ドル円週間見通し:ドル高加速で162円台視野も、“為替介入絡み”の円高警戒
“タカ派”のFOMCを受け年内の米利上げ観測が急浮上し、外為市場で米ドル高が加速している。ドル円は日米2年債利回り格差の拡大に連動し161円台へ上昇。162円台が視野に入る一方、“為替介入絡み”の円高を警戒したい。週間想定レンジは159.00~163.00円。
要点
- “タカ派”のFOMCを受け年内の米利上げ観測が急速に強まっている。外為市場では米ドル高が加速。ドル円は162円台が視野に入る
- 日米2年債利回り格差の拡大に連動しドル円が上昇している状況は、米利上げ観測が強く意識されていることを示唆している。25日の5月米PCE価格指数でインフレ加速が示される場合は、「米ドル高の進行→日米2年債利回り格差拡大」によるドル円の上昇加速を想定したい
- ドル円(USD/JPY)の週間想定レンジは159.00~163.00円。強気相場が基本シナリオだが、“為替介入絡み”の円高を常に警戒する局面にある
米ドル高進行、ドル円は162円台が視野に
外為市場で米ドル高が進行している。きっかけは、2月28日に米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切り、中東の地政学リスクが一気に高まったことだった。中東不安を受けた「有事のドル買い」圧力が強まるなか、米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は3月以降、一貫してドル高トレンドを維持している(下チャート左、緑ライン)。
そしてこの動きを加速させたのが、先週17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だった(下チャート右)。ウォーシュ新体制の下での初会合は“タカ派”と受け止められた。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長はインフレ抑制重視の姿勢を示した。経済見通し(SEP)では、今年のPCEインフレ率(コア)予想中央値が3.3%と、3月時点の2.7%から0.6ポイントも上方にシフトした。一方、フェデラルファンドレート(FFレート)の予想中央値は、3月時点の予想3.4%から3.8%へ上方にシフトし利下げ観測が完全に後退。年内の利上げを想定する状況に急転している。
これら予測の上方修正は、インフレ抑制が至上命題であるというコンセンサスがFOMC内で醸成されていることを物語る。“タカ派”のFOMCを受け、先週は米ドル高が加速。3月以降のパフォーマンスを確認すると、すべての主要通貨(G10通貨)で米ドル高優勢へ転じた(下チャート左を参照)。
米ドルの動向(対G10通貨)
ブルームバーグの為替データで作成
ドル円(USD/JPY)は先週、161円台を維持して終えた。日銀は16日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物レートの誘導目標値を0.75%から1.00%に引き上げた。1995年以来31年ぶりの高さである。一方、片山さつき財務相からは投機的な動きをけん制する発言が聞かれた。
それでもドル円は161.80円台まで上昇した。この状況を踏まえれば、今週も利上げ観測による米ドル高が続く場合、ドル円は2024年7月の高値161.95円を突破し、162.00円台へ上昇する展開が予想される。
ドル円 日足チャート:2026年4月以降
TradingView提供のチャート
米利上げ観測がドル円のドライバーに
強まる米利上げ観測がドル円(USD/JPY)のトレンドを左右していることは、日米金利差との連動が物語っている。
主因は米利上げ観測だ。翌日物金利スワップ(OIS)市場では利下げ観測が徐々に後退し、先週のFOMCを前に早くも年内の利上げを意識する状況へとシフトしていた。そして”タカ派”FOMCを経て、金融政策の方向性に敏感な米2年債利回りは先週、2025年2月以来となる4.2%台へ上昇。日米の2年債利回り格差も拡大し、これに連動してドル円も161円台へと水準を切り上げた。
この連動性は、時間の経過とともに強まっている。中東の地政学リスクが高まった3月以降、ドル円(赤)と日米2年債利回り格差(黒)はそろって上昇に転じた。さらに、利上げの織り込みが鮮明になった5月以降は、両者の相関が一段と強まっている。
一方、ドル円が日米10年債利回り格差と連動していない点も、米利上げ観測が現在のドル円のドライバーであることを裏付ける。10年債利回りは2年債利回りと異なり、金融政策よりもインフレや潜在成長率、リスク要因を反映して動く。その10年債利回り格差(ブルーグレー)は足元で縮小傾向にあり、ドル円の上昇とはむしろ逆方向だ。この乖離こそ、現在のドル円が長期的な経済見通しではなく、米利上げ観測に突き動かされていることを物語っている。
ドル円と日米債利回り格差の動向:2025年10月以降
ブルームバーグのデータで作成
今週25日に5月米個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。同月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)でインフレ加速が示された。FRBがインフレ指標として注視するPCE価格指数でも同じ状況が確認されれば、利上げ観測の高まりが日米金利差を一段と拡大させ、ドル円の161.95円ブレイクと162.00円台乗せを後押しする要因となろう。
米個人消費支出(PCE)価格指数の動向:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:5月の市場予想(6月19日時点)
ドル円のチャート分析、週間想定レンジ159.00~163.00円
今週、米ドル高が加速する場合、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
最大の焦点は、2024年7月の高値161.95円の突破と162.00円台への上昇だ。4時間足チャートのフィボナッチ・エクスパンション100%水準(161.36円)の突破は、先週の高値161.81円レベルをトライするサインとなろう。161.81円の突破は161.95円のトライ、161.95円の突破は162.00円台への攻防シフトのサインとなろう。
162.00円レベルがサポートラインに転換すれば、さらなる上値トライを意識したい。このケースでは、フィボナッチ・エクスパンション161.8%水準(162.51円)の攻防に注目し、突破すれば、次の節目水準163.00円を視野に上昇拡大が予想される。現在の強気地合いとボラティリティの拡大傾向を重視し、今週は163.00円を上限と想定したい。
日足のRSIは69付近にあり買われ過ぎ圏に接近している。政府・日銀による為替介入への警戒感が高まりやすい状況にある。162円台へ上昇する局面では、突然の円高を常に警戒したい。
注目水準:レジスタンス
・163.00円:上限予想
・162.51円:フィボナッチ・エクスパンション161.8%水準
・162.00円:節目水準
・161.95円:2024年7月高値
・161.81円:先週の高値水準
一方、調整の米ドル売り、または円買い戻しの局面では、160円台の維持が焦点となろう。4時間足チャートにまとめたフィボナッチ・リトレースメントを軸に、新たな下値水準を見極めたい。160.00円には現在、21日線が上昇している。現在の160.00円レベルは、心理的節目と移動平均線が重なる重要な水準だ。
為替介入を警戒した円高が発生する場合は、160.00円(21日線)の下方ブレイクを想定したい。このケースでは、サポート転換が焦点となる159.50円レベルの攻防に注目し、この水準も下方ブレイクすれば、159.00円までの瞬間的な急反落を警戒したい。テクニカル面では、50日線の攻防が焦点となろう。159.00円を今週の下限と想定したい。
なお、政府・日銀が為替介入に踏み切る場合は、その規模にもよるが4~5円程度円が急伸する可能性がある。
注目水準:サポート
・160.93円:38.2%戻し
・160.66円:50%戻し
・160.39円:61.8%戻し
・160.00円:心理的節目、21日線
・159.50円:サポート転換の水準
・159.00円:下限予想、50日線(159.08円)
※移動平均線の水準:6月19日時点
【再掲】ドル円 日足チャート:2026年4月以降
TradingView提供のチャート
ドル円 4時間足チャート:5月下旬以降
TradingView提供のチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 外国為替取引業者との主要取引関係数による(Investment Trends UK レバレッジ取引レポート、2024年7月発表)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。