原油価格、転落 WTIが59ドル台に OPECプラス増産再加速か
原油価格は再び下落が加速。WTIは2週間半ぶりに59ドル台をつけた。OPECプラスやトランプ政権の増産志向が材料視されている。

原油価格の下落が続いている。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間30日の取引で1バレル=59ドル台で推移。約2週間半ぶりの安値水準となっている。産油国で作るOPECプラスが増産ペースを再び加速させるとの見方が広がっているためで、アメリカのドナルド・トランプ大統領の経済政策が世界経済の逆風になるとの見通しと合わせて、原油価格の下落要因となっている。一方、米国の原油在庫量は需要の底堅さを示しており、足元では価格下落要因にはなっていない。ただ、トランプ政権は物価上昇抑制を目指して原油価格を引き下げるとの立場を強調しており、WTIの今後の見通しをめぐっては、供給面からの下落圧力の強さが意識されそうだ。
WTIは1バレル=59.53ドルまで下落 2週間半ぶりの安値に
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間30日午後2時30分ごろに1バレル=59.53ドルをつけた。ブルームバーグによると11日(59.43ドル)以来の安値水準だ。WTIは22日には65.09ドルをつける場面もあったが、5営業日あまりで8%超の値下がりを記録したことになる。

OPECプラスは6月も増産量を引き上げか 原油価格に下落圧力
このところの原油市場で価格下落要因として意識されているのは、OPECプラスによる増産加速だ。ロイター通信は24日、4月から2026年9月にかけての段階的増産を進めているOPECプラス加盟国中の8か国が、6月の生産量の引き上げを検討していると報じた。8か国は3日、5月の生産量について計画以上の水準を示したばかりだが、5月5日に行われる8か国による会合で再度のペースアップを検討するという。8か国中、カザフスタンやイラクが割り当て量以上の原油生産を目指す一方、ロシアなどは原油価格下落の可能性を懸念してるという。
原油価格は4月2日にトランプ氏が相互関税を発表した後、世界経済の見通し不透明感が経済活動や原油需要の低下につながるとの見方が広がり、発表前の1バレル=70ドル台から大きく下落していた。ブルームバーグによると、9日の安値(55.12ドル)は2021年2月3日(54.81ドル)以来、4年2か月ぶりの安さだった。これに加えて、OPECプラスがさらに増産を進めることが決まれば、原油価格には改めて下落圧力がかかりそうだ。
米国の原油在庫は需要の底堅さ示す 30日発表分は在庫量減少の見通し
一方、足元の原油在庫の動向からは原油需要の弱まりは感じられていない。米エネルギー情報局(EIA)が23日に発表した18日時点での在庫量(戦略備蓄除く)は1週間前比で24.4万バレル増。ブルームバーグがまとめた市場予想の115万バレル増を下回った。在庫量の積み上がりが想定を下回ったことは、原油需要の根強さを示す結果だ。EIAが30日午前10時30分(日本時間30日午後11時30分)に発表する25日時点での在庫量をめぐっては、1週間前比で57.9万バレル減になると予想されている。

トランプ政権は原油価格の低下を目指す 米国内での増産支援は価格下落要因に
しかし原油需要が底堅さを示したとしても、供給面からの原油価格への下落圧力は続く。米国のクリストファー・ライト・エネルギー長官は25日、ブルームバーグテレビでのインタビューで高い原油価格は企業活動の足かせとなり、物価高にもつながっていると指摘。トランプ政権は米国内の原油生産を増やすとこで原油価格に下落圧力をかけることができるとし、「生産を後押しするためにできることは何でもやる」と述べた。
原油価格の下落はエネルギー産業にとっては業績を下押しする要因で、ライト氏も「一部の米国のエネルギー企業にとっては1バレル=50ドルの水準は持続可能ではないかもしれない」と述べている。ただ、ライト氏は原油価格の低下を目指しつつ、規制緩和によるエネルギー産業の支援を進めるとの立場を強調しており、WTIの今後の見通しをめぐっては、下落圧力が続いていくことが考えられそうだ。
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