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ドル円見通し:ドル安一服なら160円視野も、ウォーシュFRB議長何を語る?

今週のドル円見通し。根強い円安が米ドル安の影響を相殺し、ドル円は158円台で底堅さを維持している。焦点は、7月PCE価格指数とジャクソンホール会議でのウォーシュ講演。米ドル安一服なら160円トライ&ブレイクも。下値の焦点は158円の維持となろう。

USDJPY Source:Bloomberg

Written by

石川 順一

石川 順一

シニアマーケットアナリスト/Senior Market Analyst

作成日

要点

  • 8月に入りドル指数は最大3%下落するも、ドル円は158円台で底堅さを維持している。根強い円安圧力が米ドル安の影響を相殺している
  • 今週の注目材料は、7月米PCE価格指数とジャクソンホール会議となろう。28日にウォーシュFRB議長が基調講演を行う。発言内容次第で米金利と米ドルの変動要因となろう
  • 今週のドル円は158~160円を中心レンジと想定し、上限160円を突破すれば161.00円が視野に入る。しかし同時に為替介入を意識した突発的な円高も警戒したい。下方ブレイクなら1円幅で下値の攻防を見極める展開となろう。目先の下限は155.0円を想定

米ドル安を相殺する根強い円安

今週のドル円(USD/JPY)は158~160円を中心レンジと想定し、上限と下限どちらをトライ、そしてブレイクするかが焦点となろう。

注目材料は、26日の7月米PCE価格指数とジャクソンホール会議(27日~29日)だ。これら重要イベントで今週の米ドルがどのような反応を示すかが、ドル円のトレンドを左右しよう。

7月の雇用統計や物価指数(CPI・PPI)を受け、早期の米利上げ観測が後退している。金融政策の方向性を織り込んで動く米2年債利回りは、4.3%台から一時4.1%割れの場面が見られた。この動きに連動し、米ドルの方向性を示すドル指数(DXY)は7月28日の高値101.64レベルから一時98.55レベルまで、最大で3%下落する場面が見られた。

また先週20日、米財務省が10年~30年の長期国債の買い入れ消却(バイバック)について、9月9日から1回あたりの上限を少なくとも2倍へ引き上げると発表した。需給の引き締まり観測を受け、米長期金利の低下と米ドル売りを促す材料となった。

ドル指数のチャート:日足 2026年1月以降

ドル指数のチャート:日足 2026年1月以降 TradingView提供のチャート

米ドル安の局面でもドル円は158円台で底堅さを維持し、心理的節目の水準160円をうかがう状況にある。なぜか?疑問の答えは円安にある。

8月以降の日本円のパフォーマンスを確認すると、すべてのG10通貨(主要通貨)に対して全面安の状況にある。7月30日の政府・日銀による円買い介入、31日の28年ぶりとなる日米協調による円買い介入、そして先述の米財務省による長期国債の買い入れ消却(バイバック)増額-ドル円を押し下げる材料がこれだけ揃いながら、ドル円は現在159円前後で高止まりしている。“人為的な操作”では、市場の圧力に抗しきれないという現実を突きつけていると言える。

円相場のパフォーマンス:8月3日~21日

円相場のパフォーマンス:8月3日~21日 ブルームバーグの価格データで作成

焦点はPCE価格指数とジャクソンホール会議

26日に7月米PCE価格指数が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、トレンドを示す前年同月比でインフレが抑制される見通しだ。一方、前月比ではインフレの伸びが見込まれている。

8月に入り早期の利上げ期待が急速に後退し、外為市場では米ドル安が進行してきた。別の見方をすれば、8月の米ドル安は利上げ観測の後退をある程度織り込んだ動きと捉えることもできる。ゆえに、FRBが物価指数として注視するPCE価格指数がインフレの粘着性を示す場合は、米ドルの買い戻し要因になり得る。

一方、PCE価格指数でインフレ抑制が示される場合は、米ドル安の要因になり得る。だが前述の通り、8月に入り相当米ドル安が進んでいるため、その影響は限定的となる可能性があろう。

米PCE価格指数の動向:過去1年間と7月の市場予想

米PCE価格指数の動向:過去1年間と7月の市場予想 ブルームバーグのデータで作成

27~29日の日程で米カンザスシティ連銀が毎年8月に開催する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開かれる。

日本時間28日午後11時にウォーシュFRB議長が基調講演を行う。9月15日~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、市場参加者は利上げ時期のヒントを探る構えだ。ただしウォーシュ氏は、フォワードガイダンスに否定的な姿勢を貫き、議長就任後は声明からフォワードガイダンスの文言を削除した。インフレや雇用に具体的に言及するかどうかは不透明だ。

注意したいのは、早期利上げ観測の後退がある程度織り込まれている状況でインフレリスクに言及する場合だ。明確な利上げの方向性が示されないまでも、少ないヒントからインフレリスクを警戒していることを市場がかぎ取れば、米ドルの買い戻し要因となる。

ドル円の週間見通しとテクニカル分析

再び円安優勢にある中、今週米ドルの買い戻しが重なれば、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。

注目すべきは、心理的節目の水準160.00円の攻防だ。2つのフィボナッチ・リトレースメントが重なる159.50円レベルの突破は、160.00円をトライするサインとなろう。

ドル円が160円台の攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準160.50円、7月31日の高値水準(全戻し)160.88円レベルの攻防を注視したい。

後者の水準(160.88円レベル)を突破すれば、次の節目161.00円が視野に入る。すぐ下に50日線が推移している状況を考えるならば、161.00円レベルはレジスタンスラインとして意識されやすい。今週の上限と想定したい。
注目水準:レジスタンス
・161.00円:上限予想、50日移動平均線(160.94円)
・160.88円:7月31日高値(全戻し)
・160.50円:4時間足61.8%戻し(160.49円)
・160.00円:心理的節目
・159.50円:4時間足50%戻し(159.49円)、76.4%戻し(159.55円)

一方、今週も米ドル安が続く場合、ドル(USD/JPY)は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。

最初の焦点は158.00円の維持だ。テクニカル面では200日線の攻防が焦点となろう。

ドル円が158円を完全に下方ブレイクすれば、1円幅での攻防に注目したい。157.00円と156.00円では為替介入の局面で、長い下ヒゲが示現している(日足チャート)。

なお、158.00円レベルがレジスタンスラインとして転換する場合は、ドル円の下振れリスクを警戒したい。このケースでは、目先の重要サポートラインを155.00と想定したい。4月下旬から5月上旬の政府・日銀による為替介入のみならず、7月下旬の日米協調介入でもこの水準を抜けることなく急反発し、日足ローソク足には長い下ヒゲが示現した。8月3日安値155.23円の下方ブレイクは、155.00円トライするサインとなろう。
注目水準:サポート
・158.30円:200日移動平均線(158.32円)
・158.00円:中心レンジの下限
・157.00円/156.00円:節目水準
・155.23円:8月3日安値
・155.00円:重要サポートライン

ドル円チャート:日足 2026年4月以降

ドル円チャート:日足 2026年4月以降 TradingView提供のチャート

ドル円チャート:4時間足 7月下旬以降

ドル円チャート:4時間足 7月下旬以降 TradingView提供のチャート

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