ドル円見通し(12/5):予想レンジ154円~156円、米ドル安主導の下落続くか
今日のドル円展望。米ドル安主導の下落を警戒。9月の米PCE価格指数が変動要因に。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが解説。
要点
- 今のドル円の下落を主導しているのは円高ではなく米ドル安。12月利下げを意識した米ドル安は、FOMC後に反転することが予想される
- 今日の注目材料は9月の米PCE価格指数。インフレ懸念の後退なら米ドル安の要因に。一方、インフレ懸念を強める内容なら米ドルの買い戻しを予想
- ドル円 今日の予想レンジ:154.00~156.00円
下落のドライバーは円高か?米ドル安か?
ドル円(USD/JPY)が下落基調へ転じている。11月20日に高値157.89レベルを付けた後(158.00手前まで上昇した後)、下降のトレンドチャネルを形成し、1日と4日の外為市場では155円を下抜ける局面が見られた。
ドル円の1時間チャート:10月以降
TradingView提供のチャート
注目すべきは、現在の下落を主導しているのが円高なのか?米ドル安なのか?ということだ。
日銀の植田和男総裁は1日、名古屋での経済界代表者との懇談の挨拶で利上げの是非に言及した。翌日物金利スワップ(OIS)市場では12月利上げの地ならしと受け止められ、利上げ確率が80%台へ跳ね上がった。国内の債券市場でも2年国債利回りが2008年6月以来となる1%台へ上昇した。早期の利上げを意識した動きである。
12月に入り円相場では、対G10通貨で円高優勢の状況にある。
円相場の動向
ブルームバーグの為替データで作成 / 12月1日~4日の動向
しかし、ドル円が下落トレンドへ転じた11月21日以降の対G10通貨の動向を確認すると、明確に円高の圧力が高まっていると言えるのは、米ドルとスイスフランのみである。
一方、米ドルの動きを確認すると、対G10通貨の全てで米ドル安優勢の状況にあることが分かる。対円ではドル指数(DXY)以上に下落している。
2つのパフォーマンスチャートを比べると、現在のドル円の下落を主導しているのが、米ドル安であることが分かる。
円相場と米ドル相場の動向
ブルームバーグの為替データで作成 / 11月21日~12月4日の動向
FOMC後の動きに注目
12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切る可能性が高まり、外為市場では米ドル安が進行している。
米ドルのトレンドを示すドル指数(DXY)は100.40レベルで二度上昇が止められ、50日線を完全に下方ブレイク。90日線を視野に米ドル安が進行している。
しかし、今の米ドル安が12月の利下げを先取りした動きと考えるならば、FOMC後の米ドルは反転が予想される。
ドル指数の日足チャート:今年9月以降
TradingView提供のチャート
来年1月と3月の米利下げ確率を確認すると、レポート掲載時点では、いずれも30%台にあり連続利下げの観測は強まっていない。12月のドットチャート(FOMC参加者の政策金利予想)とパウエルFRB議長が示す政策姿勢で連続利下げの観測がさらに後退する場合は、米ドルの反発を想定したい。米ドルの買い戻しはドル円を下支えしよう。
米FOMC 利下げ確率の推移:12月、来年1月と3月
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 5日 午前10時時点
ドル円 今日の見通しとチャート分析
見通し
今日の注目材料は、政府機関閉鎖の影響で延期となっていた9月の米PCE価格指数となろう(日本時間6日午前0時)。インフレ懸念が後退すれば米ドル安の要因になり得る。このケースでは、154.50レベルの攻防に注目したい。一方、インフレ懸念を強める場合は、米ドルの買い戻しを想定したい。円安も重なれば、156.00レベルまでの反発が予想される。
下限:154.00
日足チャートのMACDはデッドクロスに転じ、RSIは50を視野に低下。強気地合いの後退を示唆している。米ドル安が続く場合、今日のドル円(USD/JPY)は155円の下方ブレイクと154円台の攻防を意識したい。
155.00レベルがレジスタンスラインに転換する場合は、昨日の下落を止めた154.50レベルの攻防に注目したい。この水準はサポートラインに転換する可能性がある。ドル円が154.50レベルで反発する場合は、来週のFOMCまでサポートラインとして意識される可能性が高まろう。一方、154.50を完全に下方ブレイクすれば、4日の終値から約1円下の154.00を視野に下落拡大を警戒したい。この水準を今日の下限と予想する。
想定を超えてドル円の下落相場が進行する場合は154.00の下方ブレイクと、10月17日の安値と11月20日高値の半値戻し153.63レベルのトライを想定したい。
・155.00:サポートライン(4時間足チャート)
・154.50:サポートライン(日足チャート)
・154.00:下限(予想)
・153.63:半値戻し(日足チャート)
上限:156.00
4時間足チャートのストキャスティクスRSIは売られ過ぎの水準へ到達後に反転している。9月米PCE価格指数が米ドルの買い戻し要因となれば、今日は4時間足チャートにまとめた3つの水準の攻防に注目したい。
155.50と155.80はいずれもレジスタンスラインに転換する可能性がある。前者の水準には現在、21日線が推移している。
後者の155.80レベルを突破する場合は、156.00のトライを意識したい。この水準もレジスタンス転換の可能性がある。ドル円が156円台へ上昇する場合は、直近高安の半値戻し156.20レベルのトライが視野に入ろう(4時間足チャート参照)。だが、来週にFOMCを控えていることを考えるならば、昨日の終値から約1円上の156.00レベルまでの上昇が限界と予想する。
・156.20:半値戻し(4時間足)
・156.00:今日の上限(予想)
・155.80:レジスタンス転換の可能性あり(4時間足)
・155.50:21日線、レジスタンス転換の可能性あり(4時間足)
ドル円の日足チャート:今年9月以降
TradingView提供のチャート
ドル円の4時間足チャート:11月18日以降
TradingView提供のチャート
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