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ドル円見通し:一時157円台、為替介入・日銀利上げ姿勢維持でも円安は阻止できず

30日のNY外為市場で円相場が急伸。ドル円は一時157.90円台へ急落。政府・日銀の円買い介入と米NY連銀のレートチェックの観測。日米協調・日銀利上げ維持の姿勢を示しても円安の流れは変わらず。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

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石川 順一

石川 順一

シニアマーケットアナリスト/Senior Market Analyst

作成日

要点

  • 30日のNY外為市場で円相場が急伸。ドル円は一時157円台へ急落した。政府・日銀の円買い介入と米NY連銀のレートチェックの観測が流れた
  • 日米2年債利回り格差とドル円の連動性が強まっている。本日の日銀会合と植田総裁の会見で利上げ期待が高まっても、円安・米ドル高の流れを止めることはできないだろう
  • 短期サポートラインを維持したことで、テクニカル面でも円安・米ドル高トレンドの強さがかえって示唆された。本日注目のチャート水準について

円急伸、ドル円一時157円台、日米協調で円安阻止か

30日のニューヨーク外為市場で円相場が急伸した。ドル円(USD/JPY)は158円を下抜け、一時157.94円レベル(IG取引プラットフォーム)へ急落する場面が見られた。

外為市場では、政府・日銀による円買い・米ドル売り介入の観測が流れた。さらに日本経済新聞社は、米ニューヨーク連銀が複数の銀行に対し、レートチェックを実施したと報じた。レートチェックは当局が実際に取引可能な水準を民間銀行に照会する行為で、市場に参入する用意があることを示す。時事通信もニューヨーク連銀によるレートチェックの実施を伝えた。今年1月に続き、米通貨当局がレートチェックを行ったとなれば、日米が協調して円安阻止に動いたことになる。

今回の日米協調での円安阻止は二段構えだった。最初は、日本時間30日22時半過ぎ。ロイターの報道によると、米シティは機関投資家向けノートで、自社のeTrading(電子取引)デスクが米東部時間9時30分〜9時40分(日本時間22時半〜22時40分)の10分間で、主要な通貨取引プラットフォーム全体においておよそ81億ドルの円買い・米ドル売りを記録したと述べた。ドル円は163円付近からおよそ1時間で157.94円レベルまで下落した。

次は日本時間31日午前2時半過ぎ。ニューヨーク連銀のレートチェックが入り、159円台へ反発していたドル円は、再び158円台半ばへ下落した。以下の5分足チャートで示した2つの赤ゾーンが、為替介入とレートチェックにあたる。

ドル円5分足:30日 海外時間以降の動き

ドル円5分足:30日 海外時間以降の動き TradingView提供のチャート

30日の円相場は、米ドルだけでなく主要通貨(G10通貨)すべてに対し上昇した。なかでも米ドルの下落率が2.4%と最も大きかった。政府・日銀による為替介入の実弾が入ったとの見方を裏付ける値動きだ。なお、財務省は介入の有無を明らかにしておらず、公式の裏付けは8月末頃に公表される外国為替平衡操作の実施状況を確認する必要がある。

円相場の動向:7月30日

円相場の動向:7月30日 ブルームバーグの為替データを基に作成

日銀会合、利上げ姿勢強調でも円安トレンド継続

日米が連携して円安阻止に動いても、円安の流れを止めることはできないだろう。そう考える理由が、日米金利とドル円(USD/JPY)の動きにある。

7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが見送られたが、決定は9対3で、反対した3名の連銀総裁はいずれも利上げを主張した。

根強い利上げ期待を受け、米債市場では金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが4.2%台で高止まりしている。その結果、国内2年債利回りとの差が拡大し、日米2年債利回り格差は今年5月以降、拡大傾向にある。30日時点の金利差は2.77%で、年初の2.3%前後から水準が切り上がっている。

一方、潜在成長率やインフレ期待を反映して動く10年債利回りの格差は1.87%にとどまる。日米ともにインフレを意識して長期金利が上昇基調にあるため、2年債利回り格差のような拡大は見られない。

