている。ブルームバーグによると、WTIはアメリカによるイランの核施設攻撃を受けた6月23日には78.40ドルまで上昇。しかしその後は、イスラエルとイランの停戦合意発表を受け、24日には64.00ドルまで急落した。WTIは25日から7月1日にかけては、ニューヨーク市場の終値ベースで前日比0.63%安から0.85%高の範囲での値動きが続いており、小康状態となっている。

OPECプラス8か国は8月も日量41万バレル増産か ロシアも前向き
また原油市場では、サウジアラビアやロシアなどのOPECプラス内の8か国が増産を続けるとの見通しも、価格下落要因として働いている。ブルームバーグは6月28日、複数の関係者の話として、8か国は7月6日に開く会合で8月の生産量について協議し、前月比で日量41万バレル程度の上積みを検討するとの方向性を報じた。
OPECプラスは4月から、前月比で日量13.6万バレルの増産を2026年9月まで毎月続ける計画に着手。しかし実際には5月、6月、7月の生産量については、日量41万バレル程度の上積みを繰り返してきた。ブルームバーグの報道通りなら、8月も直近3か月の増産ペースが守られることになり、原油供給の増加が今後も続いていくとの見方が強まりそうだ。ブルームバーグは、7月の増産に反対したロシアも8月の増産には前向きだとしている。

アメリカの原油需要に強さ 原油在庫の予想を超える取り崩しが続く
一方、原油市場では需要の強さが値上がり材料となっている。米エネルギー情報局(EIA)が25日に発表した20日時点での原油在庫量(戦略備蓄除く)は1週間前比で583.6万バレルの減少。ブルームバーグがまとめた市場予想の110.0万バレル減を超える在庫の取り崩しだった。市場予想を超える在庫の減少は5週連続で、夏のドライブシーズンの需要の強さを感じさせる。EIAが7月2日午前10時30分(日本時間2日午後11時30分)に発表する6月27日時点の在庫量については310.7万バレルの減少が予想されており、実際のデータで需要の強さが確認されれば、WTIが上昇することも考えられる。

イランと米国の核協議再開は見通しがつかず 原油価格の上昇要因に
また中東情勢をめぐっては改めて緊張感が高まるおそれもある。国営イラン通信(IRNA)によると、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領の報道官は1日の週次定例会見で、米国との核協議について日程は決まっていないとし、すぐに始まることはないだろうと言及。イスラエルによる攻撃でイランの核施設に深刻な被害が出たとしつつも、イラン国民は敵国によって国家が崩壊させられることを認めることはないとした。
米国のドナルド・トランプ大統領は6月28日に放送されたFOXニュースでのインタビューで、イランが平和的な態度をとるのであれば、イランに対する制裁を解除する考えも示唆しているが、協議実現の難しさが原油価格の上昇要因として意識されることも想定されそうだ。
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