ドル円の週間見通し。今週14〜15日の6月米CPI・PPIが米ドル高調整のカタリストとなるか注目。米ドル安が進行すれば、投機的な円売りポジション解消のトリガーになり得る。週間想定レンジは159〜163円。
7月入り後、米ドル高の勢いが失速している。主要通貨(G10通貨)のほとんどで米ドル安優勢の展開にある。ユーロなど一部の欧州通貨では米ドル高にあるが、上昇は限定的だ。
米ドルのパフォーマンス:7月1日~10日
米ドルの方向性を示すドル指数(DXY)のトレンドを日足チャートで確認すると、6月24日に付けた101.80をピークに反落へ転じている。一時は21日線を下方ブレイクする場面が見られた。サポート転換が確認された100.50を明確に下方ブレイクすれば、米ドル高の調整色が一段と強まろう。
ドル指数 日足チャート:2026年1月以降
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米ドル高が失速した要因は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡る思惑にあると筆者は考えている。
ウォーシュFRB議長は1日、欧州中央銀行(ECB)主催の会合でインフレリスクの低下に言及した。翌2日には、6月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回った。これらを受け、翌日物金利スワップ(OIS)市場では追加利上げ観測が後退した。
しかし、利上げ観測は根強い。10日時点のOIS市場は、9月までにFRBが利上げに踏み切る可能性を9割程度まで織り込む。今後も市場の思惑は揺れるだろう。しかし、年内かつ早期の利上げ観測が完全に後退しない限り、米ドルは調整の反落を挟みつつ、上昇トレンドを維持することが予想される。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ見通し
その米利上げ観測を左右する上で、今週最大のカタリストになり得るのが6月の米インフレ指標だ。14日に消費者物価指数(CPI)、15日に生産者物価指数(PPI)の発表が相次ぐ。
ブルームバーグがまとめた6月CPIの市場予想は、5月から鈍化もしくは横ばいの見通しにある。トレンドを示す前年同月比は、5月の4.2%から3.8%へ鈍化することが見込まれる。一方、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数は、前年同月比で2.9%と5月から横ばいが予想される。
CPIが市場予想を下回れば、一時的にせよ利上げ観測の後退要因になり得る。金融政策の方向性を織り込む米2年債利回りの低下を通じて、2年実質金利の上昇も一服すれば、米ドル安がドル円の上値を抑制する展開が予想される。
米消費者物価指数(CPI)の動向:過去1年間
翌15日のPPIも、米利上げ観測に影響を与える指標として注目したい。ブルームバーグの市場予想は前月比0.0%(前回+1.1%)、前年同月比6.2%(前回6.5%)と鈍化が見込まれる。ただし、前年同月比のコア指数は5.2%(前回4.9%)へ加速する見通しで、川上のインフレ圧力の根強さが示される可能性がある。
CPI・PPIがともに市場予想を下回れば、米ドル安の要因となろう。逆に、いずれも市場予想を上振れる場合は早期の利上げ観測が強まり、米ドル高へ振れる展開を想定したい。
米生産者物価指数(PPI)の動向:過去1年間
今週、ウォーシュFRB議長が就任後初の議会証言(14日に下院、15日に上院)に臨む。インフレ指標と並ぶ米ドルの変動要因として注目したい。
ウォーシュ氏は金融政策の方針を明言しない公算が大きい。よって、物価や景気などに関する発言のトーンで政策の方向性を測ることになる。物価安定への強いコミットや保有資産の圧縮(QT)に前向きな発言が出れば米ドル高の要因になり得る。逆に景気・雇用の下振れリスクやインフレ鈍化の可能性に言及する場合は、米ドル安の要因になり得る。
7月入り後、円は対主要通貨(G10通貨)で強弱まちまちながらも、対米ドルでは円高へ振れている(10日時点、下チャートの赤ライン参照)。前述の米インフレ指標がドル安の要因となれば、今週は調整の円買い戻しを想定したい。
円相場のパフォーマンス:7月1日~10日
そう考える理由が、円売りポジションの偏りにある。米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、非商業部門の円売り越しは一時15万枚を超え、2024年7月以来の高水準まで拡大した。最新(7月7日時点)では約12.3万枚へ減少したものの、なお高水準にある。
円は構造的にキャリー取引の調達通貨として利用されやすいが、ポジションが極端な水準まで傾くと、材料一つで巻き戻し(ショートカバー)が誘発されやすい状況にある。
10日に片山さつき財務相が、GPIFなど年金基金による国内資産への投資を後押しする方針に言及すると、年金マネーの国内回帰観測から円が買い戻された。今週、米ドル安が投機的な円売りポジションの解消を促すトリガーとなれば、ドル円(USD/JPY)はチャート分析セクションでまとめた下値水準の攻防に注目したい。
非商業部門の円ポジション動向:2024年1月以降
ドル円(USD/JPY)のトレンドを日足チャートで確認すると、MACDはデッドクロスに転じ、RSIは買われ過ぎの水準から下降トレンドにある。6月米CPI・PPIがドル安の要因となれば、今週のドル円は下値の攻防を意識したい。
21日線→10日安値161.28円レベル→サポート転換が確認された160.70円レベルと160.60円レベルの順で下値の攻防を注視し、160.60~70円のサポートゾーンを完全に下方ブレイクする場合は、心理的節目の160.00円トライを想定したい。このラインには現在、50日線が上昇している。テクニカル面でもサポートラインとして意識されやすい。
米ドル安と調整の円買いが重なる局面が続く場合は、160.00円を下方ブレイクする可能性がある。このケースでは、日足チャートの半値戻しにあたる159.00円までの下落を想定したい。この水準を今週の下限と予想する。日足のフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻し159.86円の下方ブレイクは、159.00円をトライするサインと捉えたい。
注目水準:サポート
・161.55円:21日線
・161.28円:10日安値
・160.70円:サポート転換の水準(160.72円レベル)
・160.60円:サポートゾーン下限(4時間足)
・160.00円:心理的節目の水準、50日線(159.96円)
・159.86円:38.2%戻し(日足)
・159.00円:下限予想、半値戻し(158.94円)
※移動平均線の水準:7/10時点
一方、ドル円(USD/JPY)が上値を目指す局面では、162.00円の回復が最初の焦点となろう。162円台へ上昇する場合は、7月以降、相場の上昇を止めている162.80円レベルの攻防に注目したい(4時間足、黒矢印を参照)。このラインの突破は、次の節目水準163.00円をトライするサインとなろう。この水準を今週の上限と予想する。
筆者の想定を超える上昇で163.00円を突破する場合は、4時間足のフィボナッチ・エクスパンション100%水準163.80円レベルを視野に上昇拡大を想定したい。しかし、このケースでは政府・日銀による為替介入の警戒レベルが一段と上がる。上昇拡大の局面では、突発的な円高を常に警戒したい。
注目水準:レジスタンス
・163.80円:フィボナッチ・エクスパンション100%(4時間足)
・163.00円:上限予想
・162.80円:レジスタンスポイント
・162.00円:節目水準
ドル円 日足チャート:2026年1月以降
ドル円 4時間足チャート:5月下旬以降
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