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ドル円 週間見通し(11/3日~7日):155円台射程も急反落を警戒

ドル円の週間展望。155円台が射程に入るも、さらなる円安の進行は突発的な円高リスクを高める要因に。注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 155円台が射程に入るドル円。しかし、ベッセント米財務長官と片山財務相が相次いで為替変動に言及したことは、為替(円安)が日米の「政治問題」になりつつあることを示唆している
  • 円安主導でドル円がさらに上昇する場合は、突発的な円高を警戒したい。高市内閣の誕生で日銀の年内利上げに不透明感が漂う中、豪RBAと英BOEが利下げ見送りとなれば、クロス円の円安がドル円を支える展開を想定したい
  • ドル円の週間予想レンジは152.00~155.40


10月円安加速、日銀 年内利上げに不透明感

10月の外為市場では、円が主要通貨に対し終始下落する展開となった。10月30日の市場でドル円(USD/JPY)は、およそ8か月半ぶりに154円台へ上昇した。クロス円でも円安優勢となり、ユーロ円は30日の市場で高値178.82レベル、スイスフラン円は192.69レベルまで上昇し、いずれも史上最高値を更新した。

10月4日の自民党総裁選と高市内閣が発足した同月20日の週に円安へ振れた状況は、政治が円相場の変動要因となったことを示唆している。具体的には、現在のインフレをデマンドプル型ではなくコストプッシュ型と考えている高市内閣の誕生を受け、政治の面で日銀の早期利上げのハードルが上がったという思惑が市場で高まったことが円安加速の主因になったと考えられる。

円相場 10月の動向(対G10通貨)

円相場 10月の動向(対G10通貨)

ブルームバーグの為替データで作成

実際、10月29~30日に開いた金融政策決定会合で日銀は6会合連続で利上げを見送った。

植田和男日銀総裁が定例会見で利上げ時期の言及を避けたことで、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では、次回12月会合での利上げ確率が40%台へ低下。年内利上げの不透明感が漂う。2026年1月会合での利上げ確率は30%台にあり、12月の確率と合わせて考えるならば、利上げのタイミングが年内から年明けに後ずれする可能性を市場は意識し始めている。

植田総裁が注視する米関税の不確実性と米国経済の下振れリスク次第で、市場観測は揺れ動くだろう。利上げ後退に傾く場合は円安の要因となろう。

日銀会合の利上げ見通し:2026年9月まで

日銀会合の利上げ見通し

ブルームバーグのデータで作成 / OIS市場の確率 / 10月31日時点


英豪中銀、利下げ見送りの公算

今週4日に豪準備銀行(RBA)が政策金利を発表する。オーストラリア統計局が10月29日発表した第3四半期の消費者物価指数(CPI)は前期比+1.3%、前年比+3.2%と、いずれも市場予想+1.1%、+3.0%を上回った。豪RBAが重視していると見られるトリム平均値(刈込平均値)も前期比+1.0%、前年比+3.0%と、こちらも市場予想+0.8%、+2.7%を上回った。

予想外の物価上昇を受け、一時80%近くまで織り込まれていた豪RBAの利下げ確率が5%台へ急低下している。

オーストラリア インフレ率の推移:2022年以降

オーストラリアのインフレ率推移:2022年以降

ブルームバーグのデータを基に作成 / 四半期ベース

6日にイングランド銀行(BOE)が金融政策委員会(MPC)を開く。英国では昨年4月以降、コア消費者物価指数(CPI、前年同月比)が3%台で下げ止まる状況が続いている。英BOEが注視するサービスCPIは4%台で高止まりしている。財政政策の不透明感もあり、OIS市場での利下げ確率は30%付近へ低下している。

英豪中銀の利下げ見送りは、ある程度市場に織り込まれているだろう。しかし、日銀の年内利上げに不透明感が漂う中での据え置きとなれば、今週は豪ドル円(AUD/JPY)やポンド円(GBP/JPY)でも円安優勢の展開を想定したい。クロス円で円安が進行すれば、ドル円(USD/JPY)の下支え要因となろう。

