原油価格、反発の兆し WTI一時66ドル台 OPECプラス生産維持か
WTI(翌月渡し)は2日に1か月ぶりの大きな上昇。ロシア産原油をめぐる思惑に加え、OPECプラスの増産見送りでも値上がり圧力が増す可能性がある。

原油価格に反発の兆しが出てきた。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は2日のニューヨーク市場の終値で前日比2.47%高となり、7月下旬以来、約1か月ぶりの大きな上昇率を記録。一時、1バレル=66ドル台をつける場面もあった。原油価格の上昇は、ウクライナによるロシアの石油施設への攻撃が伝わったことが要因のひとつ。また、アメリカのドナルド・トランプ大統領はロシア産原油を輸入しているとされるインドへの強硬姿勢を維持しており、ロシア産原油が市場から締め出される状態が続くとの見方が原油価格を押し上げている。需要面でも米国の原油在庫の下振れが続き、需要の強さが原油価格の上昇材料となっていそうだ。原油価格の今後の見通しにとっては、サウジアラビアやロシアなどのOPECプラス8か国が7日に開く会合が焦点。市場関係者の間では10月の原油生産量は現状のままで維持されるとの見方が強いといい、予想通りの結果が出れば、原油先物市場での値上がり圧力が増すことも考えられる。
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WTIは2日に一時、66.03ドル 8月上旬以来の1か月ぶり高値
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間3日午後3時41分段階では1バレル=65.38ドルで取引されている。ブルームバーグによると、前日のニューヨーク市場の終値は65.59ドルで、伸び率(前日比2.47%高)は7月29日(3.75%高)以来の大きさだった。2日の取引時間中には66.03ドルをつけ、8月6日(66.75ドル)以来の高値を記録している。WTIは8月上旬以降、61ドル台から65ドル台での推移が続いてきたが、上放れする可能性が感じられる。

トランプ氏はインドに強硬姿勢 ロシアへの経済制裁緩和の期待は遠のく
2日の原油価格の値上がりは米国の3連休中に、ウクライナがロシアの石油精製施設に対するドローン攻撃を行ったと報じられたことが要因のひとつ。また、ロシアとウクライナの和平協議の仲介を試みてきたトランプ氏は8月27日、インドからの輸入品にかける関税を50%に引き上げた。9月1日には自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、インドが今になって米国製品への関税をゼロにすると申し出てきたとしつつ、「(インドの対応は)遅かった。何年も前にそうすべきだった」と突き放している。
一方、インドのナレンドラ・モディ首相は中国の天津で1日まで開かれていた上海協力機構の首脳会議に出席。中国の習近平国家主席やロシアのウラジミール・プーチン大統領と会談した。インドの中国やロシアへの接近は、米国と、中国やロシア、インドとの間の溝の深さを感じさせ、トランプ氏が仲介役となってロシアとウクライナの和平が実現し、米国が経済制裁でロシア産原油を市場から締め出す状態が解消されるとの期待は遠のいた。
米国の原油在庫量の取り崩しが進行 需要の強さが原油価格上昇要因に
一方、原油先物市場では需要面からも上昇圧力がかかっている。米エネルギー情報局(EIA)が8月27日に発表した22日時点の原油在庫量(戦略備蓄除く)は1週間前比で239.2万バレルの減少で、ブルームバーグがまとめた市場予想の200.0万バレル減少を超える在庫の取り崩しだった。米国の原油在庫量は2週連続で市場予想を超える減少となり、需要の強さを意識させている。27日の原油先物市場ではWTIが前日比1.42%高となっている。EIAは29日時点の原油在庫量を9月4日午前10時30分(日本時間4日午後11時30分)に発表する。

OPECプラスは10月の生産量を維持するとの予想が優勢 原油価格に上昇圧力も
さらに原油価格をめぐっては、サウジやロシアなどを含むOPECプラスの8か国の増産がストップするとの見方が強まっている。ブルームバーグは1日、8か国が7日に開く会合についてトレーダーやアナリストに対して行ったアンケート調査の結果を報道。17人が10月の生産量が維持されると回答したのに対して、小幅な増産が決まるとの回答は6人に留まったとしている。
8か国は8月3日に9月の生産量を前月比で日量54.7万バレル引き上げることを決定。4月以降の増産量は合計246.4万バレルとなり、2024年12月5日に発表した段階的増産計画の上限に1年前倒しで到達している。
これまでの段階的増産計画は2023年11月に発表した日量220万バレルの減産を解消するとともに、アラブ首長国連邦(UAE)については別枠での日量30万バレルの増産を認めるとする枠組みで行われていた。一方、OPECプラスは2023年4月に発表した日量116万バレルの減産と、ロシアがこれに先立つ2月に発表した日量50万バレルの減産を合わせた、合計日量166万バレルの減産については2026年12月末まで維持することを決めている。8か国が7日の会合でこの日量166万バレルの減産の解消に手をつけなければ、原油価格に上昇圧力がかかりそうだ。
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