ドル円が10年債利回りよりも2年債利回りとの差と連動性を強めている今の動きは、市場参加者が米利上げを強く意識していることを示唆している。

日米利回り格差の動向:2026年1月以降

日米利回り格差の動向:2026年1月以降 ブルームバーグのデータを基に作成

足元の翌日物金利スワップ(OIS)市場では、9月FOMCの利上げを6割強織り込む状況にある。焦点は、FOMC参加者が想定する年1回の利上げで収まるかどうかだ。12月FOMCの織り込み度合いは6月以降、4割前後で推移しているが、12月までに織り込まれた利上げ回数は約1.3回分に達しており、市場は年内2回目の利上げを視野に入れ始めている。今後発表される物価指数の内容次第では、12月利上げの観測が浮上してもおかしくない状況だ。

FOMC 各会合の利上げ見通し:2026年1月以降

FOMC 各会合の利上げ見通し:2026年1月以降 ブルームバーグのデータを基に作成 / 31日午前11時時点

本日の日銀金融政策決定会合では、現行の政策金利1.00%程度が維持される見通しだ。したがって焦点は、植田和男総裁の記者会見となるが、利上げに前向きな姿勢を示しても、円安・米ドル高の流れは変わらないだろう。今年1月のニューヨーク連銀によるレートチェック、そして今年の4月下旬から5月上旬にかけて11兆7349億円という過去最大級の実弾介入が実施されても、ドル円は約40年ぶりに163円台へ上昇した。

為替介入やレートチェックは金利差そのものを動かすわけではない。ドル円と2年債利回り格差の連動性が高まっている現状も踏まえれば、米利上げ観測は米ドル高・円安の流れをサポートしよう。

また、次のチャート分析で示すとおり、テクニカル面でも円安・米ドル高トレンドの根強さを示すサインが点灯した。

ドル円のチャート分析、サポートライン維持が示唆すること

ドル円(USD/JPY)のトレンドを日足チャートで確認すると、2月安値を起点としたサポートラインが昨日の急落を止めたことが分かる。しかも長い下ヒゲが示現しての反発だ。米ドル高・円安トレンドを象徴するトレンドラインの維持は、かえってドル円の強気地合いを市場参加者に印象付けた。

事実、31日午前の東京外為市場でドル円は160円台へ上昇している。テクニカル面では89日線を突破した。15分足の半値戻し160.45レベルも突破し、早くも161円のトライが視野に入る。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準(161.04レベル)にあたる。

ドル円が161円台へ上昇する場合は、50日線のトライを想定したい。この移動平均線は今日現在、161.35レベルにある。急落後の急反発を想定し、161.35レベルを今日の上限と想定したい。

なお、筆者の想定を超える反発で50日線を上方ブレイクすれば、15分足チャートのフィボナッチ・リトレースメント76.4%(161.77)、そして162.00のトライを意識したい。

注目水準:レジスタンス
・162.00円:節目水準
・161.77円:76.4%戻し
・161.35円:上限予想、50日線
・161.00円:61.8%戻し(161.04円)

一方、為替介入の警戒で下値を目指す場合は、158円台の維持が焦点となろう。15分足チャートの青ラインでまとめたサポート水準の攻防に注目したい。160.00を維持すれば、上述のレジスタンスラインの攻防を意識したい。

一方、160.00を下方ブレイクする場合は、サポート転換の可能性がある159.00レベル、ニューヨーク連銀のレートチェックによる円高を止めた158.50レベルの攻防が焦点に浮上しよう。

158.50レベルの下方ブレイクは、158.00をトライするサインとなろう。ボラティリティの拡大を警戒し、158.00を今日の下限と想定したい。

注目水準:サポート
・160.00円:節目水準
・159.00円:節目水準
・158.50円:31日未明の二段目の安値圏
・158.00円:下限予想、30日の安値水準

ドル円15分足チャート:30日~31日午前

ドル円15分足チャート:30日~31日午前 TradingView提供のチャート

ドル円日足チャート:2026年1月以降

ドル円日足チャート:2026年1月以降 TradingView提供のチャート

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