英国のインフレ率推移:2022年以降

英国のインフレ率推移:2022年以降

ブルームバーグのデータを基に作成 / 月次ベース


突発的な円高を警戒

しかし、今後外為市場で円安が進行する場合は、突発的な円高を警戒したい。日米間で為替の動きが「政治の問題」として認識され始めているからだ。

先週、ベッセント米財務長官の発言でその兆候が見られた。ベッセント氏は29日、日本政府が日本銀行による政策の裁量を認める姿勢は、インフレ期待の定着と過度な為替レートの変動を回避する上で重要だ、とXに投稿した。

一方、片山さつき財務相は31日の閣議後の記者会見で、足元の為替には一方的な動きが見られており、ファンダメンタルズを反映した安定的な推移が重要であると述べた。また、政府として為替市場における過度な変動や無秩序な動きについて高い緊張感をもって見極めるとした。

両氏が為替について言及してきたことは重要なシグナルである。今後さらに円安が進行すれば、日米両政府からけん制頻度が増すことが予想されるからだ。今週の円相場、特にドル(USD/JPY)は、日米政府が許容する水準を見極めることが焦点の一つとなろう。


ドル円のチャート分析

予想レンジの上限:155.40
今週もドル円(USD/JPY)が上昇トレンドを維持する場合は、155円台が射程に入ろう。IG為替レポートで注目しているフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準154.40レベル(日足チャートを参照)の上方ブレイクは、155.00をトライするサインと捉えたい。

ドル円が155円台へ上昇する場合は、4時間足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%の水準155.41レベルの攻防に注目したい。直下の155.40レベルを今週の上限と想定したい。

円安優勢の状況で、今週の米経済指標が利下げ観測の後退要因となれば、米ドル高も重なることで、ドル円は155.40レベルを上方ブレイクする可能性がある。このケースでは156円が視野に入る。

しかし、円安がドライバーとなっての上昇局面では、ドル円の急反落を警戒したい。ドル円が154円台へ上昇した後、片山財務相から為替変動についてのコメントがあった。今週、155円台へ上昇した後、一気に156円を目指す場合は、円安をけん制する発言とそれによる投機的な円高(円の買い戻し)を警戒したい。

注目の上値水準
・156.00:節目の水準
・155.40:予想レンジの上限、フィボナッチ・エクステンション100%
・155.00:節目の水準
・154.40:フィボナッチ・リトレースメント76.4%

予想レンジの下限:152.00
4時間足チャートのRSIとストキャスティクスは買われ過ぎの水準へ上昇した後、低下トレンドへ転じつつあり、短期的な相場の過熱感を意識する動きが見られる。ドル円(USD/JPY)の反落局面では、以下にまとめた下値水準の攻防に注目したい。

152.00上に21日線が上昇している。また、152.00直下の151.91レベルは直近高安の半値戻しの水準にあたる(4時間足チャートを参照)。テクニカルの面で152.00のラインを今週の下限と想定したい。

レジスタンスからサポートに転換する可能性がある153.25レベルの下方ブレイクは、152円台へ下落するサインとなろう。

152円台では、152.85レベルまで上昇している10日線の攻防が最初の焦点となろう。この移動平均線を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント38%の水準152.50レベルのトライを想定したい(4時間足チャートを参照)。152.50の下方ブレイクは、152.00を目指すサインと捉えたい。

想定を超える調整売りでドル円が152.00を下方ブレイクする場合は、151.00レベル(8月1日の高値レベル150.92)を視野に下落拡大を警戒したい。

注目の下値水準
・153.25:サポート転換の可能性あり
・152.85:10日線
・152.50: 38.2%戻し
・152.00:予想レンジの下限、上に21日線
・151.00:8月1日の高値レベル(150.92)


ドル円の日足チャート:2024年12月以降

ドル円の日足チャート:2024年12月以降

TradingView提供のチャート

ドル円の4時間足チャート:10月以降

ドル円の4時間足チャート:10月以降

TradingView提供のチャート


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